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読売新聞 海外駐在員リポート

from Europe

地方の魅力を伝える官民パートナーシップ

日本では2020年の東京オリンピック開催に向けて、インバウンド消費の増加が期待されるが、多くの欧州各国も外国人観光客数の拡大に取り組んでいる。2012年にロンドンオリンピックを開催した英国を見てみると、訪英外国人数が同年の約3,110万人から毎年記録が更新され、今年は3,810万人まで到達すると予測されている(英国政府観光庁調べ)。オリンピック後も、ラグビーW杯、シェイクスピア生誕400周年など、話題性のある好イベントが続いたことが要因と言えるが、日本と同じく島国の英国に多くの観光客が集まるには、他の理由もあるはずだと考え、調べてみた。

すると、観光ビジネス活動体であるDMOが観光地の戦略策定やマーケティングにおいて上手(うま)く機能していることが分かった。英国を含む欧州では、観光産業を地域で育成する考え方があり、中央政府の観光庁を傘に、地方へも金銭的な援助を行う地域成長ファンドが設けられている。DMOの活動においてPPP(官民パートナーシップ)が不可欠で、マーケティングノウハウ及びブランド力を共有する仕組みを構築している。民のメリットは、企業ブランドの認知拡大やプロダクトの売上増加に役立てることであり、官にとっては民から潤沢な予算が得られることで、国内や隣国に限られていた広告展開を海外に拡大できる。互いにメリットのあるウィンウィンの関係を生み出せる。英国ではトルコ航空など外資系企業とのPPPなども見られ、日本で言えばエールフランス等、外資系エアラインと組み、観光地を訴求する施策が行われている。

地域単位の事例としては、2015年に政府から500万ポンド、PPPから220万ポンドの計720万ポンド(約10億円)が拠出された「英国南西部成長ファンド」がある。観光地ストーンヘンジや、ローマ浴場など、見どころが多いこのエリアを短・中期的にPRすることを目的とされ、地方経済の活性化も狙っている。ターゲットは観光客数で上位にある米、独、蘭、豪、ニュージーランド、アイルランド、スカンジナビアで、同エリアの世界遺産や神話、祭事、名物料理等を、動画を含む様々なメディアで紹介する。これにより観光消費を6,000万ポンド(約84億円)押し上げ、労働人口も1,000人増やすことを目指した。欧州では大学などで観光学を専攻する学生がDMOに従事するが、若い人材の育成にも繋(つな)げることができる。

また、英国の目立った取り組みとして、今年で9年目となるサッカー・プレミアリーグとのパートナーシップも挙げられる。海外から訪れるサッカーファンは80万人以上(2014年)と言われ、北欧や中国、アフリカ等に多いファンをさらに誘致するため、ファンイベントを各地で開催している。日本に置き換えると、相撲や野球などの人気スポーツと共同で海外展開も考えられる。

日本でも観光産業は国と地方の経済を元気にするサスティナブル産業と捉えるべきで、今後の成長を期待し、これまで手を組んだことがない外資系企業、スポーツや国技、コンテンツ産業(マンガ、映画など)とのパートナーシップなど、英国を参考にできる点は多いように感じる。

この号で私の執筆は終了いたします。3年間ご愛読いただき、誠にありがとうございました。

*DMO:Destination Management/Marketing Organization の略称。日本でも観光庁が中心となり、取り組みが始まっている。

国友 俊 パリ駐在

パリで日本のランドセルの販売開始が予定されている。仏人は革製品に馴染(なじ)みがあり、新しもの好きなため注目されることは間違いないだろう。日本の文房具や切れ味の良い包丁、藍染めジーンズなどMade in Japan製品がパリに増え続けることは嬉(うれ)しいニュースだ。

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