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STORYストーリー

餃子で日本の食卓を明るくしたい 
「餃子の雪松」が社会貢献を続ける理由

11月17日の全国朝刊に大きく掲載された日の丸のビジュアル。「日本は、いい場所だね。」というコピーが目を引きます。全国で現在320の無人店舗を持つ「餃子の雪松」は、この新聞広告で、ある「ステートメント」を表明しました。

2021年11月17日全国朝刊

2021年11月17日全国朝刊

広告紙面右下にあるように、「児童養護施設に無料で餃子をお届けします。」とお知らせしたのです。

今回の施策について、「餃子の雪松」を展開する株式会社YESの高野内謙伍様にお話をうかがいました。

24時間無人店舗の餃子専門店

株式会社YES 高野内謙伍氏

株式会社YES
マーケティング部 部長
高野内 謙伍 氏

――最初に、御社のプロフィルについて、ご説明いただけますでしょうか。

高野内氏:群馬県のみなかみで昭和15年に創業した「お食事処 雪松」の餃子を工場直送で冷凍販売する会社として、2018年9月に埼玉県入間市に第1号店をオープンさせました。「雪松」は、全国的に知名度が高いわけではないものの、著名な芸能人やプロのアスリートがひそかに訪れる、知る人ぞ知るお店だったのですが、後継者がいないということで、当時の店主が困っていらっしゃいました。そこで店主の甥で、弊社代表の⻑谷川が「雪松」の味を引き継ぐということでスタートさせました。

群馬県のみなかみで昭和15年に創業した「お食事処 雪松」

群馬県のみなかみで昭和15年に創業した「お食事処 雪松」

――24時間、無人店舗という業態を採用された理由は何でしょうか。

高野内氏:「いつでも手に入る」ということで、24時間はどうしても実現したいと思っていました。1号店は有人の飲食店スタイルで、オープン当初から連日ものすごい行列ができ、品切れでお客様に謝罪し続けでした。朝の3時、4時まで製造しても間に合わない。このままお客様にご迷惑を掛け通しではいけないと思い、飲食なしの持ち帰りに業態を変えていくことにし、2019年7月に大泉学園前店(東京都練馬区)を無人の1号店としてオープンさせました。

店舗外観(中野店)

店舗外観(中野店)

店舗内(中野店)

店舗内(中野店)。
入店した客は左の冷凍棚から商品を取り出し、右側の料金箱に料金を入れる。おつりが出ないよう、1箱1000円の設定だ。

無人化については、社内でも反対意見がありました。ただ、この国には昔から無人の野菜販売所などがあり、「日本だから大丈夫」という思いが私自身の心の中にありました。「まず無人でやってみて、だめなら有人に戻せばいい」くらいの気持ちで始めました。実際、これまで無人だということで、大きなトラブルは起きていません。

利益を良い形で社会に還元したい

――児童養護施設に無料で御社の餃子を提供することになった経緯を教えてください。

高野内氏:販売所の料金箱の差し入れ口が詰まって、お金が投入できないというトラブルがあった時のことです。お客様は、お金を入れることができなくても、箱の上にお金を置いていってくださったのです。防犯カメラの映像で確認しても、皆さん、きちんと払っていかれていました。それを知った時に、私たちの仕事は「お客様の誠実さ」によって支えられていると強く感じました。それは軽く受け止めてはいけない、自分たちの利益を良い形で社会に還元させていかなくてはいけないと思ったのです。

一方で、私たちは、コロナ禍になる前から一貫して、「家庭の食卓を明るくしたい」との思いで、日々業務に取り組んできました。ただ、いろんな事情があって、家族と一緒に暮らせないお子さんがいるのも事実です。弊社の餃子をお届けすることで彼ら彼女らの食卓を明るくしたい、私たちがちゃんと見守っていることを伝えたいと思い、児童養護施設へのご提供を考えつきました。

