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いざ、ブランドスタジオ。 ── 鼎談

新聞社の信頼性+デジタル企業の創造性
広告新時代をリードする「YBS」

YOMIURI BRAND STUDIO

2018年4月に本格スタートした「YOMIURI BRAND STUDIO(YBS)」。読売新聞とデジタル企業各社とのコンソーシアム(企業連合)が特徴です。その連合がどのようなシナジーを産み出すのか。YBSを代表して、3人が大いに語りました。

「多様性」が生み出す斬新なアイデア

池上 2013年頃から欧米の新聞社を中心に「ブランドスタジオ」と呼ばれる制作組織が相次いで設立されるようになりました。コンテンツマーケティングに対する注目度が上がっていることが背景にあります。これまで、広告といえば、企業の情報を一方通行で発信する場合が多かったのですが、最終的には商品やサービスに結びつけるにせよ、消費者のメリットになる情報を発信しようという取り組みが増えてきました。そこでコンテンツ制作に長(た)けたメディア企業でスタジオの設立が始まったわけです。
 さらにフェイクニュースや「アドフラウド」という広告詐欺などが社会問題化し、広告に対する信頼性を求められていることも設立に影響しています。ブランドイメージの毀損(きそん)につながらないところということで、社会的な信用度の高い、昔からのメディア企業に注目が集まり、新聞社などにブランドスタジオが設立されるようになりました。
 こうした流れを受けて読売新聞でも2016年に広告局に記者経験者を中心とするクリエイティブチームという組織を設けました。それを発展させる形で18年4月にYOMIURI BRAND STUDIO(YBS)を本格スタートさせました。今日出席していただいているNadiaさんやワントゥーテンさんなどデジタル系企業と連携し、コンソーシアム(企業連合)にしているのが大きな特徴です。

二之形

二之形 何といっても読売新聞はクライアントとの接点が多く、全国レベルであることにメリットを感じています。私たちもクライアントとたくさんお付き合いしていますが、全国各地にいるわけではありません。全国的にデジタルの新しい提案をできるというのは非常に魅力的です。私たちの仕事は、クリエイティブとテクノロジーを活用したコンサルティングに近く、コンソーシアムに参加することで、広告だけだった提案にデジタルコンテンツやイベントなどを組み合わせるなど、新しい提案のお手伝いができると思っています。

池上 YBS では、私たち新聞社が培ってきた「クレディビリティー(信頼性)」とデジタル系企業の「クリエイティビティー(創造性)」の融合を意識しているわけですが、Nadiaさんやワントゥーテンさんから見て、どのような形で相乗効果が発揮できると思いますか。

YOMIURI BRAND STUDIO は、読売新聞東京本社を中心に2018 年4 月に本格稼働した、企業のマーケティング活動を支援するコンソーシアム。読売新聞の記者経験者から、有名アーティストのMV ディレクター、話題になった広告のプランナー、マーケティングコンサルタントまで、多種多様な経験と知見を持つスペシャリストの集合体。案件ごとに最適なチームを組み、信頼性と創造性の融合を意識した提案、制作を行う。プロデュースした制作物は、タイアップメディア、ウェブサイト、観光動画、バイラル動画、新聞や雑誌の広告、イベント、拡散コミュニケーションなど多岐にわたる。brandstudio.jp

加藤

加藤 メディアミックスのようにメディアとメディアが互いの欠点を補完するっていうイメージではなく、お互いの企業の強みを融合させて何か新しいものを作り出していきたいと考えています。そういった意味で、クライアントの課題に対して、広い視野で対応できる体制が整っているというところが大きなポイントになっていると思っています。
 読売新聞社の持っている機能は非常に強力。例えば、我々はデジタルコンテンツを15年ぐらい作ってきていますが、取材網や記者出身者の執筆力などは、やはりかなわない。そうした新聞社の信頼性と強みは、我々にとっても刺激になっています。

二之形 読売新聞はクライアントに寄り添って広告を制作しているので、クライアントの宣伝部とは、当然つながっているわけです。そこで我々が持っているデジタルやクリエイティブの知見を新聞広告の提案に上乗せして提案しています。その意味では各参加企業は運命共同体なんです。
 ただ、ブランドスタジオはまだ確立していないと私たちは思っていて、これからみんなでどんどんアップデートしていって、新しいブランドスタジオを築き上げていくことが次の大きなステップかなと思っています。

加藤 二之形さんと同じですが、読売新聞と私たちが持っている知見を組み合わせることで、本当に新しいことを生み出していく可能性を日々感じています。文化が全然違う会社がそろっているので、出てくるアイデアが実に多種多様。そういったものが組み合わさっていくことが、今後、クライアントに対して向き合っていけるポイントかなと思っています。

池上

池上 参加企業とはかなり深く話し合いをしていて、有志で合宿なんかもしています。YBS 設立の際は大変でしたが、新しいことに挑戦できる楽しさの方が勝っています。具体的な相談から、夢のような提案の話し合いなど、たくさんの会話を重ねてきて、参加企業同士の意思疎通も図れていると思っています。
 徐々にYBS の成果も出てきています。Nadiaさんとやっている「Tokyo Good Manners Project」提供のタイアップメディア『世界は違っておもしろい』もその一つですね。

加藤 世界各地のマナーや暮らしぶりを紹介する企画で、私たち側からすると、普通に世界の生活事情を紹介するだけだよねっていうところにとどまっちゃうことが多い。ところが、読売新聞には素晴らしい取材力があることが知られていて、各国の大使館が取材に応じてくれるわけです。各国の大使館への取材依頼ですらYBSがなかったら、難しかった。その結果、読了率が非常によく、アンケートの関心も高くなりました。

