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東京五輪の感動の「一瞬」とともに、キヤノンが果たした使命と役割

今年7月から8月に開催された東京五輪期間中に読売新聞に8回にわたって掲載されたキヤノンの「一瞬」企画。選手の表情や動きをとらえた芸術性の高い報道写真と連動したクリエイティブが注目を集めました。キヤノン株式会社宣伝部長の岡本芳弘様に企画のねらいや反響についてうかがいました。

8月1日朝刊

8月1日朝刊

オリンピック報道を側面からサポートする企業姿勢を知ってもらう

キヤノン宣伝部長 岡本芳弘氏

キヤノン株式会社
宣伝部 部長
岡本 芳弘 氏

――「一瞬」企画の協賛の目的とねらいを教えてください。

岡本氏:キヤノンが東京五輪・パラリンピックの国内の最上位スポンサー「ゴールドパートナー」であり、世界中から集まったフォトグラファーの方々を支えていることを広くみなさんに知ってほしいとの思いから企画しました。

もともと2019年に日本でラグビーワールドカップが開催された際に、読売新聞で今回と同様に報道写真と連動した「一瞬」企画を実施しました。この時の反響がとてもよく、読売マーケティング賞のグランプリもいただきました。今回の東京五輪でも、同じようなことができないかと早い時期から読売新聞と検討を進めてきました。ただ、ラグビーワールドカップは、競技はラグビー1種目で撮影内容をイメージしやすかったのですが、東京五輪は33競技、339種目に上り、どこでどんなシーンを撮影できるか想像できず、当初は不安や心配もありました。そうした中で、読売新聞の協力で実現できました。

8月3日朝刊

8月3日朝刊

オリンピックの素晴らしさを届けようとしているフォトグラファーの方々を我々がきちっと支え、大会そのものも支えることができれば、「ゴールドパートナー」としての責務を果たすことになるとの思いもあります。特に今大会は無観客開催となり、来場できない一般の方々に、選手の緊張感や会場の空気感などを伝える報道を側面からサポートできたことは我々にとって重要なことでした。

報道写真と親和性の高いレイアウトを目指す

――制作面でご苦労された点、こだわった点を教えてください。

岡本氏:東京五輪の33競技、339種目の写真と、キヤノンが訴求したい内容をいかにマッチさせるかにこだわりました。このため、翌日の紙面を飾る写真、この企画にふさわしい写真を前日に撮影できるかどうか、競技日程を見ながら「この技術について伝えることができる競技は何か」といったことを読売新聞のオリンピック・パラリンピック事務局と一緒に調査しました。こうした中で、当日、撮影した競技の写真を読売新聞側で確認し、それにふさわしい広告紙面を選択することで、編集と広告の親和性の高いレイアウトを作成してもらいました。この部分をつくりあげるまでが非常に難しかったと感じています。

結果的には、通常のスポーツ面に掲載されているような報道写真とは違う、芸術性の高い作品が掲載されました。とても面白く、質の高い写真を読売新聞の写真部の方々に撮影していただきました。

8月8日朝刊

8月8日朝刊

――掲載された紙面の印象を教えてください。

岡本氏:上段の芸術性の高い報道写真に引かれて、下段の広告クリエイティブを含めて紙面全体に目を通してもらい、カメラの機能の進化や私たちの思いが分かるように企画しました。実際に読売新聞に大きく出ているということで、読者のみなさんにも驚きを持って見ていただけたと思っています。

7月28日朝刊

7月28日朝刊

上段の報道写真では、7月28日掲載の写真は、オリンピックのエンブレムと一緒に映るバドミントン女子ダブルスの2人の選手という構図で、すごく新鮮で魅力的でした。ロボティックカメラシステムは、一般の方が理解するにはとても難しい機能ですが、天井から撮影したこの写真からロボティックカメラシステムの機能が十分に伝わってきました。

7月25日朝刊

7月25日朝刊

8月5日朝刊

8月5日朝刊

7月25日掲載のビーチバレー競技の写真は選手が宙に浮いた「一瞬」を見事に切り取っています。8月5日掲載のトライアスロン競技では、スタート台から一斉に水中に飛び込んでいる様子をとらえており、「何だろう」と思わせるところが写真としてとても面白いです。芸術性の高い報道写真に読者の方々が手を止めて、「不思議だな」「何だろう」と見ていただいて、下段のテキストや写真といった部分にも目を通してもらえたと感じています。

また、17日間の競技日程のうち、8日間、計8回掲載され、2日に1回はこの企画が掲載されました。読者のみなさまも「今日はあるかな」といった目でも見ていただけたのではないかと思います。

キヤノンのカメラへの安心感、信頼感につなげる

――クリエイティブ面で注力された点を教えてください。

岡本氏:キヤノンは、東京五輪・パラリンピックの「ゴールドパートナー」としてカメラ・レンズの貸し出しやメンテナンスを通じ、フォトグラファーの方々を中心に報道の現場を支えています。今回の東京五輪・パラリンピックでも世界中からたくさんのフォトグラファーの方々が来日されました。広告のクリエイティブでは、撮影に使われたカメラの機能とともに、なぜ我々が撮影のプロを支えるのかを丁寧に語りました。

