特集 1998.11/vol.8

新聞広告とEDI
 経済環境は厳しさを増している。企業は生き残りをかけてさまざまなリストラクチャリングに取り組んでいるが、その有効な手段の一つとしてEDIが積極的に進められている。
 EDI(Electronic Data Interchange)は「電子データ交換」と訳される。企業間の商談や取引に必要な見積書、発注書、請求書などを「電子伝票化」する意味で使われることが多いが、広告EDIの場合は、掲載情報や掲載料などの「取引EDI」と掲載広告そのものの「素材EDI」に分けられる。
 ここでは、広告にも押し寄せてきたEDIの波、なかでも「素材EDI」について紹介する。
 昨年来、大手広告会社と新聞社間でこの素材EDI、つまりデジタル送稿による広告原稿掲載の試みが積極的に行われてきた。今年一月十日には電通が中心となり新聞三十社、三十五紙、五月十七日には博報堂が中心となり十社十二紙を対象に共にモノクロ全十五段広告の掲載が行われている。
 素材EDIのメリットは、広告制作から紙面掲載までの時間短縮、省工程、省力化がまず挙げられる。
 広告制作の現場はDTPによってすでにかなりの部分がデジタル化されている。新聞社側もCTS化によって編集面の制作は文字、写真とも取材時点からデジタル化されている。しかし、広告原稿だけが、フィルム・紙焼き送稿のままだった。おおざっぱにいえば、新聞社側は広告会社から入稿されたフィルム・紙焼きをスキャニングして再びデジタル原稿に戻し、CTSに取り込むというのが、これまでの広告掲載の工程だ。また、その前段階としてDTPなどで制作された広告原稿は製版に出され、人手を介して新聞社に届けられていた。デジタル送稿することで、こうした工程がなくなる。フィルム・紙焼きの費用もいらなくなるので、複数紙を使った全国掲載の場合、かなりの省コストにつながる。
 また、掲載前日のイベントやニュースなどを盛り込んだ新しい広告制作の可能性も広がる。さらに、デジタル化された広告紙面は、データベース化することも容易である。
 しかし、まだ課題もある。カラー二連版(三十段)のデジタル送稿が実際行われているように、広告会社と新聞社間の一対一での対応はかなりのところまできているが、複数の新聞社へのデジタル送稿には、“標準化”の問題がある。広告原稿の制作、広告会社の送稿体制、新聞社側の業務フローも、従来のままではせっかくの技術革新のメリットが生かされない。カラー広告の色校正もデジタル制作に対応したものが望まれるが、技術的な問題や従来の慣習が存在する。
 広告をつくる側である広告主、広告会社、受け入れ側の新聞社の対応はどこまで来ているのか。今回の特集では、新聞広告の素材EDIに焦点をあて、広告主、広告会社、新聞社などの取材を通して、そのメリットと今後の課題を探ってみた。

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