特集 1999.2/vol.11

メディアプランニング入門  外資系企業・広告会社の日本進出や広告の効果効率を求める広告主の声を背景に、メディアプランニングへの関心が急速に高まっている。メディアプランニングとはどのような仕事なのか、欧米とメディア環境の違う日本でメディアプランニングの課題はどこにあるのか。また、新聞はその動きにどうこたえるべきか。ふたつのインタビューを通して探った。
メディアプランナーという仕事
田中氏と賀集氏
 
ターゲットを知ることからメディアプランニングは始まる

 田中 メディアプランニングとはわかりやすく言うと、いつ・どこで・だれに・どうやって・何を伝えるか、ということです。何を伝えるかはクリエーティブの話ですが、残りは全部メディアプランニングにかかわる事柄です。とりわけ「だれに伝えるか」が一番重要で、簡単に「ターゲット」と言いますけど、それをつかむのは大変です。一番象徴的なターゲットを朝から晩まで一日中見張っていたいくらいで、その人が何をして、何を考えて、何を目的に生きて、何を楽しんで、どんな悩みを持っているか、といったことが全部分かったら、たぶん完璧(かんぺき)なメディアプランがつくれます。
 例えば、OLは通勤のために平均で一日往復二時間ぐらい電車に乗っている。電車の中は非常にこんでいるから新聞どころか本も読めない。で、交通広告の中づりを見ているんですよ。中づりは何か取って付けたような媒体だという印象があるかもしれませんが、実はものすごく強力な媒体なんです。二時間も新聞を読んでいる人はいないが、中づりだったらあり得ますからね。
 では、主婦をターゲットにした交通広告はどうか。ところが、ある事実が分かると交通広告が必要になってくるんです。つまり、実は三十五歳以下ではパートも含めて三〇%から四〇%は有職主婦なんです。また四十歳以上になると、子供が手を離れてしまうから六〇%が有職主婦です。また、テレビの視聴時間も主婦の生活行動と関連づけて考えていく必要がある。専業主婦であれば、子供が小さいと幼稚園に送って行った帰りに買い物をするので、午前中に買い物を済ましてしまうわけです。子供が帰ってくるのは二時か三時ぐらいだから、その後は家にいるといった生活をしているんですね。子供がもっと大きくなると、二時から五時くらいに買い物をするようになります。
 そういうことを数字などできちんと証明できたら、どの時間帯に、どのメディアで、何を伝えたらいいのかという結論が出てくるわけです。メディアプランナーは、その人の商品購入の時間、媒体接触の時間、どの媒体にどんな関心を持って接触しているか、といったことを常に考えているわけです。要するに、消費行動と媒体接触行動を徹底的に分析し、それでターゲットが分かったら、次には、商品のシーズナリティーやエリアストラテジー、メディアミックスなどを考えていく。
 クリエーターは、どういうメッセージだったらそのターゲットが関心を持ってくれるかを必死になって考えます。媒体の価値もメッセージの内容が決まって初めて決まってくる。
 メッセージの内容からどんな媒体を使うかということになるのですが、日本では媒体の現状というものがあります。メディアプランニングというファンクションは、日本の広告会社の土壌ではすごく育ちにくい。日本ではご存じの通り、媒体を売るために広告会社ができました。今でもほとんどの広告主が、少なくとも媒体のお金の使い方については独自にやっています。
 広告主はあるクリエーティブをつくらせると、それを流す時に広告会社を通して、旅行代理店で旅行のチケットを買うような形で媒体を買っていくというのが今までのあり方です。つまり、広告会社としては媒体を売りに行く。となると、媒体とはスペースで、空気みたいなものだったり、紙面だったりするのですから、そこに何か載せなければいけなくなる。広告会社では、媒体を売った後でそこに載せるものをつくらせるためにクリエーティブをつくったんですね。広告料金も、媒体側の事情ですよね。
 賀集 ただし、そういうスペースを基準にした広告会社のあり方だと、広告主としてもその発想に乗りやすいわけですね。広告会社から「うちに任せてくれれば大丈夫です」と言われると弱い。
 もう時代は変わっていますから、コミュニケーションで何が使えるか、活字メディアなのか、映像メディアなのかを考えて、メディアの役割や特質が一体何かということを、本当にもう一度きちんと見ていかなければなりません。
 例えば、新聞に対して広告主は「新聞に出た。うれしい。うちも一流になった。また十五段打とうか」みたいな感覚があると思います。でも、だんだんと広告主も変質してきていますよね。広告主と消費者と広告会社のトライアングルの中で、それぞれの思惑がずれてきている。うちはそのずれをメディアプランニングというかたちで軌道修正していこうという発想は持っています。
 田中 我々はやはり広告を到達させるためのプランナーなのでどうしてもそういう見方をしてしまうんですけれども、媒体にはいろいろな特性があって、広告媒体として成り立っているわけではないですから、「読売に出た。うちも一流になった」と広告主が思うことを批判するのはおそらく間違いなんですね。しかし、媒体の価値を決めているのは、やはり消費者なんです。それを絶対に忘れてはいけない。だから、マーケティングにかかわる人たちは常に、消費者が何を考え何を求めているか、そのために何を伝えなくてはいけないかを考えておかなくてはいけないわけです。
 それで、うちではメディアマーケティングと名付けたんですが、媒体はたぶん流通なんですよ。つまり、広告のディストリビューターが媒体だと思っています。この時、メディアプランナーは、“大量陳列”だと毎日毎日できませんから年に二回やる、後はストアカバレッジで押さえるといったことを考えていく。そこには広告理論がいくつかあるんです。

