ojo interview 2006.7・8/vol.9-No.4・5

本城 直季氏
本城 直季氏

 初めて彼の写真を見た人は、十中八九、ミニチュア模型を撮影したものだと思うだろう。しかし、それが本物の都市を俯瞰したランドスケープだと気づいた途端、これまでの自分の常識が覆されたような、実に不可思議な気持ちにさせられる。
 「自分の脳にとっての楽しい仕事を与えてくれる期待がある」というのは、初の写真集「スモールプラネット」(リトルモア刊)の巻末に慶応大学の佐藤雅彦教授が寄せた解説の中の一文だ。
 「僕の写真がきっかけで、その人のモノの見方が変わったらいいなという気持ちはあります。ただ、『人は自分の好きなようにしかモノを見ていない』と思っているので、難しく考えず楽しんで見てもらえれば、それでいいと思います」
 写真を学び始めたのは大学時代から。高いところから眺める都市の風景が好きで、本来は被写体のゆがみを補正する「アオリ」という撮影技法を独自のジオラマ感を表現するための手法として生かすようになった。「4×5(シノゴ)」と呼ばれる大判カメラを担いで高い場所へ登り、そこから「最も作り物っぽく見える光景」を切り取って、誰にもまねのできない「本城ワールド」を創り出す。
 「モノゴトは近づき過ぎるよりも、一歩引いて見せたほうが分かりやすいと思うんです。でも撮影可能な高い場所を探すのはいつも苦労しますし、我ながらよくやるなぁと思う時もありますね(笑)」
 AEON、シティバンクなど、広告の世界でも注目を集める28歳の写真家は、どうやら自分のことも俯瞰しているらしい。名前がクレジットされた見開き30段のスクウェア・エニックス「FFXI」の新聞広告についても、「周りの人が『すごい、大きく出てたね』って声をかけてくれるから、そうなのかな?ってくらいで」と、あくまで自然体だ。  
 「依頼があれば、アフリカでキリンを空撮したり、スコアボードの上から野球を撮ったり、色々と挑戦したい。戦争をアオッて撮影すれば、人間の愚かさを客観的に伝えることもできると思います」

文/横尾一弘  写真/はやしたつお

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