池上 逆を言えば、あれを読売だけでやろうと思ったら、文字ばかりで読み応えのない、反応のないものになってしまっていたかもしれなかった。Nadiaさんと一緒にやることで、没入感の高いデザインとなり、それがより広い層に届くコンテンツになったわけです。

加藤 語り手が誰であるかってすごく重要なんです。世界各国のマナーを紹介するのがサイトの役割ですが、語り手をインフルエンサーが務めるのか、大使や書記官が務めるのかによって、受け手の印象が全然違ってくるわけです。

池上 ワントゥーテンさんとは、昨年10月の紙面で掲載した敷島製パンさんの広告が話題となりました。

二之形 敷島製パンさんからは、10月1日を「超熟の日」として広告を打ちたいというお話があって、女子高生ってマンガ中で走っていると、必ずパンを食べている。なぜか、食パンなんです。その食パンを食べているっていうところから、『弱キャラ友崎くん』というライトノベルに登場する七海みなみというキャラクターを新聞広告で使ってみようということになった。イラストレーターのフライさんに食パンを食べている絵をオリジナルで描いてもらった。「パンだって、走らなくちゃ」=「これからも超熟は、新しい時代に向かって、立ち止まらずに走っていきます。」というメッセージを込めたわけです。
 もっとも、当初それを提案した時は、ちょっとターゲットが違うし、本当にアニメのようなものでいいんだろうかみたいな話になったのですが、敷島製パンさんの社内で見せたら、評価が異様に高かった。

池上 みなみのファンたちが、新聞に出した広告をツイートして、「超熟の日」が情報として拡散しました。これは新聞広告を使って拡散していったという事例になります。

二之形 新聞広告って、50~60歳代がターゲットと言われている中で、20~30歳代の、そのSNSユーザーたちがこのキャラクターを使った新聞広告を広げていった。これはやっぱり掛け算があると思っていて、我々のプランニングやコピーライティング、クリエイティブと、読売さんの持っているメディアとしての影響力や、新聞広告が拡散する知見をうまく活用して展開できたと思っています。

池上 この広告は最初、イベントやウェブのコンテンツなども提案したのですが、結局、あの形になったんです。あの形になった時に、YBS の方で七海みなみちゃんっていうキャラクターを使うプランニングを提案して、実際にワントゥーテンさんに作っていただいたわけです。

加藤 今までだと、クライアント側が広告を作って納品することが多かったじゃないですか。

二之形 今回の広告だって、クライアント側が何をしたいかではなくて、YBS が何をしたいのかということからクリエイティブ自体を制作しました。そこが僕らの強みかなとも思っています。
 僕たちがやらなきゃいけないことって、既成概念を壊していくことなんです。ちょっとした未来を表現する時に、既成概念とか固定観念があると、新しいものは作れないんです。
 例えば広告では、連絡先などの情報を入れなきゃいけないという固定観念があったりしますが、そのような情報はQR コードでアクセスして見てもらって、クリエイティブを画面いっぱいに見せてもいいんじゃないかとか、そういう概念を崩していくことも重要だと思っています。

加藤 そうですね。今回の敷島製パンさんの広告のように、50 歳代の人たちだけじゃなくて、回り回って、20~30 歳代に伝わっていくものを設計できるはずなのに、やはり固定観念が邪魔をしてしまう。

池上 今回の広告では、提案に至るまでのロジックの作り方が、私たちがずっとやってきたものと全く違うものでした。我々は、クライアントから話を聞いてきて、じゃあ新聞1ページいくらですと言って、記事体の広告は作りますから、開発者のインタビューをしましょう、リリースと画像をくださいみたいなことだったわけです。
 ところが、YBS でやっていることというのは、場合によっては、クライアントが出してきた、この辺に問題があるんだけど、何か解決法はないのという、その一番最初のところにもっと突っ込んでいく。どうして売りたいんですかだとか。それから、その市場環境はじゃあどうなっているのかとか、ライバル製品はどうなんだだとかというところまでちゃんとヒアリングや調査をしてから、作っていくわけです。

加藤 コミュニケーションの形がどんどんどんどん複雑になってきているので、どういうコミュニケーションの形があるのかYBS のチームのメンバーと話し合いながら探っていきたいと思っています。最近、弊社の話ですけど、音声を使ったコミュニケーションが非常に増えてきてます。

池上 例えば、どんな感じですか。

3名

加藤 スマートスピーカーが登場し、これまでキーボードやスマホの画面など指で指示していたものが音声に代わってきています。今までは検索結果の上位に来るようにSEO対策など行ってきましたが、スマートスピーカーでレコメンドされるためのアルゴリズムはどうなるのか?こうしたちょっとした未来や社会の変化をYBSでも敏感に察知して、積極的に向き合っていくことができたら面白いと思います。
 例えば、新聞記事を読み上げてくれたり、疑問点を質問した時に音声で答えてくれたりするかもしれない。あとは、手で作業をしていたものが、声による作業になるとか。そうすると、作業している時の両手の使い道が変わってくる。

池上 そうなると広告やメディアではなく、新しい体験といっていいかもしれませんね。広告という枠から逸脱するかもしれないのですが、そういったことも含めて積極的にアンテナを張っていかなくてはなりませんね。
 新聞社はどちらかというと、メディアオリエンテッド側の考え方をしていたんですけれど、クライアントが変わってきているので、我々も変わっていかなくちゃいけない。YBS がスタートしてまだ1年ですが、変化の機運を参加企業と連携しながら、大きな潮流にしていきたいと思っています。

YOMIURI BRAND STUDIO公式サイトはこちら

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