立ち読み広告 2006.5/vol.9-No.2

我、「挫折しない講座」を所望す。
 春は書店にとって一年でもっとも忙しい季節である。新学期に合わせて学習参考書売り場は商品を総入れ替え。ビジネス書売り場には新入社員向けの本を並べ、実用書売り場にはお弁当のレシピをそろえる。
 
NHKは語学講座のデパート?!

 3月31日の朝刊第5面には、明日から新学期という日にふさわしい広告が載っている。NHKテキストの全面広告、しかも4色。
 それにしても、NHKがこんなにたくさんの講座を放送していたとは気づかなかった。たとえば英語だけでも13講座もある。『基礎英語1』や『英会話入門』など、昔からおなじみの講座もあれば、『ものしり英語塾』『テレビで留学!』『いまから出直し英語塾』なんていうのもある。『栗原はるみの挑戦 こころを伝える英語』とは、いったいどんな内容なんだろう? 今年は新たに『レベルアップ英文法』『徹底トレーニング英会話』『新感覚☆キーワードで英会話』という3講座も始まった。この広告には、それぞれの講座のレベルが5段階で表示してある。栗原はるみのはレベル3だ。
 NHKの講座はテキストの値段が安い。『基礎英語』の1、2と『レベルアップ英文法』は330円で、他は350円。新書1冊の半額。1年分でも4,000円前後だ。例文や解説だけでなく、コラムなど読み物も入っていてかなりおトクだ。
 英語以外では、独仏伊西露中…と各種そろっている。テレビならアラビア語会話まである。じつは教育テレビとNHKラジオ第2は、語学講座のデパートだったのだ、と再認識する。  唯一不満があるとしたら、各講座に講師の名前はあってもアシスタントの名前がないこと。これまでNHKの語学講座は、井川遥や仲根かすみ、土屋アンナ、加藤ローサなど、アシスタントに若いタレントを起用してきた。その方面でも注目度は高いのだ。
 この広告を眺めていると、思わず「そういえば番組の予約録音ができるラジオが発売されたな。うまく使えば駅前の英会話教室に通うよりもはるかに安上がりだぞ…」なんて考えてしまう。その想像の向こうには、英語ペラペラの自分がいる。
 もっとも、これまで4月が来るたびに各種語学テキストに挑戦して(フランス語の年もあれば、ドイツ語の年もあった)、長く続いてもせいぜい7月半ばで挫折していたのだけれども。来年はぜひとも「どうすれば挫折しないか」を教えてくれる講座をやってほしい。

特殊な売れ方をするテキスト

 語学だけでなく、趣味・教養系の講座も充実している。坂東三津五郎の『歌舞伎入門』や観世喜正・野村萬斎の『能・狂言入門』なんてぜひ見てみたい。こちらはテキスト998円とちょっと高いが、でも歌舞伎座のチケットに比べればうんと安い。
 書店に聞いたところによると、NHKのテキスト『きょうの料理』は雑誌としては特殊な売れかたをするのだそうだ。通常、月刊誌は発売日が最もよく売れて、2日目、3日目とだんだん減り、一週間もすると動きが止まる。ところが『きょうの料理』は次号の発売日が近づいても売れ続けるというのだ(ちなみに、発売日は毎月16日)。読者は普通の雑誌と違う読みかたをするらしい。

3月31日 朝刊 NHK出版
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