AD FILES 2006.11/vol.9-No.8

カップヌードル35周年の「その先」 企業としての宣言は新聞広告で
日清食品 宣伝部課長 中沢 信一氏
 カップヌードルが初めて発売されたのは、1971年9月18日。それから35年後の同日、日清食品の全ページ広告が読売新聞朝刊に掲載された。
 発売35周年を迎えた記念日に、今後さらに『安全、安心』への取り組みに本気で力を入れていくという同社の決意を込めた宣言広告だ。
 カップヌードルから立ちのぼる湯気の先にある「おいしい、の その先へ。」というキャッチコピー。それを見つめる若きプロゴルファー、ミシェル・ウィー。強い視線が印象的な広告に込めた同社の思いとは何か。

メッセージをいかに届けるか

 「今までもカップヌードルの広告は、ほぼイコール日清食品の企業広告として機能してきました。しかし、テレビCMではイメージを伝えるだけで精一杯です。今回は、あらためて企業としての宣言を新聞でもきっちりと伝えていきたいと思いました」と語るのは、宣伝部課長の中沢信一氏。
 ビジュアル面ではカラーにも相当こだわった。奥行きのある黒を基調に、コピーには“日清レッド”を効果的に使ってメッセージを強くシンプルに表現したが、当初は不安視する声もあったという。
 「果たして新聞印刷で思い通りの色が表現できるのかということでしたが、新聞の印刷技術の向上は我々の想像以上でした。今まで新聞では出せないと思っていたカラー表現が可能になったことでシズル感も出せますし、新聞広告にはまだまだ広がる可能性があると感じましたね」
 若きチャレンジャーとして今後の活躍を感じさせるミシェル・ウィーの強い目線に、常に先を見つめる日清食品の企業姿勢を重ね合わせたクリエイティブには、本誌の読者モニターからも多くの支持する声が寄せられた。「ミシェル・ウィーの内面の強さと、自社の信念を重ね合わせ、力強さを感じる」、「ミシェル・ウィーが見つめるまなざしの先に、おいしさを追求し続ける日清食品の企業家魂が垣間見えて、見事です」などのコメントからは、まさに広告に込められたメッセージが多くの読者に深くストレートに伝わったことがうかがえる。

新聞広告とWEBの連動

 実際に、新聞広告を掲載した日から同社のホームページへのアクセス数も目に見えて増加し、激励のメールやはがきも寄せられた。
 「普通、なかなかプラスの意見を送ってくれることはありませんし、広告表現に対するおしかりの声が多いのですが、今回は我々の企業姿勢を評価していただく肯定的なコメントを多くいただき、驚きました」
 中には新聞広告を読んで興味を持ち、わざわざURLを打ち込んで同社のホームページにアクセスし、そこにアップされている「Green Plan 2006(環境報告書)」についての感想を知らせてくれた年配の人もいたという。
 「マス広告の中でWEBとの親和性が最も高いのは、実は新聞広告だと思います。もちろん、一瞬で流れてしまうテレビCMでも興味を持った若い人がネットで検索してホームページに来てくれる場合もあります。しかし、やはり幅広い層に向けて情報を発信する際には、新聞広告の方が確実にURLが載せられる点でも強いですね」
 カップヌードルといえば、これまでにも「hungry?」「NO BORDER」など、スタイリッシュでメッセージ性の強いテレビCMが印象深い。現在も若者をメーンターゲットにした「FREEDOM」キャンペーンを展開中で、同社は宣伝費の約九割をテレビコマーシャルに充てているという。
 「いつまでも発売当時の斬新性や先進的なイメージをカップヌードルに持ち続けてもらうために、常にちょっととがった新しいコミュニケーションを継続していくことが必要です。そのための広告では、イメージを伝えることが得意なテレビCMを中心に考えますが、今回の企業広告キャンペーンには、我々のファクトをきちんと伝えるためのメディアが必要だと考えました」と中沢氏。昨今のメディア環境の変化に伴い、モバイルやインターネットを使ったプロモーションにも積極的に取り組んでいる同社だが、今後は新聞も有効なコミュニケーションツールとして考えていく方針だ。
 「やはり企業としての実態や具体的な取り組みを、広く地道に伝えていくときに最適なメディアは新聞だと思います。今回もテレビCMは使っていますが、一字一句に思いを込めて、我々の覚悟が伝えられることも大事な新聞の特徴だと思います」

企業広告の芯に創業者精神

 同社では、「食足世平(食が足りてこそ世の中が平和になる)」、「美健賢食(美しく健康な体は賢い食生活から)」、「食創為世(世の中のために食を創造する)」の3つの企業理念を掲げて企業活動に取り組んでいる。
 「最近では、ゴミ問題や環境問題への取り組みにも厳しい目が向けられています。やはり消費者のための食品メーカーである以上、社会に沿ってきちんとやっていかなければならないのは当たり前のことですね」と中沢氏。
 同社の創業者会長である安藤百福氏は世界ラーメン協会の会長も務めており、創業50周年を迎える2008年には「世界ラーメンサミット」の大阪での開催を発表している。それに向けて今後もタイミングをとらえて企業メッセージを打ち出していく方針だ。
 いつも新しいコミュニケーションで我々を楽しませてくれる日清食品だが、今度はどんな「おいしい、の その先」を我々に見せてくれるだろうか。きっと、一味違った驚きを味わわせてくれるに違いない。
9月18日 朝刊

読者モニターのコメント(一部を抜粋)
プロゴルファーの鋭いまなざしでミシェル・ウィーは、いったいなにをみつめているのだろうか。食品業界はおいしいの先にあるもの、おいしさの安心、安全、さらにその先にある健康や平和や幸福の未来を目指して世界に貢献してほしいと思った。(42歳 主婦 女性)
人気の女性若手プロゴルファーのアップで「未来を見据える目」という打ち出し方。印象に残る。また、なによりも同じくらいの大きさで載っているカップラーメンが、20年30年とほとんど印象の変わらぬパッケージで、それ自体がどんな有名人もかなわないアイコンになっている。だからこそ、組み合わせるものでイメージを方向付けしようとしていて、成功している。(44歳 団体職員 女性)
おなじみのカップヌードルにもこんな努力が隠されていたのですね。手軽で、ただおいしいだけではなく、安全に食べることができれば言うこと無しです。黒い背景に際立って、印象に残る広告だと思いました。(32歳 主婦 女性)
ミシェル・ウィーのまなざしの力強さと35周年を迎えるカップヌードルの力強い実績には通じるものがあるかもしれない。まだ16歳の彼女の未来も楽しみだが、これからも進化し続けるカップヌードルも楽しみだ。(36歳 会社員 女性)
ミシェル・ウィーさんの横顔とカップヌードルの容器がよく似合っていて感心させられます。日清さんの広告は、特にカップヌードルでは思わぬ人や動物を起用して、それがよく似合っているものが多いのですが、今回もしかりでした。(43歳 会社員 男性)
上品な内容はカップヌードルを超越し、またウィーを起用するとは、感性まで評価したくなる作品です。バックが黒いから、その熱い湯気までビジュアル以上、嗅覚(きゅうかく)を刺激させられました。(40歳 会社員 男性)

(増田)
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