こちら宣伝倶楽部 2006.5/vol.9-No.2

宣伝部の信頼回復への15のガイドライン
イラスト 景気は回復基調にあるらしいが、慎重な経営が続いて各社は宣伝部の位置づけに頭を悩ませている。診断やアドバイスでコンサルタント会社がのりこんでくると、経費部門として、損益バランスの影響部門として、宣伝部は窮屈な扱いを受けやすい。このことは広告会社やメディアにも微妙な影響を与える場合がある。大手広告主の宣伝部がこの春からちょっと試練を受ける例が増える。宣伝部の信頼回復や存在感を示すために、いくつかのヒントを整理してみる。

(1)脇役に徹し協調性を前に出せ

 気持ちは主役でもよい。しかし宣伝部は外向きの仕事が中心になるので社内での歯車はしばしばずれることがある。誤解も多いしやっかみもある。ここはひとつ名脇役に徹し、名幹事役になってこまめに動き、協調性を示して便利な人気者をめざしてはどうか。社内に敵を作らぬこと。人が自然に寄ってくる魅力を作り直そう。

(2)専門語・業界語を使いすぎるな
 この業界はすぐに新語、造語、略式語を持ちこんで人を煙にまいて得意がる悪い癖をもっている。社内でなく部外ではその言葉を使ってキザにならぬこと。知らず知らずのうちに理屈っぽい社内外人にならないように。あたかも最先端人みたいな顔になっていくと、周囲から人は去っていく。言葉の習慣には用心してかかれ。

(3)数字に弱いを克服しよう
 宣伝もクリエイティブに力点が移りすぎると数字に弱い、経済性に無頓着な社内印象をつくり、経営についての議論をする相手から遠ざかっていくことがある。広告の効果や成果を数字でなく感覚でしかとらえない習慣も社内理解を得られない要因。感性の右脳もいいけれど、知性・理性の左脳の光る発言を意識して示せ。

(4)イザという時に一歩前へ出よ
 ここぞという出番のチャンスは逃してはいけない。チャンスを自分で作る場合もある。社内に聞き耳をたてて、問題発見への気づきと、学習・蓄積してきた解決への知恵と知識を全開にして「さすが宣伝部」を立証しよう。日程をこなす「作業」に明け暮れていると、イザという時に「仕事」をするチャンスを失いがちだ。

(5)メリハリつけて、やる時はやる
 WBC野球で、寄せ集めのチームでも目的や使命感がわかり、一心になる集中力と瞬発力、やる気のド根性とリーダーシップがあれば、ものすごい力が発揮できることを学んだ。メリハリのある仕事っぷりでここ一番の働きをねらいたい。この種の仕事はたびたびあるわけではない。内側のアンテナの大事さを忘れぬこと。

(6)外からたれこまれるな
 内部告発とごく身近なところからの外部告発には注意した方がよい。宣伝部の周辺には第三者の思惑や利権がからんでいるからだ。彼らへの配慮もときには必要、きれいにつきあってしこりを残さないこと。パートナーとしてこちらが評価されていることもお忘れなく。できれば敵をつくらず、隙をつくらないように。

(7)予算はスマートに使え

 活動の予算は慎重に管理し、いつでも説明できるようにリーズナブルにしておくこと。馴れあいでないことの証明も競合や見積もりなどできちんとしておくこと。無駄だと思ったらやめて別の方法を考えるのも進歩、使いきらずに残すのも芸のうち。「残す」という発想は意外に評価される。必ずそのわけをアピールすること。

(8)ガイドを示しつつ部下を育てよ
 部下を育て、後継を育て、社内における仕事のしくみやルールを作っていくことには、宣伝部は意外におくれていると思われがちだ。ともすれば個人プレーが多く、増えがちという印象もある。軽薄な部員を育ててはいけない。宣伝部があこがれの部門であるのは大切だが、ラクそうだからという理由だったら大いに問題。

(9)たのもしさをアピールせよ

 宣伝部はその社のシャープなアンテナでなければならない。良識であらゆることをジャッジできるその社の知性の畑であればもっとよい。新しいことがそこから始まり、アイデアの原型がいつもそこにあるような印象は、きっとその社の誇りにもつながってくるに違いない。

(10)トップとのいい関係に努力せよ
 経営トップと宣伝部の距離感は近い方がよいにきまっている。あちらからでなく、こちらから定期的に考え方や判断のポイントなど、顔をあわせて摺り合わせる時間を、月に10分でも15分でも作ってほしい。トップとの接点拡大をはかり、あえて叱られにいくこと。トップを味方につけ、トップに関心をもたせる啓発を。

(11)人望でなく部望をつくれ
 人への尊敬、信頼、期待の気持ちが人望。宣伝部にはその結集体としての「部望」のようなものが欲しい。一夜にしてはできない、ずっと代々培われてきたものもある。よその会社の宣伝部にひかれることがあり、宣伝部にもお手本にしたくなるブランドがあるのだとわかる。一目おかれて信頼される部門の経営を考えよう。

(12)勉強せよ 仕事せよ 自分を出せ
 期待に応えるには勉強するしかない。方法はいろいろある。会社や上司をあてにしてはならないことだけは確かだ。忙しそうに見えても日程をこなしているだけなら作業、それに知恵や工夫や思いを加えるから仕事になる。だから丸投げ、丸受けは血にも肉にもならない。もっと自分というパーソナリティーを前面に出そう。

(13)外を向きつつ、内を見ること
 宣伝の仕事は外に向かってすてきな情報を発信すること。だからしばしば会社と世間の中間に立つことがある。本籍は社内、現住所はちょっと足をふみだした微妙な位置というわけ。内から見るとちょっと浮き足ぎみにみえたりする。組織人として内への神経は大切に。業界で有名人になりすぎるとちょっと赤信号だ。

(14)存在感を鮮明に、摩擦を恐れるな
 宣伝部にはいつも試練や課題や社内からの冷ややかな目がある。部門の性格上仕方がない。かといって縮んでしまってはならない。ここに宣伝部ありを強烈に、鮮明にしておくことがいるし、いろいろな人がわざわざ訪ねてくる会社の窓口でもなければならない。仕事の上での意見交換や摩擦は恐れず前むきの交流を。

(15)礼儀、マナー、常識の府であれ

 人として気持ちよくつきあえるために、上も下も、中も外も関係なく、義にあつく、礼を失しない人間関係や、約束は守る、わかりあうための努力は惜しまない、自我をおしつけるだけでなく相手の立場や考えも尊重するなど、マナーや常識のフレームがずれていないかの点検を。
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