pick up AdVoice 2006.11/vol.9-No.8

ニュース性と社会的関心が注目率を高めた、“吉野家牛丼復活”の広告
 読売新聞の広告反響調査「AdVoice」とは、「いつでもすぐわかる」定型調査(無料)と「なんでもよくわかる」オーダーメード調査(有料)の2種類から成るインターネットモニター調査です。詳細は、こちら(http://adv.yomiuri.co.jp/yomiuri/advoice/
 このコーナーでは、主に「AdVoice」定型調査の結果データを分析してお伝えしていきます。


 9月18日付朝刊に吉野家ディー・アンド・シーの全15段多色の広告が掲載されました。
 吉野家カラーのオレンジ色を背景に、中央に「本日」と書かれた大きい文字と大きな牛丼のどんぶり。この広告を見て、吉野家牛丼復活の日を「いよいよ今日だな」と実感した方も多かったと思います。
 今回掲載された広告は、アド・ボイスの定型調査において、90.4%と高い広告注目率を得ました(表1)。これは、今年4月から9月までに東京本社で実施した定型調査539件中、1番高いスコアでした。なぜここまで広告注目率が高かったのでしょうか。

表1 9月18日 朝刊
表1
7月27日 夕刊 9月3日 朝刊


すでに盛り上がっていたマインド

 BSEの特定危険部位である背骨が混入していたとの理由で、今年1月20日から輸入が再停止されていた米国産牛肉は、ほぼ半年ぶりの7月27日、輸入再開が決定されました。このことは、読売新聞同日付夕刊1面でも「米産牛肉 輸入再開を決定」とトップの記事で大きく取り上げられました。
 これを受け、吉野家ディー・アンド・シーでは、牛肉輸入再開の約2か月後には牛丼の販売を再開するとし、まず9月18日の1日のみ、100万食限定で牛丼を販売すると正式発表しました。この「吉野家の牛丼復活」については、読売新聞9月3日付朝刊の第2社会面、同月7日付の経済面でも記事として取り上げられるなど、各メディアで報じられました。「各メディアでの報道との相乗効果で大変印象に残る広告です」(男性50代)というアド・ボイスのモニターから寄せられたフリーアンサーからも分かるように、本広告が掲載される前に、すでに読者の頭の中には、「吉野家牛丼復活」という言葉が刻み込まれていたと考えられます。
 ここで、“ブログ”への書き込み数を時系列で見ることで、一般消費者の関心度の推移を分析してみましょう。ブログで話題となっているキーワードを収集・分析するサイト「ブログクチコミサーチ」で、「吉野家」「牛丼復活」という言葉の登場回数の推移について見たところ、図1のような結果が出ました。吉野家の牛丼復活前日の9月17日は、「吉野家」というキーワードのブログ登場回数は830件でしたが、販売当日の18日には8739件に跳ね上がりました。「牛丼復活」というキーワードも、17日の177件から、18日には2334件にまで跳ね上がっています。一般消費者の吉野家の牛丼復活への注目度も販売再開日の18日、ピークに達していたのです。
 新聞やテレビなどによる、ニュース性と話題性を帯びた牛丼販売再開前の報道、そして、ブログデータからもわかるように販売再開当日の多くの人々の高い関心が、本広告の注目度を押し上げる要因になったのだと考えられます。

図1
図1
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企業広告としての一役も

 それでは、広告自体の評価はいかなるものだったのでしょうか。「関心度」「印象度」など計6項目から構成される広告評価を見ていきましょう。
 まず、広告の「関心度」を見ると、この広告に約7割の人が関心を持っていることが分かります。特に、男性20代から40代の関心が高く、「とても関心がある」と回答した人の割合は平均値よりも高いスコアが出ています。フリーアンサーでも「11時の販売開始に合わせ並びました。久々の吉牛に感動しました。感謝です」(男性40代)など関心の高さがうかがえる回答が目立ちました。
 広告の「印象度」について見ると、印象に残ると答えた人は全体の96.0%でした(「とても印象に残る」だけを見ても、62.1%という高スコア)。このスコアは、6項目の中でも1番高いスコアで、前述の「関心度」を20ポイント以上も上回りました。フリーアンサーでは、「話題性のある出来事なので、とても印象に残る広告です」(男性30代)、「大変強烈な印象で牛丼再スタートにふさわしい」(男性50代)などとともに、「自分自身興味はないが、とても目についた」(男性50代)という回答もあり、牛丼好きに加え、非関心層にも本広告を強烈に印象付けたということが分かります。
 「広告主との適合度」は、6項目中2番目にスコアが高かった項目です(「とても」+「まあ」=95.2%、「とても」=45.4%、)。シンプルな構成で、全15段の一面全体に吉野家カラーを用いたクリエイティブは、「この色といい、どんぶりといい、吉野家のイメージにぴったりでインパクトあり」(男性40代)、「色が吉野家のイメージにぴったりでとても目立ちました」(女性30代)など、“吉野家らしい”といった回答が多く見受けられました。
 本広告は、実際には来店しない人まで含めて強い印象を残したこと、吉野家らしいイメージを伝えることにも成功していることから、すぐれた販促広告であるだけでなく、企業広告としての一役を担ったとも考えられます。社会的関心と話題性のある中で展開された今回の吉野家の新聞広告。
 「新聞広告はニュース」だということを改めて感じさせてくれた“吉野家牛丼復活”の広告でした。

図2

表2
表2

(原)
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