大会期間中、毎日、会場のサービスセンターで、カメラのチェックやクリーニングなどを行ってフォトグラファーの方々が安心して撮影できるようサポートをさせていただきました。こうしたプロをサポートするという当社の取り組みが広く読売新聞の読者のみなさまに伝わり、キヤノンのカメラへの安心、信頼感につながり、「キヤノンのカメラを使ってみよう」といった方が増えればと思っています。

7月30日朝刊

7月30日朝刊

オリンピックとともに進化を続けるカメラ機能も伝える

――広告クリエイティブでは、最新のカメラの機能も紹介されていました。

岡本氏:キヤノンのフラッグシップカメラはオリンピックとともに進化を続けています。キヤノンは、世界中の多くのフォトグラファーの方々に使っていただける、オリンピック開催のタイミングで新製品を投入してきました。フォトグラファーの方々から撮った後にフィードバックをいただきながら、さらに進化を続けていくというサイクルを繰り返し、プロに応えるカメラづくりを行っています。

8月4日朝刊

8月4日朝刊

近年、スポーツ報道の現場でも一眼レフカメラだけではなく、ミラーレスカメラが使われるようになっています。今回、広告のクリエイティブで、キヤノンのミラーレスカメラ「EOS R5」も取り上げました。EOS R5は静粛性が求められる状況でも、静かなシャッター音で撮影できることに加えて、被写体の動きが激しいスポーツでも瞳や顔などにピントを合わせ続けることができるオートフォーカスの機能が魅力です。その特長を生かして、卓球の張本智和選手が、サーブの構えをとる対戦相手の向こう側で真剣な表情で試合に臨んでいるシーン(8月4日掲載)もおさめられています。報道写真と親和性の高いレイアウトで、説得力がありました。

――企画掲載後の反響で印象深かった点を教えてください。

岡本氏:まず、社内の評判が非常に良かったですね。社内の事業部門や生産拠点などでも高く評価してもらいました。読売新聞の全国版を使ったことで、生産拠点がある九州でも読まれましたし、日本全国各地の営業マンもこの企画紙面を楽しみにしていたと聞いています。グループの販売会社をはじめ、サービス店舗でカメラの修理をしている人たちからも反響の声がありました。実際に東京五輪会場のサービスセンターで、日々奮闘しているメンバーの「頑張ろう」という気持ちにつなげることができたのではないかと思っています。また一般の方は、スポンサーが陰でどういうことをしているかわからないと思いますので、私たちが「整備やサービス、技術のサポートで大会を支えている」ということをきちんと伝えていこうと考えていました。実際にそれがちゃんと伝わったと思っています。

新聞広告の活用で、「きちんと広告内容に目を通していただけた」

キヤノン宣伝部長 岡本芳弘氏

――新聞広告でのコミュニケーションについて考えていること、念頭に置かれていることがありましたら教えてください。

岡本氏:新聞広告を活用するメリットは、リーチを確保しながら訴求したい内容を丁寧に伝えることができる点にあると考えています。今回の企画でも上段の報道写真にまず目を止めてもらい、じっくり下段の広告を読んでもらうという作り方にしました。きちんと広告内容にも目を通していただけた方が多いのではないかと感じています。

キヤノンが全面制作した、キヤノンだけのメッセージだった場合には、きっとこのような形で目を通していただくことにはならなかったと思います。やはり、報道写真がフックとなって、下の広告まで読んでいただくという行動につながったとみています。

リーチ数の面でも、700万部を超える販売部数で多くの読者を持つ読売新聞を使うことは、とてもインパクトがあります。一瞬、目を止めてもらい、丁寧に伝えるということが新聞という媒体はできると思っています。この企画を東京五輪大会期間中に、1回ではなく8回掲載したことで、楽しみにしてもらったり期待をしてもらったりというリピート効果がありました。

紙面で掲載された写真は1枚でしたが、読売新聞オンラインで1日に20数枚の写真がアップされ、紙面からもQRコードで誘導できたことで写真そのものの面白さもきちんと伝えることができたと考えています。また、広告紙面のQRコードからキヤノンのオリンピック・パラリンピック特設サイトに読者を誘引し、紙面をきっかけに次のアクション、次のコミュニケーションに展開していくことができました。一方で若い世代にどのようにリーチしていくかという点については課題もあります。若い世代に向けてSNSをうまく使いながら新聞とSNSを組み合わせたコミュニケーションが必要になってくると思います。

――今後「新聞広告で実施したい企画」や、「新聞社と協働してみたいこと」がありましたら教えてください。

岡本氏:新聞を使った企業広告ではリーチが出る、じっくり読んでもらえる、丁寧に説明できることが一大特性だと思っています。記事体広告はじっくり読んでもらうことができます。会社のことを正しく理解してもらうための広告に新聞媒体は有益だと思っています。このほか、シンポジウムやセミナーとタイアップして、その採録をきっちり広告とともにお知らせするという手法があります。

またイベント連動型では、現在、キヤノンは読売新聞で展開している日本の美を未来につなぎ世界に発信する「紡ぐプロジェクト」に協賛しています。日本の伝統文化に対してキヤノンがどう貢献しているかを正しく丁寧に伝えることは、新聞社、また新聞媒体という特性をうまく生かした大切なコミュニケーション手法の一つであると考えています。今後も現在のこういった取り組みを続けていきたいです。

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