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BtoB企業にも欠かせない生活者とのコミュニケーション

【寄稿】
BtoB企業こそ「周年」を活用すべき

株式会社 船井総合研究所

チーフ経営コンサルタント 西山 圭

10周年を迎えられる企業は1割以下

企業を取り巻く環境は大きく変化している。厚生労働省が2017年5月に発表した4月の有効求人倍率は1.48倍、バブル期でもっとも高かった1990年7月の1.46倍を超えた。今後も人手不足が深刻化する中で、企業は多様化するニーズに応え続ける必要がある。

企業の生存率は諸説あるが、創業から10年後に存続する企業は10%以下と言われており、20年後には1%以下になってしまう計算となる。20年、30年……100年と存続できる企業は支持され、信頼され、社会、地域に根ざしているということだ。そのような企業のみが、5年、10年に一度の節目に行うことができる、企業の周年事業についてまとめていきたい。

帝国データバンクによると、2017年に周年を迎える企業の数は全国で14万5103社(上場企業は458社)。10周年の企業が2万1904社、50周年の企業が2万3273社、100周年の企業が1011社だという。

代表的な企業を紹介すると、1717年創業・300周年を迎える清酒製造の沢の鶴。さらに1917年創業・100周年のTOTOやニコン、森永乳業、横浜ゴムなどがあり、各社様々な周年事業を行っている。

周年を飛躍のための再スタートに

企業における周年への取り組み方も変化している。一昔前は、周年イベントや周年パーティーなど式典の色合いが強く、社員とその家族、取引先、ステークホルダーへの感謝を伝える程度で終わっていた。しかし昨今は、どの企業もさらに成長し飛躍するための再スタートの場とし、単なるイベントで終わることなく、周年を戦略的に捉えているようだ。次の10年に向けた、企業ブランディングの一部を担ったものや創業者の哲学、思いなどをカタチにする機会になっている。

例えば、創業100周年のニコンは、企業の歴史と伝統、自社の技術を伝えるミュージアムを開設。横浜ゴムは、100周年ロゴの制作、記念サイト、展示会での歴史紹介など100年の軌跡をまとめる活動を行っている。創業300周年の小野薬品は、「病気と苦痛に対する人間の闘いのために」という企業理念のもと、熱いメッセージをCMで発信している。

周年事業がどのような価値を生み出すかを整理すると、一つ目は、企業理念や社史の振り返りなどを通して、自分たちのルーツを再確認できること。二つ目は、自社の事業に関わるすべての関係者への感謝を示せること。三つ目は、企業ブランディング、イメージアップを図ることができること。そして四つ目は、社内の大切な考え方、言葉を体系化することで共通の価値観作りができるということだ。ものの考え方、見方が、言葉や概念として整理されることで、社員の共通の価値観となり、企業文化を創っていくことになる。

ブランディングと上位概念の可視化

周年事業の取り組み項目を整理した【図】をご覧いただきたい。  ブランディング領域の記念サイト、周年記念広告、周年記念動画、記念ロゴなどは多くの企業が取り組んでいる事柄であり、周年を機に自社の信頼と実績を対外的にアピールしている。特にBtoB企業の場合、自社の歴史や理念、独自技術などを伝える機会はそれほど多くはないため、周年がよい機会となる。BtoB企業は、ただ商品や技術が良いから、値段が安いから、短納期に対応してくれるから、というだけでは取引に結びつかないケースが多々ある。取引候補になるためには企業の持つ信頼と実績が必要だからだ。

【図】周年事業の取り組み項目

BtoB企業ほど、周年を10年、20年と自社が存続してきた信頼と実績を伝えることのできる、絶好の機会と捉えていただければと思う。

一方、上位概念の可視化の領域では、WAYBOOK、クレドなどがある。

WAYBOOKとは文字通り、自分たちの進むべき道を可視化した小冊子である。企業理念をベースに、自分たちらしさを大切にしながら、独自固有の長所に磨きをかけて、他社が追随できないレベルまで個性を際立たせていくための目指すべき姿を、自分たちの言葉で語るものだ。

弊社船井総合研究所でも、2010年に創業40周年を迎えるにあたり作成した。社員自らWAYBOOKを作成することで、大切にし続けたい考え方、ものの見方、言葉が体系的に整理され、共通の価値観が持てることを実感できた。

WAYBOOKとクレド

クレドは企業としての基本的な信念、創業者の思いに基づき、大切にしたいスタンスと具体的な行動を表現し、簡潔にまとめたものである。朝礼などで唱和することで、判断に迷ったときの社員の戻り場になるし、模範的な行動を確認できる。ジョンソン・エンド・ジョンソンの「Our Credo」はよく知られており、同社の社会的責任が記されている。世界に散らばるグループ各社、社員の行動の拠(よ)り所・指南役として受け継がれているのだ。

創業から何十年、何百年とたつと、創業者の教えや考え方に触れる機会がめっきり少なくなる。また企業規模が大きくなればなるほど、多様な価値観の人々が働くことになる。

周年を機に、社内の共有認識を再度創り、自分たちのルーツを確認することで、社内を一体化させ、次の10年へのスタートにしてもらえればと思う。

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