問題意識の高い新聞読者に知らせる

――そういった思いを新聞広告を通じて発信された意図・狙いはどこにありましたか。

高野内氏:新聞広告を出す前は、弊社独自にウェブなどでリサーチし、児童養護施設に私を含めた社員が出向き、餃子の提供をご提案する活動を行っていました。ところが、それだと大変手間がかかります。それで、新聞広告を出させていただきました。ヘッドコピーの「日本は、いい場所だね。」は、ふだんお客様から私たちに寄せられている言葉です。「無人店舗で営業できるなんて、日本はほんといい国だね」というお客様の言葉は、私たちがふだんから思っていることでもあったので、それをコピーに使わせてもらいました。

ネットでいろいろな情報が入手できる今の時代に、新聞を購読している方は、問題意識の高い、選りすぐりの人たちだと思います。中でも、読売新聞は、偏りのない、大衆性の最も高い新聞だと個人的には思っています。新聞広告によって、日本全国の意識の高い層のより多くの方に、私たちのメッセージが届いてくれるものと期待しました。

想像以上の反響が

――反響はいかがだったでしょうか。

高野内氏:私たちが前もって想像していた以上でした。実は新聞広告を出す前に、全国に児童養護施設がいくつあるか調べたのです。650ぐらいあるようで、その全部から申し込みがあった場合もご提供する覚悟でしたが、実際は「これくらいだろう」と想定していた数字があります。それをはるかに上回る300を超える施設から申し込みがあり、現在毎月、約1万3000人のお子さんに弊社の餃子を提供させていただいています。あとうれしいことに、活動に参加したい、寄付をしたいというメールやお便りもたくさんいただきました。

YES本社に届いた、施設からの喜びのお礼状

YES本社に届いた、施設からの喜びのお礼状

※写真はすべて(株)YES提供

江戸時代の商人に学ぶ

――今回の御社取り組みは、SDGsの「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」といった項目に合致するものですが、御社におけるSDGsの取り組みや企業の社会貢献についてのお考えを教えてください。

高野内氏:実際に社内で、SDGsというフレーズが使われることはあまりなくて、商人としての道徳観・倫理観を第一に考えています。かつて江戸時代の商人が倹約・勤勉に努め、飢饉の際に蔵を開放して困った人たちを救済した、そういう姿勢を見習っていきたいと思っています。

――今後、取り組みたいPR施策や社会活動がおありでしたら教えてください。

高野内氏:現在行っている児童養護施設への餃子の提供を継続できるよう、本業でしっかり業績を上げていくのが当面の目標です。おかげさまで、現在320店舗を超え、4月には当面の目標としていた400店舗、全国47都道府県での開店も視野に収めております。今後も、成長の規模に合った社会活動を適宜展開していきたいと思っています。

新聞読者は選りすぐり

――最後に改めて、新聞広告についてのご印象、ご意見をいただきたくお願いします。

高野内氏:先ほども申し上げた通り、選りすぐりされた読者の方を多く持つというのが、新聞広告の大きな魅力のひとつではないでしょうか。そういう意味では、ネットとは対極の立ち位置ですよね。ネットは基本的には無料で情報にアクセスできますから。あとありがたいのは、折り込みチラシですね。新規に店舗をオープンさせる際に大変お世話になっています。

――本日は、貴重なお話をありがとうございました。

最後に、読者の声を紹介します。

  • 今まで知らなかったが、とても独特で魅力的だと思った。今度見かけたら買おうと思った。(男性29歳以下)
  • こういう行動は多くの企業が真似して欲しいと感じる。(男性40代)
  • このような取り組みをしているのを初めて知り、とても興味深かった。誠実さを感じた。(女性30代)
  • とても感動的な広告です。餃子の雪松の印象ががらりと変わりました。社会貢献活動をしている企業はすばらしいと思います。HPで確認してみたいと思います。字が中心の広告ですが、しっかりと読ませていただきました。(女性50代)
  • 近所にあるが利用したことがなかったがこの広告で是非買ってみたいと思った。少しでも役に立ちたいと思える良い広告だ。(女性60代)

※J-MONITOR調査【調査実施機関】ビデオリサーチ【調査日】2021年11月18日(首都圏)より

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