pick up AdVoice 2006.9/vol.9-No.6

企業広告の効果を読者の反響から分析
 読売新聞の広告反響調査「AdVoice」とは、「いつでもすぐわかる」定型調査(無料)と「なんでもよくわかる」オーダーメード調査(有料)の2種類から成るインターネットモニター調査です。詳細は、こちら(http://adv.yomiuri.co.jp/yomiuri/advoice/
 このコーナーでは、主に「AdVoice」定型調査の結果データを分析してお伝えしていきます。


 企業の社会的責任が求められる昨今、社会へのメッセージを届けるのに適している新聞広告は、企業広告の展開媒体として使われるケースが増えています。しかし企業広告は、商品広告とちがって、商品名の認知度や売り上げ数字で効果を測ることができません。広告目的もその都度微妙なニュアンスを持って変わってくることから定型の指標を作ることも困難で、多くの広告主や広告会社は広告効果をどうみればよいか迷っているのではないでしょうか。
 今回は6月27日に読売新聞朝刊に掲載された住友林業の企業広告についての「アド・ボイス」結果データから、読者にどう受け止められたかを分析します。

6月27日 朝刊
広告の目的

 住友林業発祥の地、新居浜の森で撮った写真とユニークなキャラクター木の精「きこりん」を使ったこの広告は、「森の中に、地球がある。」というキャッチコピーで、計画的に木を植え、育てることで自然と人が共存するための「サステナブル(持続可能)」な循環システムを実行していることを訴えています。
 この広告の狙いについて、住友林業株式会社総務部広報グループ・マネージャー三浦将太氏は「印象が強いキャラクターと少し難しい単語によって、読者に“おや?”と思わせたかった。『サステナブル』という言葉の認知度が低いことは事前調査でわかっていました。が、疑問に思うことで、深く読み込んでもらえるのではと考えました」と語っています。

広告評価

 「アド・ボイス」定型調査で今年4月から7月中旬までに調査した308件のうち、当該広告と同じ15段多色の「企業広告」12件の結果と比較しました。
 図1の通り、「企業広告」12件の広告注目率の平均は56.0%。それに対し、住友林業の注目率は66・7%と約10ポイント高くなっています。精読率も平均より1.8ポイント高い27.6%です。
 「理解度」だけが69.9%と平均よりも4.9ポイント低いのですが、「関心度」「印象度」「好感度」「信頼度」「適合度(その企業と調査対象広告が合っているか)」も平均より高く、特に「印象度」は8.9ポイント上回っており、目をひく広告だったことがわかります。

図1

「疑問」が呼んだ効果

表1
表

 読者の生の声であるフリーアンサーを見てみましょう(表1)。不思議なキャラクターと少し難解な「サステナブル」という言葉についてのコメントが性・年代にかかわらず多数見受けられました。
 「『サステナブル』という聞きなれない言葉がどんなことかを知りたくて文章部分をよく読みました」(男性50代)、「何だろうと思って、見ているうちに、全部の文章を読んでしまいました」(女性40代)など、「疑問」が広告の精読を誘因している様子がうかがえます。
 また「住友林業さんが環境のことを考えて木を育てていることを初めて知った。その姿勢にとても好感が持てました」(女性30代)というコメントからは、制作サイドの狙い以上の効果があったことも推測できます。
 「サステナブルという言葉を覚えられたことが収穫」(男性60代)という読者もいて、新聞広告が読者にとって社会の窓口であることも思いおこさせます。



 以上の分析は「アド・ボイス」定型調査のさまざまなデータと、フリーアンサーを読み込むことによって見えてきたものです。読者モニターからの声は、企業広告の目的である「イメージ向上を図り、好意を高める」方法を考える上で役立つはずです。
 今回は疑問に思ってもらうことで、注目率や、精読率、印象度が高まる効果があるということに改めて気づきました。これからも、「アド・ボイス」を通して、新聞広告表現の奥深さをどんどん発見していきたいと思います。
(増田)

広告主から
 今年は企業広告を展開する3年計画の2年目です。新聞での企業広告はステークホルダーとのコミュニケーションの一環と位置づけています。
 6月27日の読売新聞朝刊に掲載したものは、今年度シリーズの第一弾でした。言葉で説明というよりも事実を見せていき、そこから理解、共感をしてもらえたらと考えています。「サステナブル」という言葉については、まだその大切さを知らない人も多いでしょう。でも、そういう方に言葉の意味をわかっていただき、「サステナブル」な考え方を理解してもらうことが弊社の企業価値をわかっていただくことにつながると思っています。
 広告表現は、わざとわかりにくくしているわけではありませんが、存在感のあるキャラクターやキャッチコピーで「これはなんだろう?」と疑問に思ってもらい、ボディーコピーに引き込んでから「なるほどね」とわかってもらうようにという形式にしています。アド・ボイスの調査結果からも「疑問に思ってもらう」ことは成功したと思います。注目率や印象度が高く、そのあたりはインパクトのある広告作りをしていたので、期待通りでしたね。
 元禄4年に創業した弊社は、「公正、信用を重視」する住友精神に根ざし、山に木を植えるところからはじめて、植えて育てて伐採して、それを建材に加工して、住宅に役立てて、また植えてという、総合住生活関連事業をグローバルに展開する会社です。住宅に建材を供給するだけでなく、そのまま家を建てて、またリフォームや庭の緑化等までやっている会社はたぶん世界でもほかにはないでしょう。
 住友林業のそういう一連のビジネスモデルが実は環境に貢献している、木という再生可能な天然資源を使って循環型の社会を作っているのだということは意外とわかってもらえていません。それがこの企業広告を始める出発点でした。
 まずは事実を知ってもらうことが大事です。もともと弊社の事業領域も「サステナブル」という考え方もひとことでは説明が難しいので、単発の広告ではなく、全社を挙げて継続的に伝えていこうという覚悟をしています。末永く広告を見守っていただきたいですね。
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