メディアプランニングを支える理論とフィージビリティー

 田中 一番起源が古いのが「シェアオブボイス」ではないでしょうか。あるカテゴリーの商品の競合商品が十個くらいあるとすると、その広告量がそれぞれありますよね。広告量とはもちろんお金とも言えますが、テレビではGRP、新聞で言うと段数あるいは出稿回数、これらのシェアのことをシェアオブボイスというんです。つまり広告量のシェアで、これがマーケットシェアを決定するという理論です。今だと想像できませんが、広告がものすごく未成熟だったころは、広告そのものの量が少ないし、媒体もそんなに複雑ではなかったので、それでもマーケットシェアが決まるようなインパクトはあったんでしょうね。
 その次に出てきたのが「集中投下」です。短期間に集中投下することによって、その商品を買ってみようかという消費者の気持ちを一気に上げるということです。この一番代表的なものに「スリーヒットセオリー」があります。つまり、三回接触させなかったらメッセージが到達しないという考え方です。これは、大量陳列でいくとすれば最低三回せよと。できれば集中投下は多い方がいいですが、もうきりがない。ただ、広告の量が明らかに商品購入に大きな影響を与えているという調査結果は出ています。認知率との関係が深い。だから、認知率を上げるためには広告の量が大事だ。認知率が上がったら商品を買おうというモチベーションが起こってくるという三段論法なんですね。
 三番目は、二年ぐらい前から出てきた「リーセンシーメディア」。商品にもよりますが、これはまったく逆の発想で、つまり、商品購入には短期集中ではなくて継続性のほうが大きな影響を与えるという考えです。少なくとも広告を中止したら商品が売れなくなるのは事実なんですよ。たぶん日用雑貨はそれが一番あてはまるでしょう。
 最後が「パルシングメソッド」で、これは、例えば一週間やって一週間休むというような投下の仕方になります。
 おそらく四つの理論とも、どれも正しい部分とそれだけでは不十分だという部分を抱えているんですね。これらをどう組み合わせていくかはすごく難しい。どうしてかと言うと、広告は全部オーダーメードなんです。商品が違う、それが置かれている環境、予算、クリエーティブが違う。僕自身、まったく同じプランを二回つくったことはありません。
 メディアの現状も分かって、消費者も分かった。それで、こうした理論も援用しつつプランをどうつくっていくか。これにはいくつか必要な要素があって、一つが媒体のデータです。これは完璧でなくてはいけない。この具体的な媒体データとしては三つあって、一つが広告活動分析。媒体別出稿量、シェアオブボイス、シーズナリティーを分析します。
 もう一つが、自社の「マックインサイト」というシステムを使ったオーディエンスと消費者の分析。媒体別接触状況やカバレッジランキングが出ますが、商品購入の調査と媒体接触の調査を組み合わせる。つまり、どんな商品を買っている人がどういう媒体と接触していて、どういう生活をしているのかということがクロスタブできるため、メディアプランにものすごく有効な消費者物流ができます。
 三つ目がオプティマイザーに近いもので、特にテレビの場合に視聴率分析や時間帯分析ができて、スポット効率最大化モデルなども出ます。
 最終的には、それらのデータを基に、つくったプランがどのぐらいのターゲット到達率になるのかを調べたり、認知率のシミュレーションをします。
 賀集 マッキャンエリクソンのメディアの伝統としては、いわゆる価格よりも費用対効果というのを考え、ロジックを組み立てて消費者を捕まえようとしてきたというのは事実だと思いますね。これは他の日本の広告会社にはあまりない。
 田中 そういう意味で我々が一番気にしているのは、フィージビリティー(feasibility )、実現可能性なんです。実現できない机上のプランニングをしてはいけないと思っています。
 まあ、本当のアイデアというのは媒体と常に接触して情報を得ていなかったら出てこない。それに何より日本ほど、媒体が強くて複雑で、リレーションシップや情報があふれ返っていて、こんな難しいマーケットはない。社内の外国人にも理解できないですね。だから、マッキャンは外資系だと言われても、実際は、日本人が日本人の消費者相手にやっているわけです。とはいえ体質としては、ロジックや理論、それから現状分析、消費者のこと、商品の良さなどを考えるということは、もう徹底的に仕事で教育されていますので、この点で、いわゆる外資系の風はものすごく吹いている。
 賀集 要するに、プランニングでは、戦略メディアディレクションと実施案のプランニングの二つがあると思うんです。他の外資系広告会社などが言っているのは、おそらく戦略プランニングだけなんですね。ただ、外国ではそれでもいい。外国の新聞はオーダーがあれば、いくらでもスペースを増やしていけるから、実施案のプランニングはあまり重要ではない。やりたいように全部やれますからね。
 ところが、日本では媒体がものすごく強い。すると、やはりメディアプランの中でも、うまく媒体の事情を踏まえてきちんとターゲットに合うようなユニークな実施案をいかにつくっていくかが重要になると思うんです。
 したがって、マッキャンのメディアプランは戦略的な部分と戦術的な部分、その二つのメディアプランニングないしはメディアマーケティングというものに責任を持っていくという方針です。田中の手がけた今回のネスレのプロモーションなども、その実施案の代表的なものだと思います。

