特集 1998.11vol.8

新聞広告とEDI
技術的な問題はクリアした新聞社の受け入れ態勢 読売新聞 制作局次長 中村清昭
 
 新聞制作はCTS化によって大きく変化した。記者はワープロやパソコンで原稿を書き、通信回線で送稿、写真はデジタルカメラが威力を発揮し、海外の出来事も同じく回線を通して送られてくる。それらのデジタル化された情報は、HWS(編集ワークステーション)と呼ばれるシステム上で組まれ、新聞となる。朝刊でいえば三十二ページから四十ページの新聞を毎日千二十万部刷っている。全国紙ゆえに、地域ごとの切り替えもある。
 より速く、より多くの情報を届けるための新聞制作技術は、この間の技術革新に負うところが大きい。広告掲載の面でもデジタル化の動きがあるが、新聞制作のノウハウを生かせば技術的な問題はほぼ、クリアしている。


 当社は全国に二十一の印刷工場を持っているが、日本の新聞社のなかでデジタルの二連版カラー広告に全印刷工場で対応できるのは今のところ読売新聞だけだ。

職人芸から数値化へ

スポーツ面紙面 新聞の印刷は、カラーの色調整ができるようになるまで三年もかかるなど職人芸の世界がまだまだ残っている。この職人芸がないと印刷の仕上がりでは百点を取れないが、それをシステマチックにできるような設備体制を目指している。
 世の中の流れはどの分野もデジタル化の方向へと進んでおり、新聞社もこれに対応していかなければならない。デジタルでは、数値で記憶できる項目が増えるし、昔ほど試刷りをしなくても仕上がりが予測できるので、だれでも最低八十点は取れるようになるだろう。
 そのときに問題なのは、やはりカラーマネジメントだ。カラーマネジメントとは、機械に職人芸を取り入れてシステマチックにやっていくということだと思う。

実際の新聞に近い色校正

編集センター 新聞の輪転機は、一時間に十五万部を印刷する。そのため、インキの粘度も低い。粘度の高いインキを使った一般の印刷物より新聞の場合は、インキがにじんで多少字が太る傾向がある。それを考慮に入れた色校正を出すべく努力している。
 苦労する点は、きれいな色校正を出すということではなく、新聞になったときとの差を縮めるという点だ。
 色校正で一般に使われている紙と新聞用紙では紙の性質が違う。そこで、できるだけ新聞用紙に近い紙を使って、新聞に刷ったときの色にいかに忠実に合わせられるかが重要になってくる。
 新聞社としては、全国の各工場によって刷り色が違うということも考慮に入れて、ドットゲインまで考えたデータの設定、この色のときはこういう傾向だということの把握なども含めて、来年五月くらいまでにはカラーマネジメントのしっかりした技術的な仕組みを構築したい。

送稿のルールの確立と組織づくり

 ある特定の広告主、広告会社と当社との間だけのデジタル送稿であれば相互のデータをつきあわせていけば、技術的にはそんなに大きな問題はない。むしろ、日常的に行うための問題は、組織だろうと思う。送稿のルールもまだ固まっていない。各広告会社ごとに違う方式では受け入れ側の現場は混乱するだろう。アメリカのAd SENDのように何らかの組織を介して、統一したデータファイルを送るなどの体制づくりが必要だ。
 新聞社としては、業界でルールが決まるのを待っているわけにはいかないから、それがどう決まっても、いかようにでも対応できるように今からフレキシブルな体制をとっておくつもりだ。
 たとえば、送信方式がどう決まろうとも、どれにも対応できるようにしておく。もともとネットワーク的には読売新聞の場合何の問題もない。フォントの問題も、必要であればそのときに書体をそろえればいい。
 EDIのシステムとしては、新聞社のなかで読売が一番進んでいると自負しているので、デジタル化にも素早く対応できると思う。

作業フロー



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