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読売新聞 海外駐在員リポート

from Asia

くまモン×エンゲージメントで熊本PR

今年の3月下旬、暑さのピークを迎えつつあったタイに到着して約4か月がたった。タイの人々の日本への関心の高さ、知識の豊富さに驚くことが多々ある。ホテルズドットコムの調査によると、2016年、タイの人々に人気の海外旅行先の第1位は東京だった。第4位が大阪、第8位が札幌で、10位以内に複数の都市がランクインしているのは日本だけだ。タイの人々にとって日本は憧れの旅行先なのである。

日本に関心や憧れを持つようになったきっかけの一つはコンテンツだ。バンコクでは「ドラえもん」「仮面ライダー」「ワンピース」など、日本のコンテンツに出会う機会が本当に多い。その形は広告、イベント、グッズショップなど様々だ。新聞通信調査会が今年2月に海外で行った「知っている日本人」に関する調査で、タイでは第2位にドラえもんがランクインしたことは、その浸透ぶりの証左と言えよう。

こうしたコンテンツと並んで、あるいはそれ以上に頻繁に出会うキャラクターがいる――くまモン。ご存じ熊本県のマスコットキャラクターだ。バンコク中心の高級ショッピングモールにくまモンのグッズショップがあったり、バンコク市民の足である鉄道「BTS」のICカードに期間限定のくまモンバージョンがあったりと、至る所でくまモンと出会うことができる。3月下旬には「KUMAMON FANS THANKSGIVING PARTY 2017 in Bangkok」、すなわちファン感謝祭が開催され、本人(?)が来タイした。会場には大勢のファンが集まり、くまモンがステージ上でダンスを披露するなどして大いに盛り上がったそうだ。

実は、これらは単に「タイでくまモン人気が自然に出た」という現象ではなく、熊本県による戦略的な取り組みの結果なのである。同県は15年12月に、タイにおけるプロモーションについて現地企業と連携協定を締結し、PRイベントなどの取り組みを始めた。昨年9月からは「タイにおける震災復興プロモーション」として、これらをさらに強化。タイ大手飲料メーカー「SINGHA(シンハー)」グループ傘下のカフェチェーンとタイアップして、熊本県産品を使用したケーキやくまモングッズの販売、熊本県の観光PRを行うなど内容を発展させている。

くまモンを前面に出すことでコンテンツ好きのタイの人々の注目を集め、キャラクターへの興味だけで終わらせず、熊本県の観光、食への関心を高めて実際の来訪につながるよう動線設計が行われている。他方、関心の入り口であるくまモンに関しても、ファン感謝祭のほか、今後、「くまモン・マラソン(仮称)」、くまモンが出演する熊本を舞台にした映画のシナリオ募集などが計画されており、ファンとのエンゲージメントを重視した展開によって、その存在感はますます高まると予想される。

タイは日本の自治体にとっても注目の市場だ。個人旅行が訪日タイ人旅行客の7割以上を占めているため、タイの人々からいかに認知と関心を得るかが重要だ。その点、キャラクターコンテンツはそのきっかけになりやすい。また、SNSが大好きなタイの人々はFacebookやLINEを通じて日々膨大な量の情報に触れている。情報の波にのみ込まれないように日本とのエンゲージメントを醸成しながら、実際の訪日や県産品の購買につなげたいところである。アップデートしやすくシェアされやすいキャラクターコンテンツは、これに一役買うだろう。タイの自治体が展開しようとするインバウンド施策のヒントは、日本の「先輩」が教えてくれた。

杉崎雄介 バンコク駐在

4月に着任しました。高層ビルや巨大ショッピングセンターのはざまにローカルフードの屋台が軒を連ねるバンコクの二面性と熱気を楽しみながら過ごしています。いまだに想像もしないハプニングに驚かされることが時々ありますが、「マイペンライ(大丈夫)」という言葉を多用しながら徐々になじんでいます。

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