CURRENT REPORT 2006.10/vol.9-No.7

「おいしさ」と「機能性」を追求し飼い主ペットに選ばれるブランドを提供
 総務省が5月に発表した推計人口によると、4月1日現在の日本の子供(15歳未満)の数は1,747万人だという。81年の2,760万人から、この25年間で1千万人以上少なくなった計算になる。昨年と比べても18万人も減少しており、国勢調査が初めて行われた1920年以降の過去最低を更新した。
 一方、増えているのがペットの数だ。ペットフード工業会によると、国内で飼育されている犬猫の数が、昨年初めて2,500万頭を超えたという。集合住宅での飼育の増加など、飼育環境の整備が背景にあげられるが、癒やしを求める人々にとって、子供に代わって家族の一員化を果たしている姿が浮かび上がってくる。
 そこで、国内ペットフード市場の最大手メーカーであるマスターフーズのマーケティング 統括本部長 小出寛子氏に、人間とペットのかかわり合いについて話を聞いた。


小出寛子 氏 ――人間とペットとの関係は変化したのでしょうか
 昔は番犬程度にしか扱われていませんでしたが、現在では子供の代わりとして飼われていたり、お年寄りの心の友として飼われていたりするようです。
 飼い主さんたちにグループインタビューさせてもらうと、皆さん自分の子供や孫のように話されます。誰も動物とは見ていないんですよ。「子供より大事かも」とおっしゃる方もおられます。
 そういう飼い主たちの意識の変化によって、ペット関連ビジネスも拡大しています。ワンちゃん専用のスポーツジムがある時代です。やはり、皆さんワンちゃんに長生きして欲しいという気持ちが強く、「少しでも健康でいてもらうためにはお金を惜しまない」と考える方も増えています。

――ペットフードも高級化していますか
 二極化しています。毎日食べるものなので、どうしてもお金ってかさみますよね。そうすると、「ワンちゃんのためなら1番良いものを、どんなにお金をかけても惜しくない」という人もいれば、「いかに安いものを求めるか」という人もいます。ですから、市場的にはほぼフラットです。ワンちゃんの数はたしかに増えていますが、小型犬志向が進んでいるので、1頭当たりの食べる量は少なくなっている。だから、結局足し合わせると、総体的には変わらないですね。

――日本で売られているペットフードは特別仕様なのでしょうか
 日本仕様の製品と、海外からそのまま持って来る製品との両方あります。国ごとにバラバラのことをやると経済効率は悪くなるのですが、ローカルな消費者ニーズを無視することもできません。効率を追いながらも、「自分たちの消費者に絶対外せない部分は何だろう?」というものを見つけることが1番のポイントだと思っています。
 たとえば味なども、日本のネコちゃんはお魚味が好きで、ヨーロッパやアメリカのネコちゃんはお肉が好きとかあるわけですよ。そこは絶対妥協できないですよね。いくらお肉の方が生産性が良いといっても、日本のネコちゃんが好きなのはお魚味だから、絶対日本仕様の味が必要になります。魚のグレードや詰め方にしても、そこは日本仕様で作っていますね。

――マスターフーズのブランド戦略は?
 名前が違うだけのキャットフードは出しません。違うブランドだったら、それぞれの世界観やメッセージ、また、ターゲットとする人々やネコちゃんも違うべきです。
 たとえば「カルカン ウィスカス」は幅広い層向けのブランドですし、「シーバ」は高くても、良いものをあげたいという人がターゲットの製品です。そうすると、当然、製品の作りも違わなければいけないし、パッケージのイメージも違うだろうし、また、広告で伝えたいことも違ってきます。

――7月の新聞広告で伝えたかったことは
 「カルカン ウィスカス」の広告は「素材の良さを伝える」という目的で作りました。パッケージがパウチになっているところが新しいのですが、今まで缶詰タイプを買っていた方には抵抗があるらしいのですよ。そこで、1度トライしてもらうために、ネコちゃんが見たらお魚を丸ごと食べたような気持ちになるような、ビジュアル的にもインパクトが強いものにしました。
 「シーバ」の広告は、掲載する日に合わせて週末版と平日版の2パターン用意しました。
 おそらく毎日、新聞を読んでいる人も、読む時の気持ちとか、メッセージの受け入れ度、受容性は週末と平日で違うはずです。ですから、飼い主の平日と週末のライフスタイルに起こりそうな出来事を盛り込んで、「今日はこういう『シーバ』だよね」と共感を得られるような仕掛けにしています。こういうことができるのが新聞の特性だと理解しています。

――スナック菓子も展開されていますよね
 はい。現在、日本ではチョコレート菓子の「スニッカーズ」と「M&M's」に絞り込んだ展開をしていますが、すでに数多くのコアユーザーがいらっしゃいますので、当分の間は今のユーザー、チャネルを大事にしていきたいと考えております。
 ペットフードに関しては、おいしいことは当たり前ですが、さらに高齢猫、高齢犬の増加に対応した高機能製品を開発し、飼い主とペット共に満足してもらえるブランドを提供していきたいですね。

1月6日 朝刊 1月6日 朝刊 1月6日 朝刊


取材メモ
 マスターフーズは、米マース・インコーポレイテッドの日本法人として1976年に設立されて以来、ドッグフードブランド“ぺディグリー”や、キャットフードブランド“カルカン ウィスカス”を有する、国内ペットフード市場の最大手メーカーとして知られているが、同時にチョコレートブランド“M&M's”や“スニッカーズ”に代表されるスナックフード製品や、飲みたいときに淹れたてのコーヒーや紅茶が楽しめるオフィスドリンクシステム“フラビア”なども展開している。
 1911年にフォレスト・マースSr.と、彼の父フランク・マースがアメリカ・ミネソタで始めた小さな菓子会社から始まったマース・インコーポレイテッドは、以来、ペットケア製品、食品、さらにはエレクトロニクスへと事業を拡大し、現在では年間総売り上げ150億ドル、35,000人以上もの従業員を擁する多国籍企業へと成長を遂げている。

(佐藤)
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