ojo interview 2006.6/vol.9-No.3

野尻 大作氏
野尻 大作氏

 「巨人軍は不滅か。」活字だけで強いメッセージが伝わる紙面に仕立てたアディダスの新聞広告など、キレのあるストレートな表現と、細部のディテールまでこだわるクオリティーの高さが特長だ。
 剣道に明け暮れた高校時代は学業成績が振るわず、実技試験で内部進学できる東海大学の芸術学科を目指すことを決めたのは高校3年の6月のこと。「理屈を抜きにして、やる時にはやる」集中力を発揮し、10月の試験に合格した。大学時代も勉強せずに、飽きるほど遊んだが、「そういうコンプレックスは、今でもデザインへのモチベーションを維持する原動力になっていると思います」。
 いくつかのデザイン会社でグラフィックデザイナーとしての経験を積んで入社した広告制作会社では、米村浩氏、水口克夫氏ら、名だたるクリエイターに作品を見せて回った。それが、後にナイキ「Why baseball?」や、ホンダ「ステップワゴン」などの仕事につながっている。「ミーハー的に有名な方のところにファイルを持って押しかけていました」と振り返るが、面白い仕事を貪欲に求めていく中で、野尻流のデザイン術を研ぎ澄ませてきた。
 「ある程度自分ができること、やりたいことが見えてから広告の仕事にシフトしたのが良かったと思っています。やっぱり自分が持っていない感性のものを無理して創るのは、クライアントに対しても不誠実だと思いますから」
 31歳。さらなる刺激と進化を求めて、昨秋、高松聡氏が立ち上げたgroundに参加した。
 「広告は、自分の作ったものがうまく機能した時に、世の中が動くことを実感できる魅力的なフィールドだと思います。 今後は様々なクライアントの要望に対応できるように、自分ができることの幅を広げていきたいですね」
 CDジャケットや、ファッション、パッケージなどグラフィックの仕事は今も多く、今後も続けていきたいという。
 「いろいろやりたいんですよね。うん、とにかくミーハーなんです(笑)」

文/横尾一弘  写真/小宮雅博

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