第38回受賞作品(2021年度)
■グランプリ
- 大日本除虫菊株式会社
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2021年7月4日/全国版/朝刊/15段
制作者賞- CD/C/PL:古川 雅之[電通関西支社]
- CD/C/PL:直川 隆久[電通関西支社]
- AD/PL:茗荷 恭平[電通関西支社]
- AD:大松 敬和[モノリス]
- D:水江 隆[モノリス]
- D:玉井 智子[モノリス]
- WD:米田 英史[電通クリエーティブX]
- WDE:山田 香恵[電通クリエーティブX]
受賞の言葉古くからある新聞広告と新しく伸長してきたインターネット広告。その特性を対比することで読者を引き付け「新聞+ネット」の相乗効果を狙えないかと考えました。紙面では新聞広告を褒めちぎりながらも、最終的にはネットに誘導してキンチョウのゴキブリ製品を紹介するという自己矛盾のユーモアを打ち出しています。結果、一方通行の新聞広告が入口となってネットで話題になり、双方向のコミュニケーションを得ることができました。
読者モニターからのコメント見入ってしまいました。読みやすいし、何を言っているのだろう?と思ったからです。でも読むとすぐに理解できました。や、一本取られたな!と思いました。これだけセンスのある、また買ってみよう、なんて思わせる広告は今まで見たことがありません。良いです!(男性60代)
痛快な感じがしました。面白いし、ふんふん、そうそうなんて頷きながら、「KINCHO」の広告だったんだ!と。ネット広告に慣れてしまっていて、シャレとしても、このような側面から見た批評も凄く新鮮でした。(女性50代)
インパクトが強い広告だったので、読んでみると「なるほど」と思える内容でした。思わず「すごい!」と言ってしまいました。(女性60代)
■準グランプリ
- ルイ・ヴィトン ジャパン株式会社
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2021年8月4日/全国版/朝刊/30段
制作者賞- 制作:Louis Vuitton Malletier /
Be Good Studios - P:Viviane Sassen
受賞の言葉創業者ルイ・ヴィトン生誕二百周年にあたる昨年8月4日に世界主要都市で展開。「TOWARDS A DREAM(夢に向かって──)」をテーマに、メゾンの原点である「旅の
真髄 」を体現した本シリーズは、壮大な自然で遊ぶ地元の子供たちの好奇心を捉えています。読者の皆様を、時空を超えた心の旅へ誘 うことができればと願い選びました。読者モニターからのコメントこういった芸術的広告は商品を買う・買わないにかかわらず、ブランドの価値を高める。好印象。さすがだなと思えた。大きい広告を見ることができるのは新聞の醍醐味で、楽しめる。ハイブランドの広告ならでは。また次のルイ・ヴィトンの広告を見るのが楽しみだと思った。(男性40代)
シンプルながらもルイ・ヴィトンの存在感を強く感じる写真だと思いました。文字は下部の「TOWARDS A DREAM」というものだけですが、その言葉もなんとなく明るさと希望を感じさせるものだなと感じました。(男性50代)
ブランドイメージだけを伝える新聞での印象広告は、パソコン上やタブレット、スマホではやはり感じることのない迫力や美しさを実感しました。(女性60代)
- 制作:Louis Vuitton Malletier /
■準グランプリ
- 株式会社
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2022年2月12日/全国版/朝刊/15段×2 ページ送り
制作者賞- CD:橘野 準[東急エージェンシー]
- AD:浅野 喬樹[東急エージェンシー]
- C:阿部 玲奈[東急エージェンシー]
- AE:矢澤 信幸[東急エージェンシー]
- AE:中野 賀文[東急エージェンシー]
- AE:藤 航太[東急エージェンシー]
- AD:金本 圭一[サブロク]
- D:キムヨンチョル[サブロク]
- PR:武富 誠[サブロク]
- PR:永井 一成[サブロク]
- PM:佐生 佳[サブロク]
- PM:田中 千尋[サブロク]
- RET:宋 銘沛[ルクス]
- FCO:矢澤 史帆
- P:難波 亮[Smooth]