事例:ネスカフェ「つづく幸せプレゼント」(→詳細

 田中 ネスレ商品はこれまでブランド別にプロモーションをやってきたのですが、昨年の三月から五月までの三か月間、ネスカフェ商品をジョイントしたセールスプロモーションを実施しました。缶コーヒーは対象外ですが。当然、ターゲットは購入者である主婦です。この時、メディアプランに取り入れたのがリーセンシーメディア理論でした。キャンペーンの立ち上がりに認知率を一気に上げるのではなく、認知率はそう簡単に上がらないという前提で、テレビでの広告を絶やさないようにしました。
 その代わり、セールスプロモーションでは、商品を買ってもらい、その商品のラベルをはり付けて応募するというクローズドのやり方を採用したんですが、これはテレビで告知しても応募数は増えない。なぜなら、テレビでのセールスプロモーションはオープンキャンペーンだとあり得ますが、クローズドの場合は、対象商品が決まっていて、商品ごとにはるラベルの枚数が違うとか、送り先の表示も必要だとか、いろいろな条件があるからなんですね。
 ただし「今、このキャンペーンをやってますよ」という告知に関してはテレビほど強いものはない。その後で応募の中身の告知に力を発揮するのが新聞と雑誌なんです。そこで、今回のネスレのキャンペーンでは、テレビと新聞とを連動させて、テレビで「今日の新聞を見てください」というスポットを打ったんです。応募の中身を告知する広告は新聞に載せました。言い換えれば、到達率の高いテレビと応募数に一番有効な新聞を連動させたということです。
 全国の新聞に同日掲載ということになって、結局、三十紙使いました。なぜ同じ日に各新聞にその広告を入れたかと言うと、一つは、テレビの広告にうそがあってはいけないので、広告を載せる新聞のカバレッジを最低六〇%以上にする必要があったんです。そういうチェックがテレビ局側から入りました。
 もう一つは、「今度の日曜日の新聞を見てください」では、消費者はいちいち覚えていない。消費者の気持ちを考えれば、今、手元の新聞ならすぐに見るので、そこに応募要項が全部書いてあると非常に有効なわけです。
 いずれにせよ、同日掲載で最低六〇%以上のカバレッジがなくてはいけない。これには、大変苦労しました。関東は、読売・朝日・毎日・日経・産経を使えば、間違いなく六〇%は行く。ところが、関西はそれだけでは難しい。京都新聞や神戸新聞まで使わなくてはいけない。地方に行くと、地方紙や中央紙も全部使う必要があります。そういうわけで、結果的に三十紙ぐらいになってしまった。
 我々がこのセールスプロモーションで何を狙ったかというと、当然、ブランドスイッチです。他社の商品からネスカフェに切り替えさせたい。「このキャンペーンをやってる間、売れますよ」と店頭でも大量陳列をやらせました。
 新聞社の方々には、「新聞の価値を高めるために、テレビスポットをわざわざ打つんです」と協力をお願いしました。そういうことも含めて、テレビと新聞を連動させるためには、やはりメディアプランニングだけの会社ではダメなんですね。同日掲載のための媒体交渉力がないと不可能です。プランだけではなくて、フィージビリティーがあって初めて、テレビで告知する、新聞で応募させる、ということが連動できるんです。
 うちの立場からすると、新聞かテレビかではなく、どの媒体でもそのいいとこ取りをしていこうという発想です。
 賀集 今回はネスレのプロモーションの中で最高の応募が来ました。総数は二百七十万通。クローズドはオープンの十倍の価値があると見ていい。しかも缶コーヒーよりも何倍も高いインスタントコーヒーを買わないと応募はできません。主婦が新聞を読んで、その気になって、わざわざ応募するのですから、やはり効くということなんです。こんなにすばらしいレスポンスはない。

