新聞広告の色彩学 2006.5/vol.9-No.2

色も形も花ぞ満開
3月2日朝刊  NTTグループ 3月24日朝刊  大成建設 3月18日朝刊  ユニリーバ・ジャパン 3月28日朝刊  キヤノン
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 東京の桜は今年は急でドッと咲いた。2月の沖縄本島の濃い紅色の桜が、例年になく半月で散ってしまったから、今年の春の歩みが早いとは感じていたが、東京に抜け駆けの桜開花がこようとは、予知を越えた。弥生3月、WBCで日本が優勝したことは夢のような開花だったが、イチローの心意気をとことん賛えなければならない。なんと言っても日本の志を表に出して、ベースボールではないフィールド野球の名前を世界に知らしめた。

 筆頭、NTTグループの広告の桜色は、イチローの活躍に比べてちょっと控えめカナ。しかし、うららかに「未来へ いこう。」と発信する。幸せはブロードバンドの通信ネットからという提案だ。3月の紙面には春満喫の桜の花色の広告仲間がとにかく多かった。いわく、SEGAのおしゃれ魔女ラブとベリー、PANASONICのDVD愛情サイズ、NISHIJINの花満開煌、KDDIのメタルプラス電話、SUNSTARの最先端ムシ歯対策カリオロジー、講談社の『健康の常識』、首都高速道路(株)のETC、ANAのマイル・カード、日本通運の環境ロジスティクスと、桜花の紙上満開度が驚くほどの高さ。

 形の変化も満開だ。まずは大成建設。地図に残る仕事の一つ、ドバイの人工島「パーム・アイランド」は海に浮かぶ肋骨のように奇っ怪極まる形態美。上にビッシリ乗せた建造物らしきものが、木の葉にたかる微小生物のように岸辺の海の緑色と微妙な調和をみせる。

 LUXのスーパー・リッチ・シャンプーの容器の形はスーパー春めいたやわらかさ。金色の文字からポチャンと落ちる淡い紫色の雫が、ダメージヘアを200パーセントの輝きに補修する魔法の形と見えるから不思議。髪の乱れもパサつきも静かにリペアの時ぞ春。

 キヤノンのDIGIC DVの広告は、見ただけで万事了解と言えるほどに説得的だ。アニメーションの猫の動きが魅力的なのは、バックの黒が温かく猫に声援してるからだ。
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