受賞の言葉レトルトを食する機会が増えている一方で、利用にはちょっとした罪悪感がある・・そんな気持ちを払拭できればもっと生活者のお役に立てるのでは、と考えました。単なる企業発信にならないよう、「あたたかみ」のあるメッセージで表現しました。「がんばって」作っているボンカレーで、「がんばらない」でほっとひと息していただければ幸いです。
読者モニターからのコメントお馴染みのマークが大きくカラーで目立ち、レトルトの誕生を知ることが出来たうえに、『レトルトで、がんばらない。』というキャッチコピーに感動と共感をおぼえた。今後もレトルトの良さを発信して欲しい。(女性29歳以下)
ボンカレーは有名な商品だが、メーカーがというのは初めて知った。文章を読んで手軽に食べられるレトルトカレーを作るのに決して手軽では無かった商品化までの道のりが感じられた。(男性30代)
レトルトの日というものを初めて知ったが、対になるメッセージが面白くて、文字の方も読みたくなる感じは良かった。二面にもわたってカラー広告を出しているということで力を入れている感じが伝わってくるし、今度お店で対象商品を探してみたいと思わされた。(男性30代)
選考委員講評
東京藝術大学
学長特命・美術学部デザイン科教授
グランプリの大日本除虫菊は、新聞広告を褒めちぎってるようでいて実は新聞広告の限界も同時に提示していて、最後はテレビ CM やラジオCM、デジタルキャンペーンもアピールしながら自社のホームページに誘引しています。誰が上だとか下だとかじゃなく、それぞれの力を尊敬し合いながら力を重ね前に進みましょうよという社会メッセージだと勝手な深読みもできて、でもやっぱり新聞広告への期待と激励にもちゃんとなっていて、そんなセンスと愛がとても素敵でした。ルイ・ヴィトンとボンカレーとの3ショットも絶妙です。
前年に較べて、挑戦的な作品が多かったような気がします。ようやく、コロナ禍の長いトンネルの出口が見えて来たからでしょうか?KINCHOの新聞広告は、読者をハッとさせるインパクトがありましたし、ルイ・ヴィトンの30段広告の美しさは、やはり、読者を惹きつけるものがありました。まだまだ、新聞広告に色々な可能性があることを応募作に教えられました。
準グランプリのルイ・ヴィトンは、美しい写真が目を引いた。新聞広告の王道といえる作品だが、新聞のページをめくった時に心がすっきりする清らかさを感じ、また違うものに出会えるような新聞広告の可能性を見た。紙面からWEB に誘導する広告が増える中、新しい見せ方をした作品も印象的だった。グーグルは、紙面の地球にスマートフォンのカメラをかざすと地球を映し出す動画が現れた。新聞広告を見事に立体展開させて企業姿勢がよく伝わってきた。ロート製薬は、QRコードを読み込んだ先に伝えたいコピーが登場するという発想が面白かった。
近年、コロナ禍においてのメッセージが多かったのが今年はまた元気な広告が復活しました。まさに初心を超えて扉が開く予感がしました。大賞の「いま、いいよね。一方通行の新聞広告」は、ユーモアに新聞にも寄り添っていて私たちを圧倒的に惹きつけました。ルイ・ヴィトンの30段全面広告は、飾りたくなる美しさを維持していました。ファッションの豊かさを表す圧巻な展開です。それぞれの企業特性を最大限に活かした紙面での空間作りが今年の最大の特徴だと思います。今は未来に希望を感じさせる広告が求められてる時期なのかもしれません。
コピーライター
新宿みたいな場所。
新聞広告が、いい意味で混沌としたオープンな場所になってきている感じがしました。準グランプリのような正統派の広告から、グランプリの金鳥のようなサブカルチャー的、風刺表現まで。まるごとバクっと飲み込んでしまうその姿は、街で例えるなら、新宿のようです。都庁や高級ブティック、そしてゴールデン街まで。様々なカルチャーが同居する懐の深さが、なんだかとても魅力的だなと思いました。以前は、ちょっと敷居の高い大手町や丸の内界隈のイメージでしたから。
(選考時は読売新聞東京本社専務取締役広告・事業担当)
コピーライター
極端に表現すると「QRコード広告賞」の審査をしている気分になるほど、「新聞広告からWEBサイトへの誘導」はこのメディアの使い方の主流になっている。が、そんな中でもグランプリ大日本除虫菊の「一筋縄ではいかない」企みぶりは、さすがの広告巧者と思わせるものだった。「一方通行のコミュニケーションへの賛辞」は半分本気で半分皮肉。でも結局は「新聞でしか成立しえない」クリエイティブにおとしこんでいる技は見事である。また、<Society>部門最優秀賞ドン・キホーテの、商品名から一貫して存在感をつくる戦略性にも拍手したい。