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売れている商品はどう新聞広告を使っているか ── 健康志向の食品 3つの事例 ──

新聞広告中心の地道なコミュニケーションが実ってきた

─「麹だけでつくったあまさけ」の広告展開 ─

株式会社八海山

営業部 企画・広報チーム 広報担当 浜崎こずえ

酒造メーカーがつくった甘酒が売れている。「麹だけでつくったあまさけ」の発売は2009年。広告を始めたのは2013年秋からで、一貫して新聞広告を中心に展開している。結果としてそれが口コミを生み、雑誌など他のメディアにも取り上げられる要因にもなった。これまでの取り組みを八海山広報担当の浜崎こずえ氏に聞く。

日本全国の世帯に届く新聞が適していた

── 「麹だけでつくったあまさけ」が売れていますが、どのようなコミュニケーション戦略を取られているのでしょうか。

「麹だけでつくったあまさけ」の発売は2009年、広告は2013年から新聞広告を中心に展開しています。一部雑誌も使っていて、広告展開としてはそれがすべてです。この地道なコミュニケーション活動が昨年あたりから実ってきたと思っています。

── なぜ新聞広告だったのでしょうか。

「麹だけでつくったあまさけ」は、825g/800円(税別)、118g/190円(税別)と甘酒としては決して安くはありません。酒づくりで培った蔵人の高い技術力を生かし、麹と水だけで実直につくっている高品質の甘酒です。その良さを伝えるには、日本全国の世帯に届く新聞が最も適したメディアだと考えたからです。

八海醸造(注)は新潟県魚沼の地酒地方メーカーとして日本酒をつくってきた会社で、広告はほとんど行ってきませんでした。甘酒は八海醸造にとって新たな経営の柱をつくるチャレンジです。日本酒の八海醸造が甘酒をつくり始めたことを社会に広く知ってもらうために、新聞広告を始めたということもあります。実際、新聞広告の読者の反響を見ると(下記J-MONITORのモニターの声参照)、「八海山のつくる甘酒」であることが、商品に対する興味や信頼に繋がっていることがわかります。

(注)八海醸造株式会社は清酒「八海山」をつくる酒造メーカー。販売・広告活動などを担当する株式会社八海山とは別組織になっている。

2016年2月27日 朝刊

2016年8月4日 朝刊

J-MONITORのモニターの声

増産で2014年から扱い店舗が増加

── 甘酒は新たな事業展開の一つということをもう少し教えていただけますか。

八海醸造の創業は1922年(大正11年)で、清酒を柱に発酵食品企業として「米・麹・発酵」をコンセプトに事業展開を進めています。八海醸造のある南魚沼市は冬には3メートルの雪が積もる豪雪地帯です。長い冬を乗り切るための保存食文化が根付いています。その保存食をつくる上で重要な位置を占めているのが麹を使った発酵食品です。魚沼にある酒蔵として、その保存食文化を大切に伝承していきたいと考えています。

その一つが「麹だけでつくったあまさけ」です。他にも、魚沼の食と文化を全国に紹介する「千年こうじや」というブランドを立ち上げ、ネットショップに加え、地元魚沼や東京、神奈川などに5つの実店舗を経営していますし、発酵ワークショップなども開催しています。また、八海山の麓にはレギュラー酒を製造する八海醸造第二浩和蔵を中心として、そば屋やカフェ、売店を備えた「八海山雪室」などが点在する「魚沼の里」も運営しています。弊社の代表(南雲二郎代表取締役)は、「我が社は魚沼株式会社だ」とよく言いますね。

南魚沼市にある「魚沼の里」

千年こうじや神楽坂店の店内

── 「麹だけでつくったあまさけ」は「千年こうじや」でも購入できるのですか。

Webサイトでも購入できます。実は、「麹だけでつくったあまさけ」は、売っているところがまだ多くはありません。新聞広告を出して一番多いのも、「どこで買えるんですか」という問い合わせです。

── 新聞広告には「商品のご購入は」として、電話番号とメールアドレスが掲載されていますね。

ホームページにも「麹だけでつくったあまさけが買える店」というページはつくってありますが、電話での一件一件の問い合わせにはお近くの店舗を紹介させていただいています。

