新聞広告の色彩学 2007.1・2/vol.9-No.10・11

のこんの色どり
11月3日朝刊 講談社 11月17日朝刊 高島屋 11月30日朝刊 カシオ計算機 11月2日朝刊 グッチ ジャパン
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 師走になったが仕果つとはいかないらしい。わが家で朝顔より早く菊の花が枯れて「残んの朝顔」となったのは自然のタブーやぶりだった。講談社の食事作法の本の「お箸は人柄ですもの」という広告は、箸にからまるタブー度の一覧表。その中央の涙箸は、紅葉の葉から滴り落ちる一粒の涙という図なのだが、これが紅葉遅れのアーカイブに見えなくもない。日本の文化の伝統はまず食卓に始まる。わが身を顧みれば、ここに並んだタブー類を毎日ヤッテルヤッテル。新年こそ美しい箸づかいの文化作法を身につけよう。

 高島屋百貨店は六歌仙の「美事を贈る」語らいの図。贈り物はハッピーのプレゼント。ではハッピーは何色? その答えが広告だ。大らかで暖かく豊かな気分です。この配色を平安時代には紅葉と呼んだ。数百年隔たっても色は同じメッセージを語るからおもしろい。関連して、11月半ばの他社の広告に「未来はボクらが、つくっていく」という、幼稚園児から中学生までの絵画公募作品のグランプリ紹介があった。一見どれも同じ色、濃くて暗めの色彩だったから、気になって他紙を見比べたが、ほぼ同様だった。これが今の子供たちの傾向か、審査員の好みの反映か、社会が明るさを嫌うように傾いたのか? 未来を見る子供たちの色の語りだけに気がかりなこと、もっと豊かな未来を見てほしい。

 音は明るく響く。CASIOのプリヴィアの広告には音がこだましている。「その音、さらにグランド」と音が地からヘブンへ螺旋を描いて広がり上昇するさまを、金色と青の空間が演出する。ヘブンとは大空を覆う袖無しマントのことと語源が語っているように。

 GUCCI‐GINZAは開店のお知らせ。銀座を照らすシルバーホワイトの光の塔デス。光は心を暖め豊かにする。光は人間を元気づけ活動させる。周囲にある色彩をしたがえ、気品高く夜に立つその光りビルの姿は、実は昼間もすばらしい。

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