インテグレーテッドとタイアップ新聞の二つの使い方

 賀集 新聞メディアの使い方について言えば二つあって、こうしたインテグレーテッドの発想と、もう一つは記事とのタイアップです。うちのクリエーティブの中には新聞には枠組みや段の決まりがあるにしても、例えば家庭欄などは情報の中身としても柔らかい、だとしたら、編集と組んで広告をつくれないかという発想をもっている者もいるんです。これは活字メディアそのものに対する呼びかけでもあります。現状は新聞は社会の公器という性格があるから難しいんですけれども。
 一方、同じ活字メディアでも雑誌の「クロワッサン」では可能だったわけです。ガーデニングがブームだし、うちの「つづく幸せ」というこのネスレのキャンペーンのスローガンと引っかけて「花と暮らすつづく幸せ」という特集記事を書いてもらったんです。純広も入れて、中づりでも展開することができました。
 新聞でも、十五段の部分で企画を一緒につくっていく。そうすると、消費者、とくに主婦にとってもっと面白い記事ができる可能性があるかもしれない。しかも、新聞の情報は毎日フレッシュで、ニュース性があるはずなんです。今はその点で雑誌から後れを取っているような感じで、ちょっと残念に思っています。
 新聞というのは圧倒的な情報の器があるわけだから、テレビとは明らかに違う。その部分をもっと生かす企画物を広告会社もやらなければいけないし、逆にメディアの方たちも、それに対して間口を広げていただきたいんです。
 田中 活字媒体に対して消費者が求めているものは「情報と娯楽」ではないでしょうか。もちろんジャーナリズムということもあるでしょう。それにしても、娯楽は非常に軽視されているようなところがありますよね。もっと楽しい新聞をつくってもらえればいい。といって、夕刊紙のようになれということではないです。やはり、取材力がテレビなどとは断然違います。でも、デイリーのメディアだからか、何か余裕が感じられないという気がします。
 賀集 新聞は昔と比べて、ものすごく厚手になったし、確かに面白くもなっているとは思います。しかし、中間がないんですよね。報道する部分と広告ページだけ。その両者の中間の部分ができれば、広告会社ももっと協力できる余地があると思います。
 費用対効果で単純に言えば現状の新聞だとやはり高い。その分、雑誌を打ったほうが数回打てるし、ピンポイントでターゲットも取れるという判断になりやすいですね。
 田中 クリエーティブに新聞の使い方を考えてもらうと、ほとんど実現不可能なものがたくさん出てくるんですよ(笑い)。
 賀集 僕は新聞メディアというのは、一つはやはり情報の器だと思っています。新聞の情報と、その定着率を考えると、もう圧倒的ですから。それと同じことをテレビでやろうとしたら、恐らく六十秒あっても足りない。それくらい新聞は物理的に優れている。そして、もう一つは、納得してもらうメディア。やはり、説得するというよりも消費者が自分の目で見て納得するメディアだと思うんですよね。そういう納得の部分が新聞広告の一番の持ち味であり、強みだという気がします。テレビコマーシャルは、注目度とか、刺激度では圧倒的に強いですが、それで納得する人はいないでしょう。

