特集 1999.10/vol.2-No.7

新聞広告の心理的効果を探る
商品関与度の高低から見たメディア効果 ー自動車広告による実験調査リポートー

 前号(ojo9月号)では、二通りの車の広告に対して複数メディア(新聞とテレビ)接触者とテレビのみ接触者の比較を通して複合効果を見たが、今回は、ブランド関与によって広告接触時の情報処理の仕方が大きく異なることに留意して、関与度の高低と接触メディアのマトリクスで分析を行った。
 
調査の仮説

新聞の知識形成効果を実証する

 今回の調査の意義は、先行研究では少数の効果基準しか測定されなかったのに対して、効果階層モデルにある基準だけでなく、自由連想やイメージ処理反応も含めて、情報処理過程の特徴を詳細に測定した点にある。
 テレビCFの場合は、情報処理水準が低くても、高頻度で接触するため、断片的にブランド名やフレーズなどは記憶に残る。ただし情報処理は浅く周辺的処理ルートで処理されがちなため、その言葉がどのような意味を持つのか、あるいは何を伝えようとしているかは精緻(せいち)化されないままにとどまる。また、感覚的、情緒的な処理がされるのでイメージ醸成力もあると思われる。ただし、断片的な知識にとどまり、深い処理がされないため、「知識形成」の力は劣る。ブランド知識が不足するため、強固な態度変容は起きない。これに対してテレビの回数を減らしてその分、新聞広告を行うと、新聞広告により中枢的な情報処理がなされ、理性的な処理を促進するため、ブランド知識が形成されやすくなり、従って態度変容も強固なものとなると考えられる。このような目的で調査項目に、ブランド再生、再認、認知反応、ブランド態度を仔細(しさい)にとるとともに、Babin and Burns のイメージ処理(※1)をとることにより、認知心理学的な把握に努めた。

※1 Babin,L.A.and A.C.Burns,A Modified Scale for the Measurement of Communication-Evoked Mental Imagery,Psychology and Marketing, Vol. 15(3), 1998, pp. 261-278

 さらにこの特別分析ではメディアの違いだけでなく、商品への関与度がこのような知識形成へ影響を与えると考え、これも加味して分析した。関与度が高い場合は、テレビ、新聞に対しての能動的な情報処理が行われるが、テレビの場合、タレントや音楽といった演出的要素が処理されがちであり、イメージ的な処理になるのに対して、新聞については、閲読者が自分の情報処理能力に応じて情報処理するので商品特性への理解やテレビで醸成されたイメージがより精緻化されるのではないかと予測されることである。また商品への関与度が低い場合は、事前にテレビ広告で情報への関与が高まり、新聞でさらに精緻化されるのではないかと期待された。
 そのため、関与の高低と接触メディアによる差異の両方の広告効果があると考え、分散分析を行った。

■与えられた広告刺激の種類と予測された効果
テレビCFのみ テレビCF+新聞広告
ブランド知名
ブランド理解(知識)
イメージ喚起力
態度変容
○は十分効果あり、△は効果不十分
(→調査概要
分析について

ブランド関与度とメディア接触で効果を分析

1)分析の枠組み
 分析の枠組みとして、ブランド関与度の高低と接触メディアで調査対象者を四分し、複数メディア接触の効果を分析した。
2)分析内容
 スパシオ、セイバーのケースを取り上げ以下の分析を行う。
[1]再生知名
[2]知識にかかわる効果
 a 再生とメーカー正答
 b 価格認知
 c キャッチフレーズ回答
[3]商品イメージにかかわる効果
[4]広告接触時の態度への効果
[5]ブランドの事後評価への効果 
[6]広告認知反応への評価
 a 発言数の比較
 b 発言内容のグルーピング
3)分析にあたっての留意点
 本分析では、サンプル数などの制約があり、一部に分散分析、共分散分析を行ったが、全般的には統計的な検証は難しく、分析者の解釈を中心に記述した。

スパシオ分析

新聞への接触が情報処理を多様化・深化させる

 分析の枠組みとして採用したスパシオへの関与度の高低と接触メディアで調査対象者を四分すると各グループは以下のようになった。
 具体的には、高関与/新聞・テレビ接触者(n=27、「高・複」と略す)、高関与/テレビのみ接触者(n=23、「高・テ」)、低関与/新聞・テレビ接触者(n=29、「低・複」)、低関与/テレビのみ接触者(n=33、「低・テ」)の四セルの対比を行う(※2)

※2 関与は事前調査で「スパシオについて興味や関心を持っている」で「非常に当てはまる」「当てはまる」「やや当てはまる」と答えた人を高関与、「あまり当てはまらない」「当てはまらない」「全く当てはまらない」という人を低関与とした(「どちらともいえない」は抜いた)。

■実験に使用した新聞広告
■トヨタ自動車 スパシオ15段新聞広告 ■テレビCF 15秒/Taxi編
スパシオ紙面 テレビCF1
テレビCF2
テレビCF3


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(→印刷メディアとテレビの複合効果へ
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