Creativeが生まれる場所 2006.11/vol.9-No.8

ドラフトワンのスッキリ味から逆算
高田 豊造氏  ドラフトワン公国のアベール王子(阿部寛)が、ドラフトワンに合う食べ物を探す旅に出る──。酒税増税反対を唱えたり、庶民の味方路線のドラフトワンが、9月からのリニューアルキャンペーンではなんとも肩の力の抜けた設定になっている。このドラフトワンのコピーとテレビCMを担当しているのが高田豊造(こうだ・とよなり)氏だ。そのホンワカした人柄から自在に繰り出される広告の背景について聞いた。

――酒税増税反対など社会派のイメージのあった新ジャンル「ドラフトワン」ですが、今度のキャンペーンでは様変わりしましたね。
 課題が今までと違ったというだけです。今回はリニューアル発売だったので、いかにドラフトワンが新しくなったかを、タレントの阿部寛さんを使ってマスキャンペーンで展開しています。

――社会派のイメージから一転して、肩の力の抜けた設定になっていますが。
 新聞媒体の位置づけも違います。アベール王子の新聞広告はマスを使ったキャンペーンの中でのひとつです。一方、増税反対をテーマとした新聞広告は、新聞のみを使って、世の中に対してドラフトワンのメッセージをきちんと伝えていくことがポイントでした。

2004年11月27日 朝刊
――メッセージとはどういうことですか。
 「ちがいます」の広告を出した2004年は、新ジャンルの酒税が増税されるというニュースが新聞でも盛んに報道されている時期でした。その中で、ドラフトワンは、新ジャンルのパイオニアとして、新規性や開発に掛ける企業努力を真摯にメッセージしました。酒税増税という、みんながすごく関心の高い問題に対して、社会的な問いかけをすることで「ドラフトワンは皆さんと一緒に戦っています」というメッセージを作ることができたと思います。

――世論も盛り上げた広告だと思うのですが、こういう広告を書く時のコピーライターの気持ちって、どういうものなのですか。
 世間に問いかけるのって、けっこう燃えたりしますよ(笑)。3回シリーズでやったのですが、増税反対をテーマにしたのは「ちがいます」と、あともう1つ「納得がいきません」という2本です。テレビのワイドショー効果もあったと思いますが、やっぱり関心の高いテーマは記事と同じレベルで広告も反響があることを実感しました。

「ドラフード1号」は餃子

――それで、今回のキャンペーンなのですが、アベール王子がドラフトワンに合う食べ物「ドラフード」探しの旅に出て、認定1号になるのが餃子(ギョーザ)ですよね。

 その理由は1点だけなんです。餃子が今度のドラフトワンに合う、本当にうまい食べ物だということをみんなに気づいて欲しいということです。それなら、餃子を初めて食べる人がいい。餃子を初めて食べる人として、外国からやってきた王子という設定にしよう、というところからすべての話は始まっているんですよ。だから、テレビCMの「おー、なんてうまい食べ物なんだ」「王子、それはギョーザです」という、それが言いたいために、これだけの大掛かりな設定を逆算して全部作っているんです(笑)。

――最初に餃子ありきだった?

 もっと川上から話すと、ドラフトワンは「スッキリ味」なんです。スッキリ味というのは、食べ物の味を邪魔しない。だから脂っこいものや、こってりとしたもの、味の濃いものに合うというのが、大本の考えです。そこから、こってりとして、味が濃くて、みんなが大好きな食べ物の代表はなんだろうと考えて、ドラフード1号はやっぱり餃子だろうという話になったんです。

――新聞広告の額縁というアイデアも、やはり王子という設定から出てきた?

 デザイナーの平野光太郎君が、この世界観を表現するのは肖像画しかないですよね、ということで決まりました。

――額縁がグラフィック広告のトーンを決めている気がしますね。

 そうですね。電車内の広告には、これは世界史の年表書きみたいなものかなと思って、「2006年9月13日、アベール王子はドラフトワンにピッタリ合う食べ物を探す旅へ出発した」というコピーを書いたんですけど、基本的にはこの額縁入りの画像で目立とうということですね。

“裏切り”ができない媒体

――高田さんはベネッセの「たまごクラブひよこクラブ」もやってらっしゃいますね。
 CMプランナーとして、もう10年です。入社した時からコピーも書けば、CMもつくっていたんです。だから、ベネッセのようなCM中心の仕事もあれば、新聞15段オンリーの仕事もあるというだけで、違う仕事をしているという意識はないですね。
 ただ、新聞広告は見た瞬間にパッと全部見えちゃうけど、CMは隠しておけるんです。最後に「オチでーす」って、ネタばらしができる。「たまひよ」は、そういうパターンで作ってます。新聞広告の場合は要素が同次元にあるから、そこで完結していなきゃいけない、という違いはあると思います。そこでいい意味での“裏切り”ができないところもある。だから逆に、新聞広告はまっすぐなメッセージを届けるのに、とても有効だと思います。

――新聞広告もテレビCMも、発想の仕方は一緒なんですか。
 いっぱい考えて、どれが1番いいかな、ということでは、同じといえば同じだし。ただ、新聞広告のほうがパーソナルな感じはしますね。個人に対して話している感じが。

――新聞は活字だからということもある?

 というか、新聞は読む人がたぶん1人だから。電車に乗っていてのぞき込まれるということはあっても、3人で読むというシーンは考えづらいじゃないですか。そういうことを作っているときにも感じるんだと思います。テレビCMはステージですね。「ショータイム! さあ、始まりますよ」で、いかにみんなにウケるか。ラジオCMを作るときは、聴いている人を振り向かせることを1番に考えます。いいから、とりあえずこっち向け!(笑)みたいに作ります。

――ドラフトワンのドラフードですけど、1号は餃子でしたが、次は何を?
 うーん、まだ、それは言えないですけど、どんどん続いていく予感はしますね(笑)。


9月17日 朝刊 9月30日 朝刊
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