From Overseas - NewYork 2007.1・2/vol.9-No.10・11

ローカル市場に進出したヤフーの戦略
 11月のグーグルによる新聞広告仲介テストの開始に続き、米ヤフーによる新聞グループ7社とのオンライン広告に関する提携が発表された。現時点ではオンラインに限定されているものの、将来的には新聞広告への関与も視野に入れているようだ。これはグーグルへの対抗策のようだが、両者の目的は違う。グーグルはメジャーな新聞と既存広告主を相手に、新聞広告を「仲介」するが、ヤフーは「ローカル」という新たな広告市場を開拓しようとしている。
 ヤフーは、グーグルと重ならないハースト、ベロ、コックス・ニューズペーパーズ、メディアニュース・グループなど7社と提携した。その発行紙は全米で176紙にのぼり、38の州をカバーする。
 具体的には、第一段階として12月から、提携紙とその求人サイトに掲載された求人広告がヤフーの求人サイト「ヤフー・ホットジョブズ」にも併載され、全国規模のリーチが可能になった。一方、新聞社の求人サイトでは、ヤフーの提供する検索技術が使えるようになったことで、ユーザーの利便性が増した。
 次の段階では、ローカルニュースや広告をヤフーの関連サイトに併載。ヤフーはそれと関連するサービス、例えばヤフー・ローカルやヤフー・マップスを新聞社のサイトに提供する。さらに今後、両者の関係を強化、ヤフーの技術による検索連動型広告や新聞広告のセールスのための協議も進めていくようだ。ハーストのガンジ最高経営責任者(CEO)とメディアニュース・グループのシングルトンCEOは、共同で「これらは新聞社のサイトにとって変革をもたらす。広告主とユーザーの需要を満たすために必要な技術が我々に提供されるからだ」と発表しており、ヤフーとの結びつきに期待している。掲載料の配分など、金銭にかかわる詳細は明らかにされていない。
 米国では、「消費者は、自宅から10マイル(約16km)圏内で消費の8割を行う」と言われている。また、米国の新聞事情は日本とは大きく異なり、「全国紙」と呼べるものはUSAトゥデー1紙である。多くの国民にとって、新聞とは「自分の住む街の名を冠したローカル紙」であり、新聞社にとっての広告市場とは、その街そのものなのである。それは新聞社のサイトも同様だ。
 では、それらをつなぎ合わせ、ひとつの大きな市場にしたらどうか。それが今回のヤフーの目的であり、可能にするのが彼らのインターネット技術である。ヤフーは、ローカル紙の持つ豊富なコンテンツと自社の検索・地図情報データベースなどの技術を組み合わせ、一大ネットワークを作り上げるつもりなのだ。それは各地に分散していた広告市場を、一元管理できる大市場にしてしまうことに他ならない。同社CEOのセメル氏は「我々の戦略は、最大限の成長が見込める分野において主導的な地位を獲得することであり、今回の提携はその戦略に沿うものである」と述べているが、その最大限の成長が見込める分野こそ、ローカルであると彼らは考えている。
 ローカルにおけるオンライン広告市場は、2005年の8億ドルから、2006年は13億ドルへと162.5%も成長。2010年には、さらに3.8倍の49億ドルにまで大きく増えると予測されており(イーマーケター社)、この分野でローカル紙のサイトが広告メディアとして果たす役割は大きい。その争奪戦が今後、激しくなるのは間違いないと予想されるなか、ヤフーはライバルに先んじて、ローカルコンテンツに加えローカル広告主との強力なパイプも手に入れたことになる。
 2006年7−9月期の最終利益は、グーグルが前年比92.4%増だったのに対し、ヤフーは同37.5%減と大幅に落ち込んだ。ヤフーはローカル広告市場をてこに、今後ライバルに一矢報いることができるだろうか。

ヤフー・マップス ヤフー・ホットジョブズ
(12月7日)
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