新聞広告の色彩学 2006.4/vol.9-No.1

光が春をはこぶ
2月24日朝刊  積水ハウス 2月8日朝刊  ブルガリ 2月9日朝刊  フォルクスワーゲン グループ ジャパン 2月1日朝刊  高島屋
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 2月になると「早春賦」という歌を思い出す。今年はその歌詞のように、まだまだ風が冷たい。しかし、宇宙から見る惑星地球号は、わずらわされる気候不順とは別世界だ。
 昼間の地球はよく知られているように青く美しい水の星。だが、夜空から見た地球は地表の凹凸が消えて、ヒマラヤ山脈さえ見当たらなくなる。代わって電灯の光がまばゆい。

 宇宙飛行士の毛利さんが、積水ハウスの広告で、美しい光の点灯はエネルギーの消費による地球温暖化を表している、と語っている。その現実の課題の厳しい話から、実現しなかったあるプロジェクトを思い出した。それは夜間に、地球の地域ごとにいっせいに光を点滅させ、宇宙飛行士にサインを送ろうという壮大なアイデアであった。環境への心配りはもちろん忘れてはならないが、春にはそんな夢のような話もあってもよさそうだ。地球号全体の平和はそんな夢話から実現するのかもしれない。それがほんとうの春風だ。

 光といえば私―ブルガリの香水「オ・パフメ オーテルージュ」はそう言ってるようだ。紫―赤―オレンジは夜の訪れを待ちわびる春の残光。そのかげ色グラデーションと黄色の光の色彩の空気に覆われる容器の形姿から、夕べの香りが漂ってこよう。どこかけだるさを感じさせるこの広告の色調には、まさに春たけなわの歌声が溢(あふ)れている。

 次なるはフォルクスワーゲンの名車、ジェッタ。車名はジェット気流に由来。背後には光背のようにターボエンジンの影が浮かんでいる。安定と速さ。光を帯びた黒色が醸し出すこの雰囲気がたまらない。光る黒は最高度のコントラストの中に情熱をたたえる色だ。

 アムール・ド・ショコラのバレンタインデーはいかがでした? 高島屋のめくるめくチョコレートのネックレス。黒地はどの色も美人に見せる。多種多彩多様な形の「食す宝石」たちを支援する黒色は、紫色が参加して高貴の色となった。ますます光豊かな春の到来だ。
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