From Overseas - NewYork 2006.7・8/vol.9-No.4・5

新聞社の幅広い「会員制サービス」
 読売新聞では6月からインターネットを使った会員制のサービスプログラム「yorimo」を始めたが、ここアメリカでも大手新聞社を中心に会員制のサービスが盛んに展開されており、内容もメールを使った記事配信やイベントの実施にとどまらない。
 シカゴ・トリビューンでは「Subscriber Advantage」の名のもと、インターネットを核とした会員限定のプログラムを展開している。購読者はもちろんのこと、非購読者もわずかな年会費でサービスを受けることが出来る。
 主なサービス内容は、会員を対象としたイベントのほか、同紙ウェブサイトのカスタマイズ、各種割引と多岐にわたる。イベントは編集者とのトークセッションのほか、同紙に出稿している広告主の主催によるものもある。また、ウェブサイト関連では上記のほかに各日のトップ記事を電子メールで配信してもらえる。
 中でも特徴的なのは各種割引で、シカゴ都市圏の大手量販店などで会員限定の割引を受けることが出来る。
 その一方で、航空会社のマイレージプログラムさながらのサービスを提供している新聞社もある。
 ニューヨーク・タイムズ紙が今年初めから導入した「Times Points」がそれだ。同紙のウェブサイト上からクレジットカード番号をはじめ、自身のプロフィルを登録するだけ。クレジットカードさえ持っていれば購読者でなくともプログラムに参加することが出来る。
 登録すれば、加盟しているレストランやデパート、量販店、ホテルを利用した際、カードで精算するごとにポイントが貯まっていく。加盟しているレストランはニューヨークとその周辺にとどまらず、アメリカ全土にわたっており、ホテルに至ってはアメリカ、カナダの約1万か所に及ぶ。
 集めたポイントは新聞の購読費に充てることが出来るのはもちろんのこと、デパートや量販店の商品券に換えたり、新聞社が販売する書籍や絵画を購入する際にも利用することが出来る。
 「Times Points」をサポートしているのはRewards Networkという会社だ。20年以上前から、加盟の飲食店においてクレジットカードで支払った消費者にキャッシュバックの特典を与える一方で、飲食店にはマーケティングに必要なデータを提供して来た。実は前述の航空会社のマイレージプログラムも同社のサポートを受けており、現在9社が提携している。
 以上で紹介した会員制プログラムを導入する目的はどこにあるのか。それはひとえに、読者の志向やライフスタイルを探り、それを紙面作りに反映させた上で、各新聞固定のファンを作ることにあるはずだ。
 ニューヨーク・タイムズ紙では昨年5月に、これまでは日曜日にしか設けてこなかったファッションのセクションを木曜日にも設けた。さらに、今年の2月からは日曜日に付録として折り込まれている雑誌で、新たにスポーツをテーマにしたものを創刊、年末までに合わせて4回の発行を計画している。
 紙面改革は広告の需要もさることながら、読者のニーズを酌んだものでなければならない。今回「Times Points」を導入したのも、読者の心をさらにつかんでいこうとする姿勢の現れと考えられる。
 とはいえ、インターネットに頼り過ぎるあまり、肝心な新聞の購読者を減らしてしまうことにつながらないのか。いずれにしても、こうした会員制サービスは導入されてまだ日が浅いこともあり、新聞社と読者との関係が今後どのように変化していくのかに注目したい。

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 2年間お付き合いいただいた私の担当は、今回で終わります。ご愛読ありがとうございました。
 
5月30日 NYタイムズ紙 1面 5月30日 NYタイムズ紙 6面−7面

(6月7日)
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