メディアプランニングもアイデアが勝負の時代を迎える

 賀集 他の広告会社にはないマッキャンの特質だと思いますが、うちではプロダクトチームというのを組むんです。プロジェクトチームと同じ意味です。そこに、クリエーティブ、メディア、営業、それから、必要とあればSP、調査の人間が入って、キャンペーンごととかではなく、その広告主を長期にわたって担当します。そこで皆で一緒にキャッチボールをしながらプランをつくっていくので、媒体を埋めてよ、という発想にはけっしてならないんですね。
 うちがクリエーティブとその都度一致できているというのは、そういう背景があるんです。
 田中 日本の広告主はこれまでどちらかと言うとどんぶり勘定的な広告費の使い方をしてきたのが、経営環境が厳しくなってきたために費用対効果ということを言い始めているんですが、効率効果というのはうちでは僕がメディアプランニングをやり始めたころから言われている話で、当たり前のことなんです。それを日本の広告主も言うようになってきました。
 しかし、特にネスレのような最先端を走っている外資系企業は効率だけではもう絶対に消費者は動かないと分かってきています。二回見せるところを三回にするようなことでは物は売れないよ、と。そこで重要になってくるのが「レレバンシー」、消費者の気持ちを考えるということです。結局、自分の生活の身近なところに入り込んだ、自分たちに関心のあるメッセージでないと、消費者は関心を持たないということです。
 賀集 ディス・イズ・マイ・ブランドという発想でしょうね。
 田中 そのほかにもレレバンシーにはもっといろいろな意味があると思うんですが、すでに効率的に到達率が上がるといったことを含めて効率の時代はもう終わった。次に、どうやって見せていくかということで、我々もすごくアイデアを出させられています。効率ではなく、もうアイデアの勝負になってきているということです。

日本のメディアプランニングはこれからどうあるべきか

 賀集 世代論ともからんでくるのですが、団塊の世代は、テレビや雑誌が登場した時代ごとのメディアの歩みが頭の中にずっと残っているわけですよ。そうすると、メディアの価値もよく知っている。ところが、若い人たちというのは最初からテレビで育ってきているから、新聞についてもそれがどういうメディアで、どれぐらいの影響があるのかというのが分からない。
 だから、新聞が大変なメディアなんだよというよりは、雑誌の「BOON」であるとか、「Hanako」であるとか、SMAPの載ってる雑誌とかのほうが、若い人たちは権威があると思ってしまっている。彼らには、メディアや広告会社の生い立ちとか、これまでの過去の経緯とか、そういうものは一切ない。あくまでも「テレビのスポットをやったほうが効く」というように肌で感じてしまっている。で、それが、本当のコミュニケーションについては広告会社が考えるべきだということにすり変わってきているんですね。
 広告会社の社員もどんどん若くなってきています。だから今、うちでも問題になっているのは、若い制作や営業の人たちが過去の経緯をまったく知らないということなんです。いい意味ではフレッシュかもしれないが、悪い意味では組み立てがあまりできない。
 田中 僕も若返ることがいいことだとは言い切れないと考えています。未熟だったり、ノウハウがなかったりして、いろいろな問題が起こっていますから。
 賀集 コミュニケーションしていく時に、僕たちはやはり、“あなた”にお話をするわけですよね。しかし、あなたにお話をしているとともに、あなたの後ろの何万人の人にもお話をしているわけです。それが我々の仕事のイロハのイですよ。でも、今の若い人たちというのは、そういう発想がない。見えているあなたとしかお話をしない。後ろにいる普遍的な「人」という概念がないんです。そのため、メディアへの接し方にしろ、広告のコミュニケーションのつくり方にしろ、一瞬は新しく見えるけれども、なかなか効く広告にはならない。やはり効く広告と効かない広告の違いというのは、そのへんにあるのだという感じはすごくしているんです。
 消費者の実像をどれだけ把握しているか。それにふさわしい媒体とその力をどれだけ理解しているか。つまり、結局のところ大事なのは、人間を含めてソフトウエアをどれだけ持っているかだと思いますね。


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