新聞社の総合力が生む「効く」プロモーション
「信頼できる」何よりの強み
電通メディアイノベーションラボ 北原 利行氏
「信頼できる」何よりの強み
日本新聞協会のまとめでは、日本の成人1000人当たりの新聞発行部数は381部。2位ドイツの201部などを大きく引き離して1位の座を占めている。電通メディアイノベーションラボで「日本の広告費」「情報メディア白書」などを担当する北原利行研究主幹は、日本では新聞という媒体が持つ価値は非常に高い、と指摘している。新聞の利点を活用したプロモーションの可能性などについて北原さんに話を聞いた。
新聞というメディアが持つ最大の利点が「信頼性」です。アンケートを見ると、新聞を読んでいない若い人でさえも、「新聞は信頼できる」と答えています。一般的にも、新聞には社会性や公共性があると受け止められています。そして何よりも、「新聞は悪いことはしない」「金もうけ主義ではない」というイメージがあり、それは他の民間企業にはない、大きなメリットです。
例えば読売新聞は、「未来貢献プロジェクト」として、「元気な日本」「豊かな日本」「安全な日本」「優しい日本」を作ることを目指し、健康や環境、AI などさまざまなテーマで自治体や民間企業と協力してイベントやシンポジウムなどを展開しています。これなどは、新聞社ならではの素晴らしい取り組みだと思います。

政府・自治体・民間企業が連携し、様々な社会的テーマを扱う「未来貢献プロジェクト」。6月には「キャッシュレス決済の普及」に向けたイベントを東京・丸の内で開催、にぎわいを見せた

電通メディアイノベーションラボ
メディアイノベーション研究部 研究主幹
北原 利行 氏
企業は、消費者とつながりたい、と思っていますが、企業が直接主体となって宣伝を前面に出すと、逆に反発を買いかねません。そうしたときに、新聞社の信頼性は大きな魅力となります。
新聞社と共同でイベントやプロモーションを展開することは、企業側にとっては「信頼できる」というエンドースメント(裏書き)を得て、幅広い層に安心して参加してもらえることにつながります。新聞社側にとっても、イベントを通じて読者以外に直接、新聞の存在をアピールすることができます。新聞社が持つ優位性を生かしたプロモーションには、まだ大きな可能性があるはずです。

2019年7月25日 朝刊

「未来貢献プロジェクト」ホームページ
https://yab.yomiuri.co.jp/project/mirai/