AD FILES 2006.6/vol.9-No.3

“まじめ”から“エレガント”へ 大胆なデザイン転換を表現
フォルクスワーゲン グループ ジャパン マーケティング統括部マーケティング担当部長 土井上 丞二氏

 フォルクスワーゲングループジャパンは、セダンおよびワゴンタイプのフラッグシップモデル「パサート」の8年ぶりとなるフルモデルチェンジを実施。販売開始に合わせ、4月13日朝刊で7段見開きのカラー広告を、翌週、20日朝刊では全7段のカラー広告を掲載した。

イメージ一新の「パサート」

 フォルクスワーゲンは、2005年度で、輸入車登録台数「6年連続NO.1」を記録した。
 今年からは、従来得意としてきた小型車分野に加え、上級車セグメントへの挑戦という目標を掲げ、1月の新型「ジェッタ」発表に続く第2弾として投入されたのが、新型「パサート」である。
 「売れ行きは好調です。車種によってはお待ちいただくこともあるほどです。ただ、スポーツカーのように派手な車ではありませんので、即決というよりも販売店に二度三度と足を運んでいただいて、納得されてから購入される方が多いですね」と語るのは、マーケティング統括部 マーケティング担当部長の土井上丞二氏。
 今回のモデルチェンジで6代目となるが、新たなデザイナーを起用し、先代の剛健なイメージからエレガントで品格を感じさせるデザインへと変わった。
 日本での宣伝展開に当たっては、広告の制作担当者とともにヨーロッパへ渡り、車の試乗をはじめ、工場見学、担当デザイナーやエンジニアへのインタビューを実施した。パサートの歴史もひも解き、その魅力を日本の市場にどうアピールするか検討を重ねたという。
 「この車は、ゴルフやビートルと違って日本での認知度はそう高くありません。だから、モデルチェンジを伝えるのではなく、全くのニューモデルを発表するつもりで臨みました」

上級セグメントへの挑戦

 輸入車のアッパーミドルクラスというセグメントにおいては、7割がメルセデス・ベンツ、BMWの両社で占められており、残りをフォルクスワーゲンを含めた数社で分け合っているのが数年来の状況だ。この市場にチャレンジを図ることとなるのだが、「広告については、ライバル社に真っ向から挑むのではなく、他社との差別化を図り『パサート』らしさを伝えていく表現を考えました」。
 新聞広告では、ラベルのないワインボトルとパサートを並置して車のサイドデザインを際立たせている。メーンのコピーには「Passat-ism 車格より、品格。」とある。

車格より品格とは

 ところで、あなたはワインを選ぶ際に、何をもって判断するだろうか。高額商品になると、ラベルやブランドで選んでしまうこともあるのではないだろうか。
 土井上氏はそうした価値観を認めながらも、「我々が生きていく上では、常にヒエラルキーがついてまわります。それならば、車を選ぶときくらいは、『車格』というものにこだわらず、クルマ本位で考えてみませんか――。それが『車格より、品格。』というコピーが意図するところです」と語る。
 また、自動車とアルコールを並べたビジュアルというのは、従来では考えられない組み合わせだ。
 「今回のパサートは、これまでの『まじめで、かたい』イメージから『エレガントで、のびやかな』デザインとなっています。広告では、既成概念の打破、コンベンショナルなものへの挑戦という気構えも表現したかったので、迷うことなくワインボトルを選びました。ミネラルウォーターではしまらないですしね」
 独自の価値観を持つ人へ、自分の価値観にしたがって選んでほしいというメッセージが込められているのだ。

新聞広告の役割

 発売に合わせ、新聞をはじめとした、テレビ、雑誌、WEBでの広告展開の結果、HPへのアクセス数は一週間で約45万件、カタログ請求数も過去最高を記録した。
 「これだけの反響をいただいたということは、我々のメッセージを理解していただいたことの表れではないでしょうか」
 実際、本誌の読者モニターからも、「ブランドではなく中身で勝負というメッセージが伝わる」、「シックな色づかいでいっそう品格を感じさせる」といった声が数多く寄せられた。
 同社としては、今後も新聞広告やテレビCMなどで継続的に露出を図り、「パサート」の認知を定着させ、さらに向上させていく予定だ。
 「まず、ターゲットに対する認知獲得をマスメディアで図り、詳細についてはWEBや雑誌、販売店で確認していただくようなコミュニケーション戦略をトータルで設計しています。販売の現場にも、広告で作ったトーン&マナーやクオリティーの徹底を心がけています」
 販売店でのセールストレーニングも担当する土井上氏だが、新聞広告については、マスへのリーチだけではなく、ディーラーのモチベーションを高めるインナー効果もあるという。
 「新聞への出稿は販売店からも期待されています。広告掲載後にはコールセンターへの問い合わせも大きく増えますから、販売支援という点はもちろんですが、全国紙に掲載されることで醸成されるメジャー感が、フォルクスワーゲンで働くことの誇りにつながっているのです」

クルマへの熱い想い

 さて、この広告、実はスタジオではなく、屋外で撮影されたものだという。車のサイドビューに映りこんでいるのは、伊豆の朝日だ。
 「本国のデザイナーは特に、『パサート』のサイドラインが気に入っていると言っていました。その魅力を伝えるためにも、自然光にこだわりたかったんです」
 フォルクスワーゲンのブランドとしての思想は「クルマへの熱い想いをあなたに」というスローガンに込められている。その想いは広告へのこだわりからも伝わってきた。

4月13日 朝刊
4月20日 朝刊

(梅木)
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