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オウンドメディアは問いかける

モノからコトへ
ワコールをお客様の「ふだん」に定着させる

ワコール

総合企画室 広報・宣伝部 WEB・CRM企画課課長 松本禎之

ブランドサイトや通販サイト以外のオウンドメディアに10数年前から取り組んできたのがワコールだ。Webサイトの数は2桁にのぼる。その狙いは、お客様の「ふだん」に、どれだけワコールというブランドを取り入れていただくかだという。オウンドメディアの取り組みを聞いた。

── オウンドメディアと言っても各社定義がまちまちの状況だと思いますが、ワコールではどのように捉えていますか。

弊社ではお客様向けの自社コンテンツをすべてオウンドメディアと位置づけており、IR情報やCSR活動など様々な企業情報を紹介するコーポレートサイトのほか、ワコール総合商品・情報サイト(wacoal.jp)やECサイト(ワコールウエブストア)など商品・売場検索、お買い上げに役立つコンテンツを集めたサイト、 お客様に普段から下着、からだ、弊社を意識していただくことを目的とした「WACOAL BODY BOOK(以下BODY BOOK)」や「ガールズばでなび」「みんなの下着白書。ブラパン!」などのサイトを展開しています。

読み物として始まったオウンドメディア

── 「BODY BOOK」や「ガールズばでなび」は普段からワコールを意識してもらうサイトということですが、具体的にはどういうことですか。

私たちはお客様の行動フェーズに寄り添う形でオウンドメディアを下の図のように置いています。

「ふだん」「リサーチ」「購入する」「活用する」という四つのフェーズを考えると、下着を買うお客様が利用するのは「リサーチ」と「購入する」の二つに関連するブランドサイトや通販サイトで、しかも多くの場合、その頻度は高くありません。非常に短い期間しかブランドとの接点が得られません。しかも、下着はアウターウェアと違って、「ふだん」の生活ではあまり意識されないのが普通です。日常の生活の中に、どうすればワコールというブランドが食い込めるかというのが我々の課題だったのです。

── その解決策が「BODY BOOK」や「ガールズばでなび」だったということですか。

そうです。ただ、「ふだん」からワコールに関心を持ってもらいたいという意図は共通ですが、アプローチはそれぞれ違います。

例えば、「ガールズばでなび」は、小学生・中学生の女の子が自分の悩みを打ち明けたり、からだやバストの成長について調べたりできる情報サイトで、2002年に開設しました。その元になっているのは永年にわたり日本女性のからだの研究をしてきたワコールの知見です。

また、図にはありませんが2004年に開設した「cocoros(ココロス)」は、下着に向けられた女性の思いを社会科学的に検証するサイトです。その中に、「なぜ女性は見えない下着にこだわるのか」という素朴な疑問から2005年にスタートした社会心理学の先生とワコールの共同研究の結果を公表しています。しっかりしたエビデンスを元に、ワコールは女性の心に寄り添っている会社であることを伝えています。日常的に読んでもらえる“読み物”という発想から始まったのがこの三つのサイトです。

cocoros

── 「ブラパン!」はどういう意図で開設されたものなのですか。

ブラパン!」には「みんなの下着白書」というサブタイトルを付けていますが、その名の通り、「ガードルはショーツの上にはくのか、素肌に直接はくか」とか、「パジャマを洗う頻度は?」といった、気になるけれど、なかなか人に聞けない下着やからだの疑問をみんなに聞いて、その結果を発表するサイトです。2009年の開設で、「女性の心に寄り添う」というコンセプトは「cocoros」と同じですが、専門家の意見ではなく、「みんなの意見を聞く」というところが異なります。

コトを通して注目してもらう

── 「BODY BOOK」は2013年4月に開設した比較的新しいサイトですね。

下着という「モノ」ではなくて、女性が日常的に関心のあるからだ周辺の「コト」を通してワコールに目を向けてもらおうという狙いです。 初期のオウンドメディアは「読み物」として始まったと言いましたが、これは検索ワードを意識して作っています。

── どういうことですか。

下着を店舗やネットで購入したいと思ったお客様は、「ワコール」「下着」というキーワードで検索して商品サイトや通販サイトに移動する人がほとんどです。「BODY BOOK」で考えたのは、下着とは直接関係のない「温活」「美白」といった、女性が日常的に関心のある「コト」をテーマに、そのコンテンツを揃えることです。商品を直接取り上げるのではなく、お客様が普段関心のある「コト」を通して、どれだけワコールというブランドがお客様の心に入り込めるかということを考えているんですね。

ちなみに、「BODY BOOK」で今よく読まれているテーマは、トップページの下に「人気のキーワード」として表示しています。

── 最近の「人気のキーワード」を見ると、「エイジング」がトップに来ていますが。

開設して3年経ちますが、「人気のキーワード」には一時的な流行語もあれば、「エイジング」や「冷え」「温活」のように常に上位にくるキーワードもあります。また、季節によって注目されるキーワードもあり、古いコンテンツが再び注目されるということもありますね。

「BODY BOOK」で話題になったものに「壁ヨガ」があります。誰でも簡単にできるヨガ「1分楽トレ」のコーナーが好評なのですが、その中でも「壁ヨガ」が人気です。難しいポーズでも壁を使うことで簡単になるんですね。

── 「BODY BOOK」への流入経路ですが、何が多いのでしょうか。

SNSより検索エンジンからの流入のほうが多いですね。「エイジング」や「冷え」など、その人が普段関心を持っている言葉を検索して、その結果から「BODY BOOK」を見に来てくれる。そういう意味では狙い通りです。

── 日常的に関心のある「コト」といっても、ワコールとどこかで結びついていないといけないわけですよね。

大事なのは、下着から完全に離れない、微妙な間合いです。それから、ワコールとして情報を発信するわけですから、エビデンスに基づいた情報を流すということも大事だと思っています。

他企業のオウンドメディアとの連携も

── オウンドメディアは今後、どういう方向に進んでいくと考えていますか。

ガールズばでなび」を2002年から開設していると言いましたが、花王のロリエ様でも「からだのノート おとなになるということ」という小学生・中学生の女の子向けの情報サイトを2001年に開設しています。この6月からニフティ様が提供する子ども向けサービス「キッズ@nifty」の『キッズなんでも相談』に花王ロリエ様と共同でコンテンツを提供することになりました。

『キッズなんでも相談』は、子どもの相談に子どもが答えるコミュニティーコーナーで、月に約1万5千件の相談が投稿されてきました。しかし、からだと心の発育に関しては正しい知識が必要で、子どもたち同士では解決できないことも多くあります。それでニフティ様から我々にコンテンツを利用させてほしいというお話をいただきました。今後はそういう横の広がりでオウンドメディアの発信力が充実していくこともあると思います。

── 最後に、今、課題になっていることがあればお聞かせください。

スマホへの対応です。今は6割から7割がスマホからのアクセスです。スマホの場合、電車の中や待ち時間など、ちょっとした隙間時間に見るケースが多い。単にスマホに最適化した画面表示ができるかということではなく、いかに簡潔にコンテンツをまとめることができるかということが求められています。今後は、いろいろなメディア、企業サイトで、お客様のスマホの画面を取り合う競争になってくると思います。

もう一つは、隙間時間利用により提供情報が細切れになることでワコールというブランドをコンテンツと結びつけることに工夫が必要になっていることです。普段の生活の中にワコールというブランドを定着させようとして始めたオウンドメディアですが、さらなるステップアップが求められています。テクニカルな対応はもちろん、いかに愛されるコンテンツを作っていけるかが重要です。

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