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読売新聞 海外駐在員リポート

from America

肥満大国アメリカは「健康意識高い系」?

アメリカは言わずと知れた肥満大国である。アメリカ疾病予防管理センターが2015年に実施した調査によると、全米18歳以上の29.8%がBMI30以上の「肥満」、BMI25以上の「過体重」を含めると65.3%、約3分の2の人が「太りすぎ」である。

その原因の一つが食生活であることは間違いない。いわゆるアメリカン・フードであるハンバーガーやフライドポテト、砂糖が多く使われた炭酸飲料など、身近な食品ほど肥満と不健康に繋がっている。

そのような肥満・不健康社会の反作用、また医療費が高額であるため予防という観点から健康関連市場、サプリメント・ビタミン剤業界は年々成長している。1935年創業で米国最大規模の健康栄養食品専門の小売企業「GNC」は拡大を続けていて、1980年代初期に1000店だった店舗数は、2011年には上場したこともあり5695店に、2016年には9000店を突破した。

しかし近年は大手流通や競合eコマースの拡大など厳しい競争に置かれている。GNCはこの状況を打開すべく、2016年末に同社初となるマーケティング戦略を発表した。2017年2月5日に開催されるスーパーボウルでのCM放映である。One New GNC戦略の一環であるこのCMは認知向上と来店促進のために行われるという。スーパーボウルは全米最大のスポーツイベントであり、全米最高額のCM枠である。その金額は30秒500万ドルと言われていて、発表されている同社2015年度決算の年間広告費にあてはめると約8%を占めることになり、非常に大きな投資といえる。

同社商材とスポーツとの関連性は高いが、スーパーボウルの視聴率の高さを考えると、その特徴はマスリーチであり、ターゲティングではない。健康食品関連企業の同社が出稿を決めたことは、アメリカのサプリメント市場のターゲットが日本より広いことを示している。また同社が小売企業であることを差し引いても、機能や効果が重視される健康食品という商材において、ブランディングや認知向上に巨額の投資を行う点は興味深い。

サプリメント以外の通常の食品に関しても健康、特に「安全」への関心が高まっている。この傾向は日本も同様であるが、スーパーマーケットに行くと、各商品のラベルには「オーガニック」、「グルテンフリー」、「Non-GMO(非遺伝子組み換え)」など健康や安全性を訴える様々な文言が日本以上に押し出されている。ニールセンの調査によると、2011年から2015年の間で「オーガニック」とラベルが付いた精肉の年間売り上げが44%、「抗生物質不使用」が28.7%、「ホルモン無添加」が28.6%、それぞれ増加した。また、ここ数年で米国ネスレ、サブウェイ、ケロッグなど多数の企業が人工香料、着色料などの使用を中止、もしくは中止予定であることを発表している。消費者が食品の健康・安全を求め、企業がそれをビジネスチャンスとして捉えていることがわかる。

不健康大国であるアメリカだが、企業・消費者とも健康への意識が年々高まっていることは間違いない。折しもトランプ大統領の誕生により、いわゆるオバマケア撤廃の動きが進んでいて、アメリカ国民は健康と医療費を改めて意識する状況にある。新しい医療政策が見えない状況ではあるが、食品関連企業は一層、健康や安全に配慮した商品、マーケティングを求められている。

金田明浩 ニューヨーク駐在

肥満率は州によって差があり、NY州は米国平均を下回っています。市内ではその傾向が強く、ランチはサラダだけという人を見かけます。一方、私は昔ながらのアメリカン・フードを食べることが多くBMI上昇中です。執筆をきっかけに健康ニューヨーカーを目指します。

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