大きなスーパーやコンビニで売っている商品ならその必要もありませんが、そうなるためには生産体制の整備が必要なんですね。2009年に発売を始めた当初は、酒蔵の一角で製造していたのですが、2014年11月に甘酒専用の製造所をつくってから成城石井、東急ストアといったところでも扱っていただけるようになりました。2017年7月にはまた製造所を新設し、製造量も倍ぐらいになる予定です。扱っていただける店舗をまた増やせると思います。

今年7月には2つ目の専用工場が新設される

高品質の甘酒を3つのポイントで伝える

── 新聞広告で伝える内容は、どんな点を重視しているのでしょうか。

高品質のモノづくりをしていること、ノンアルコールであること、麹と水だけでつくっていることの3つです。

まず、「高品質のモノづくり」とは、酒づくりで培った技術で甘酒をつくっていることです。日本酒づくりと同等な準備を原料米に施すことや麹に含まれる酵素を使って米のでんぷんを糖化させて甘味を出すという、酒造メーカーだからこその特有の酒造技術を生かしていること。毎日お飲みいただくことを考慮し、すっきりとした自然な甘さを実現するために、清酒製造で培った経験値を生かし、麹の出来をコントロールするなど、我々にしかできない製品づくりをアピールしています。

それから、「ノンアルコールであること」を伝えるというのは、酒かすの甘酒だと思っている人が意外に多いからなんですね。日本酒の仕込みは秋から冬にかけて行われますが、もろみから酒を搾った残りが酒かすで、約8%のアルコールが含まれています。これをお湯に溶かして、砂糖を入れる。酒かすの甘酒は寒い冬に飲む飲み物です。これに対し、本来の麹でつくるアルコールを含まない甘酒は、主に夏に作られ、冷たいまま飲む飲み物でした。俳句でも「甘酒」は、夏の季語になっています。

── 麹と水だけというのは?

米麹と水だけでつくられていて、混ぜものは一切していないということです。麹の甘さというのは、でんぷんが分解したブドウ糖の甘さなんですね。酒づくりで培った技術でつくった高品質の甘酒、それが「麹だけでつくったあまさけ」だということです。

2016年に甘酒が大きな話題に

── 「麹だけでつくったあまさけ」が売れた要因は何だと思いますか。

製品の品質には自信を持っており当初から消費者の反応は良く、リピーターも多くありました。加えて、2011年の東日本大震災でした。夏場の避難所の生活でも栄養を効果的にとるには甘酒がいいと言われ、避難所で甘酒が飲まれるようになったのです。これが甘酒が世の中でクローズアップされてきたきっかけです。私たちの会社の甘酒ということではなく、体にいい飲み物として甘酒全般が世の中に注目されたということです。翌年の2012年からは、私たちの会社の甘酒も売れ出したのです。

── その後の動きはいかがですか。

世の中で大きな話題になったのは2016年になってからです。

そのいい例が、ぐるなび総研が毎年12月に発表している、その年の世相を最も映した料理を選ぶ「今年の一皿」です。2016年の大賞は「パクチー料理」でしたが、特別賞に「こうじ甘酒」が選ばれたんですね。選定理由は、「世界的な発酵ブームの中、日本の国菌である『こうじ菌』が再評価された。同時に『飲む点滴』という表現が話題となり、その栄養価の高さにも改めて注目が集まった(ぐるなび総研HPより)」というものでした。

2016年12月4日 朝刊 (全5段広告)

── 東日本大震災で甘酒が注目されて5年以上たっているわけですね。

雑誌への取り上げられ方を見ると、その間の経緯もより具体的に見えてきます。「美的」「MAQUIA」「VoCE」といった美容誌から、記事で紹介したいので商品写真を送ってほしいという依頼が増えてきたのが3年ぐらい前からです。一昨年前ぐらいからは、酒販店を回ってきた営業から、「きょう、◯◯という女優さんが『麹だけでつくったあまさけ』を買いに来た」「芸能事務所の人が大量に買っていった」という話をよく聞くようになりました。そして、昨年頃から美容誌だけでなく女性誌からの掲載許可の依頼が多くなり、年末には健康系雑誌の「Tarzan」にも紹介されました。

新聞広告を中心としたこの3年間の私たちのコミュニケーション活動が実ってきたと実感しています。

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