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読売新聞 海外駐在員リポート

from Asia

「微笑みの国」のLINE好きな若者たち

この3月、タイに赴任する直前に35歳の誕生日を迎えた。東京ではまだ(相対的に)若い方だと感じることもあったが、バンコクではそうはいかない。タイはASEAN諸国では年齢が高い方だが、それでも15~29歳の若者は人口のおよそ23%を占め、日本の15%を大きく上回る(2014年)。中位年齢は、私とほぼ同じ35.5歳(2010年)。日本の45.0歳よりも、10歳も若いのだ。特に若者が集まるバンコクでは、よりその傾向が強い。

若者は数が多いだけでなく、その消費意欲も旺盛だ。タイの景気は決してよくはないものの、ファッションや旅行への興味は強く、ローンを組んで自動車を買うのも珍しくない。日本ではファミリー向けばかりが目立つ自動車の広告クリエイティブも、ここではカッコイイ若者が主役だ。

このように日本の若者と消費の実態は大きく異なるものの、メディア接触という点では状況が似ている。タイの若者の1日あたりのメディア接触時間調査では、残念ながら新聞・雑誌は数分程度にとどまるのに対し、スマートフォンは3時間を超え、テレビをはじめとした他のメディアを上回る。

そしてそのスマートフォンの利用の中心は、SNSだ。タイにおけるLINEの利用者は、全人口約6800万人に対し約3300万人。国別では日本に次ぐ多さだ。特に都市部、若年ほどLINE人気は高く、バンコクの若者に限ればほぼ全員が使っているとまでいわれる状況だ。

消費意欲が旺盛な都市部の若者がこぞって使っているとなれば、当然、企業にとっても魅力的なツールである。企業が公式アカウントやスタンプ(タイではステッカーと呼ばれる)を使い、ユーザーと接点を持てるのは日本と同様だが、タイには日本では開始していないサービスも存在しており、広告売り上げを伸ばしている。昨年2月に本格的にスタートした動画配信サービス「LINE TV」だ。

LINE TVではドラマ、エンターテインメント、アニメ、音楽の4つのジャンルのコンテンツを無料で視聴できる。タイのテレビ局で放送した番組のほか、「NARUTO」や「名探偵コナン」といった日本でも人気のアニメも見られる。さらに、韓国の人気男性グループが出演するバラエティー番組や、連続ドラマなどのオリジナルコンテンツの配信も行っており、他の動画配信サービスとの差別化と、利用者の囲い込みに一役買っている。昨年配信された佐賀県を舞台にした恋愛ドラマ『STAY Saga ~わたしが恋した佐賀~』が人気を博し、同県を訪れるタイの若者が増加するという現象も引き起こした。

アプリダウンロード数は、リリースから約1年で800万件を超えた。広告は、コンテンツ再生前に表示される。タイ企業のほか、トヨタや花王といった日系企業、ネスレやユニリーバなどの欧米系企業など、国・業種問わず様々な企業が広告しているが、いずれも若者向け商材ということは一致している。

タイの若者を見ていると、日本以上にLINEが不可欠なものになっていると感じる。街で見かける若者のスマートフォンのディスプレーには、概ねLINE(時々Facebook)が表示されていると言っても過言ではない。タイでは今後、アプリを通じて宅配サービスを頼める「LINE MAN」の本格リリースも控えている。若者の消費や生活を、LINEがどのように変えていくのかを注視したい。

藤木康裕 バンコク駐在

秋田生まれ、山形育ち。冬には「今日は気温が0度もある」というセリフが口から出るような環境で青春を過ごしました。それから約20年を経て、南国・バンコクへ。連日35度を超す環境に、30度程度なら涼しいと感じるようになりました。人間の適応力に驚きます。

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