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新聞広告がSNSで広がっていく ── 紙拡散「よみバズ」の力 ── インタビュー(III)

新聞広告のSNS拡散を
マス&デジタルの視点で捉える

  • ◆ 新聞広告もデジタルクリエイティブ
  • ◆ “硬派メディア”の意外性で新聞広告が拡散される
  • ◆ マス広告の経験値が炎上リスクを回避する

ファンが新聞広告を拡散してくれる

「デジタルクリエイティブ」の見直しが求められています。そう言うとWebサイトやWeb動画を作ることと思われるかもしれませんが、それは「Webクリエイティブ」で「デジタルクリエイティブ」とは違います。今はテレビもデジタルだし、ラジオもネットで聴ける。駅もデジタルサイネージに変わっている。「デジタルクリエイティブ」というのは、その全部をひっくるめた「次の時代の広告クリエイティブ」だと僕は思っています。

新聞自体はアナログなメディアですが、SNSへの拡散を狙った新聞広告も、「デジタルクリエイティブ」の一つ。拡散が事前に見込めるのは漫画のキャラクターやタレントといったIP(知的財産/Intellectual Property)です。IPには、ファンが付いていて拡散してくれるわけです。新聞は、社会的なメディア、硬派の真面目なメディアというイメージがあります。そのため、若い人に人気のキャラクターやタレントの広告が出ていれば、「意外性」も手伝って拡散されやすくなります。しかも、家庭に直接届けられるメディアですから、SNSで知って、家の新聞で手にとって確認するということも起こりやすい。

マス広告が炎上しにくい2つの理由

一方で、SNSでは、「炎上」の懸念があります。「炎上」自体はこれまでも、例えばオンエアし始めたテレビCMに対し、広告主へ苦情の電話が殺到するなどということはありました。ただ、テレビCMや新聞広告はWebと比べると、はるかに炎上が少ない。一つには、エージェンシーの法務チェックに加え、媒体の考査や審査があるということがあります。Webはマスほど審査が厳しくなく、広告主の自己責任になっているのです。

もう一つは、マスとWebでクリエイティブディレクターが異なることです。SNSで炎上が起こることが多いのは、「自分が馬鹿(ばか)にされた」と感じたときです。Web動画やテレビCMの炎上も同じ理由で起こることが多い。マス広告を長年やってきたクリエイティブディレクターは、「これはまずい」「炎上する」ということを経験的にわかっている人が多いのですが、Webのクリエイティブは歴史が浅く、そうした判断に至りにくいのです。

広告は基本的に、「この広告は私のことを言っている」と感じてもらい、共感してもらうメソッドです。若い女性が出ていれば、自分をそこに投影する。その女性が男性に媚びたことを言っていると感じると、「私はあんなことは言わない。馬鹿にしないでよ」と思う。拡散を狙う広告は、こうしたリスクに敏感である必要があります。

花王ヘルシア

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小霜さんが手がけたテレビとWebで始まり方が違うCM

テレビCMは「脂肪を代謝する力」を広く伝える。WebCMでは、テレビCMの冒頭に数秒足して、見込みターゲットへの「プライベート」なアプローチをしている。

「マスorデジタル」から「マスandデジタル」へ

広告主の宣伝部の組織もマス系とWeb系に分かれていて、交流がないところが多い。それで、同じ商品なのにマスとWebで全然違う広告クリエイティブになっている。それでも回っていたのは、これまではマス広告とWeb広告では求められる役割が違っていたからです。マス広告は、多くの人々に商品の新しい価値に気づいてもらうことで潜在ユーザーを顕在化させるため、クリエイティブディレクターが関わる。Web広告には、顕在化したユーザーの刈り取りを求め、システムエンジニア、メディアプランナー、コンサルタントが関わってきました。

しかし、Webでも、ターゲットによっては潜在ユーザーの発掘やブランディングを行うようになってきた中では、1人のクリエイティブディレクターが全てを統括することが重要です。結局、「モノとヒトとの新しい関係を作るメソッド」という広告クリエイティブの基本は今後も変わらない、ということです。「マスorデジタル」から脱却して、「マスandデジタル」の共闘関係を急いで築く必要があります。SNSへの拡散を狙った新聞広告も、今後はそういう視点で捉えることが大事だと思います。

デジタルクリエイティブ実現のための一冊

 小霜さんの近著「急いでデジタルクリエイティブの本当の話をします。」(宣伝会議刊)。アドテクノロジーが進化し続ける中で、Webでは成果が不確実なバズ動画やWebの特性を無視してテレビCMをそのまま配信するなど、メディア運用者とクリエイティブの寸断によってコミュニケーションが最適化されていない。本書では、自身の仕事の中で培った「デジタルクリエイティブ」の成功例、WebCMの具体的な作り方を中心に、マスとWebをどう統合すれば成果につながるかをクリエイティブ視点で解説する。

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