CURRENT REPORT 2006.11/vol.9-No.8

語学教育と健康管理を通じ紳士服製造・販売に付加価値
 外出先や通勤・通学の車内など、いつでもどこでも語学をオンラインで学習できる「eラーニング」が最近、語学学校に通う時間がない多忙なサラリーマンを中心に普及しつつある。
 5年後には受講者が倍増すると予測されるこの“eラーニング市場”に、「洋服の青山」で知られる紳士服製造・販売最大手の「青山商事」の100%子会社、「青山キャピタル」(本社・広島県福山市)が参入して1年あまり。同社は全国に約800店舗を出店する青山商事の顧客のマーケティングやクレジットカード事業を主体として、1999年に設立された。
 今回のeラーニング事業は「青山カード」の会員向けサービスの一環として、デジタルに特化した事業の1つとして展開。今年6月からは自宅やオフィスのパソコンだけでなく、携帯プレーヤーでも再生できる技術を導入するなど、利用者呼び込みに力を入れている。
 そこで、同社代表取締役専務の齊藤幸夫氏に、eラーニング事業に進出した経緯や将来展望などについて聞いた。


齊藤 幸夫 氏 ――なぜ、eラーニング事業なのですか
 近年、企業は自社の利益を追求するだけでなく、様々な社会のニーズを価値創造、市場創造に結び付け、企業と市場の相乗的発展を図るCSR(企業の社会的責任)が求められています。こうした社会背景において現在、最も関心を集めているのが「教育」と「健康」です。おかげ様で当社はクレジットカード事業も順調ですので、その利益の一部を社会に還元し、お客様に喜んでいただけるサービスとして、語学教育に着目したのです。
 そこで、当社では語学学習の先進スタイルであるeラーニング事業に参入し、「青山カード」の会員様向けにインターネット語学学習サイト「ランゲージ・チャンネル ゴガク・オン・デマンド」を約1年前から提供しています。会員数は現在約1万人ですが、今年4月に専門部署「eラーニングソリューション」を設置し、法人会員の獲得にも力を注いでいます。

――「ランゲージ・チャンネル」の特色は
 個人向けにはマイクロソフト社が開発した著作権保護技術を活用することで、月額定額制で語学学習サイト「ランゲージ・チャンネル ゴガク・オン・デマンド」のコンテンツを携帯デジタルプレーヤーでも再生できるようにしました。
 現在、対象言語は英語と韓国語です。英語の場合、約1700種類のレッスンの中からビジネスや旅行、エンターテインメント系など、利用される方の興味や関心に合わせて自由に選べるのが特長です。新レッスンも追加更新していますので、今後はさらに利用範囲が広がると考えています。

――紳士服製造・販売との相乗効果は
 社会経済のグローバル化が進む中、現代のサラリーマンにはビジネスで通用する英語力が不可欠です。そこで、顧客情報を高度に活用、メンテナンスすることで個々に最適な対応を図るCRM戦略に重点を置いている当社では、「ランゲージ・チャンネル」のような付加価値を高める事業を強化することで、結果的に青山ファンを増やすことにつながれば、と期待しています。
 また、将来的には大学や高校など教育機関といった新たな分野も開拓していきたいですね。

――団塊世代の大量退職や少子高齢化で紳士服市場の縮小も予想されますが、今後どのようにeラーニング事業を展開していくのでしょうか
 一口に定年退職といっても、たとえば60歳で退職金をもらって退職する公務員と、65歳から年金生活に入る、民間企業に勤めるサラリーマンとではマーケットゾーンが異なります。ですから、それぞれのターゲット別にアプローチしていくことが今後の課題です。
 市場規模が縮小する中、経営母体である青山商事は増収増益を達成しておりますが、当社は330万人にのぼる「青山カード」の会員向けサービスをさらに充実させるとともに、会員情報のメンテナンスの精度をアップするなどCRM戦略を強化していきます。さらに、「ランゲージ・チャンネル」の会員数も、来春までに3万人に増やすことを目標としています。

――携帯電話を使った新たなデジタルソリューション事業も開始されますね
 先に述べたように、現代社会で現在最も関心を集めているのは「教育」と「健康」です。当社のeラーニング事業は「教育」に焦点を当てたものですが、今後は「健康」をテーマにしたモバイル事業を展開していく予定です。
 まず、11〜12月に当社独自のサーバーを立ち上げ、「青山カード」に入会していただいたお客様に「IT歩数計」を安価で提供します。その計器をパソコンに接続すると、食生活や運動など様々な角度から分析した健康管理のアドバイスが受けられるようになっています。
 また、歩数によってポイント(1000歩で1ポイント=1円)を発行し、青山商事での商品購入の際に利用していただけるようなシステムにもなっています。近年はウオーキングブームですから、かなりの顧客獲得に結び付くと予想しています。

7月9日 朝刊

取材メモ
 今回取材した青山キャピタルの親会社である「青山商事」は、1964年5月、広島県府中市で創業した。
 74年4月に開店した、業界初の郊外立地型紳士服専門店「洋服の青山 西条店」を成功させると、全国に郊外型店舗を次々に展開。91年3月には売上高868億円となり、念願の業界1位を達成した。
 現在は「洋服の青山」のほか、「ザ・スーツカンパニー」、「ユニバーサル・ランゲージ」など、中高年からファミリー、女性、若年層までターゲット別に事業展開し、今年3月末には資本金625億400万円、連結売上高2027億2000万円、営業店舗数805店、従業員数4,975人を数えるまでに成長している。
 昨年度はスーツの国内シェアの約2割に当たる252万着を販売したが、これはスーツ販売着数としては世界でもNo.1である。
 このほか、グループ会社として、カジュアル事業「カジュアルランドあおやま」、カード事業「青山キャピタル」、商業印刷事業「アスコン」、雑貨販売事業「青五」があり、青山商事の事業との相乗効果を最大限発揮できるように取り組んでいる。
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