pick up AdVoice 2006.10/vol.9-No.7

旭化成ホームズのクロスメディア効果〜2回の全面広告出稿とテレビCM〜
 読売新聞の広告反響調査「AdVoice」とは、「いつでもすぐわかる」定型調査(無料)と「なんでもよくわかる」オーダーメード調査(有料)の2種類から成るインターネットモニター調査です。詳細は、こちら(http://adv.yomiuri.co.jp/yomiuri/advoice/
 このコーナーでは、主に「AdVoice」定型調査の結果データを分析してお伝えしていきます。


 「みどりのそよ風、いい日だね…」
 ここにご紹介する旭化成ホームズ「へーベルハウス」の新聞広告を見て、テレビCMで流れていた子どもたちの歌声を思い出す方も多いでしょう。8月18日と25日の朝刊に15段多色で掲載されたこの広告のクロスメディア効果について、アド・ボイス定型調査の結果をもとに検証していきます。

8月18日 朝刊 8月25日 朝刊


 へーベルハウスなら、日当たりの悪い敷地にも、日当たりがよく風の通る明るい家が建てられることを訴える一連の広告は、テレビと新聞という2つの広告媒体を使って展開されました。8月18日から9月1日まで放送されたテレビCMは、日当たりの悪そうな土地に実際に日当たりの良い家が建つ過程が「緑のそよ風(敷地)」編、「同(建築)」編、「同(完成)」編、「同(プロセス)」編の4パターンで構成されています。新聞広告は、テレビCM放送開始の8月18日と1週間後の25日に2回掲載され、テレビCMの敷地編の一場面を切り抜いた写真をアイキャッチにしながら、なぜ日当たりがよく風が通る家が建てられるのかを解説した上で、へーベルハウスのホームページへの誘導を図っています。

図1


 アド・ボイス定型調査による広告注目率図1は、1回目8月18日掲載分では55.3%、2回目25日掲載分は63.6%で、8.3ポイント上昇しています。業種や色刷り、広告段数などの条件から算出する予測広告注目率と比較しても、1回目はほぼ予測注目率と同等であるのに対し、2回目は8.4ポイント上回る結果でした。(1)新聞シリーズ広告による記憶の継続効果(2)1回目掲載日から開始したテレビCMに対する記憶の累積効果の両方が作用したと考えられます。
 実際2回目の掲載時の自由回答において、「テレビCMとうまく連動した広告で、とても印象に残った」(女性20代)、「面白い広告だと思います。CMで流れる曲も聞こえてきそうな感じで、印象に残りました」(女性40代)、「テレビCMの解答という形を取った広告に誠実さを感じました。映像媒体と活字媒体それぞれの良さをうまくとらえていると思います。ホームページへの誘導も自然で良いです」(男性40代)、「テレビでも同様の宣伝を行っており、一見してテレビのコマーシャルを思い出した」(男性60歳以上)など、広告の連動性に着眼した意見が多数見受けられました。単に連動しただけでなく、テレビCMで使われた強烈な印象を残す歌声とそれを想起させる新聞広告のクリエイティブが功を奏していることがわかります。
 そこには、ラジオCMでよく使われる「イメージャリートランスファー」効果――ラジオCMで音楽を聴くだけで、テレビCMで見た映像がよみがえる――が、有効に作用しています。

表1
表


 広告注目率を性別で見てみると表1、1回目18日掲載では、男女の数値にさほど差はなく女性が5.0ポイント高い程度ですが、2回目25日掲載分では、女性が71.4%、男性56.5%で14.9ポイント、多少開きが出ました。とりわけ、20代は男女間で51.9ポイントの大差が出ました。広告注目率は一般的に男性より女性の方の数値が高い傾向がありますが、ここまでの男女差の要因は何でしょうか。

表2
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 「印象度」「好感度」など計6項目から構成される広告評価を見てみると表2、すべての項目において、女性20代と30代は2回目掲載分が1回目を上回っています。なかでも、女性30代は印象度が35.8ポイント、好感度・理解度・信頼度・広告主との適合度ともに21.5ポイントも2回目掲載分が1回目を上回っています。テレビとの親和性が高いと思われる女性20代・30代は、今回の広告を高く評価しており、それが広告注目率を押し上げた要因の1つと考えられます。
 新聞広告やテレビCMから「詳しくはWebで」と促すクロスメディア手法は最近よく見られますが、今回のへーベルハウスの特徴は、テレビCMから積極的に他媒体への誘導を図っているわけではないが、結果的に生活者自身が他の媒体での自分の広告接触経験を結びつけている、生活者目線のクロスメディアになっていることだといえるでしょう。

(樋口)
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