CrossMediaの必然性 2006.6/vol.9-No.3

クロスメディアの考え方
 「クロスメディア」という考え方は、インターネットという、コミュニケーションメディアでもあってマーケティングツールでもあるという、従来なかった特殊なメディアをキャンペーン構造のなかに取り込むことを前提にしている。だから、従来の「メディアミックス」という概念と随分違ったものになっている。
 「メディアミックス」は、「マス広告による到達効率(リーチとフリークエンシー)を基準とした、マーケティングの時間軸が短期的なコスト配分モデル」ということができる。つまり、TVを中心に、リーチの補完(TVでは届きにくい層への訴求)、訴求メッセージの補完(TVでは伝わりにくい内容の訴求)を他メディア(新聞、雑誌、ラジオ、交通広告、エリア広告など)で構成するという考え方であり、<メディア+メディア>という「メディアの足し算」と言える。
 一方の「クロスメディア」とは、インターネットなどインタラクティブメディアが、コミュニケーション機能も、マーケティング装置としての機能も果たすことで、より複層化(マルチレイヤー化)した構造をとる。マーケティングの時間軸もメディアミックスより長く設定され、「メディアの掛け算」<メディア×メディア(またはマーケティング装置)>となって、目標とする効果指標も、具体的な購買行動に極めて近いユーザーアクションまで至る。
 こう言うと非常に抽象的ではあるが、クロスメディアとはそういう考え方を意味しているに過ぎない。これを具体化するのは、まさに各企業のブランド担当者のマーケティング戦略にかかっている。
 ここ数年、企業のWebサイト活用は、単なるホームページから、ブランドサイト、キャンペーンサイトと呼ばれるように、広告活動を含めたマーケティング活動のハブになりつつある。つまりWebサイトのなかにキャンペーンのゴールがあって、Webサイトのパフォーマンスを上げるためにマス広告やリアルなプロモーション活動を行うというキャンペーンデザインが本格化し始めたのだ。
 キャンペーンのゴールがWebサイト内にあるということは、マーケティングコストを投じた成果(ROIないしROAS)が常に把握できるなかで行われるということを意味している。従来その効果を明確に把握しづらかったマス広告も、Webサイト内のパフォーマンスでその効果が評価される。ここに広告投資の最適化(オプティマイズ)という概念が成立する。
 そしてオプティマイズ思考が、またクロスメディア手法を磨くというプロセスで、企業マーケティングにおけるクロスメディアは発展すると思われる。
 インターネット広告においては、多様な広告フォーマットを使い分けることが既にクロスメディアである。リスティング広告からバナー、リッチメディア、インターネットCMに至るまで、その活用目的は多様である。ブランド認知を目的としたネット広告もあれば、広告露出からクリックによるユーザー誘導や、登録、申し込みといったアクションを直接促す目的もある。またユーザーアクション率を上げるためのe-ブランディング的な広告投下もある。組み立て方が、ネット広告だけをとっても従来マス広告よりも複層的にできている。
 このような広告メディアの最適化スキルとWebサイト内のユーザーアクションの最適化スキル、そして誘導効率をあげるためのマス広告のクリエイティブや投下方法の最適化スキルが、今後のクロスメディア戦略の重要なスキルとなるだろう。
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