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ojoトップ  > 特集  > ハレを共有する:企業メッセージを元旦に伝えることの意味

特集ハレを共有する

(Mon Dec 05 10:03:00 JST 2016/2016年12月・2017年1月号 特集)

企業メッセージを元旦に伝えることの意味

三越伊勢丹ホールディングス   執行役員 営業本部 マーケティング戦略部長   早川 徹 氏

早川 徹 氏

ハレの日の広告があるとしたら、新聞の正月広告はその代表格だろう。年頭企業広告として、その年の企業の決意を述べることの多い正月広告だが、企業メッセージを発信する場として位置付けていると語るのが、三越伊勢丹の広告に長年携わってきた早川徹マーケティング戦略部長だ。

正月広告で企業メッセージを発信する

── 御社にとって正月広告はどんな意味があるのでしょうか。

  三越伊勢丹では、1月1日の朝刊にこだわりを持って出稿してきました。なぜ元旦の広告に重きを置いているのか。“一年の計は元旦にあり”ではないですが、1月1日というのは「今年、三越伊勢丹という船はこの方向に進んで行きます」と宣言をする日だからです。普段の広告とはまったく意味合いが違います。
  その“年頭企業広告”が、2015年の出稿からはさらに違う意味で大事になっています。それまでは、「今年1年間、三越伊勢丹はこう走っていきます」というコピーであり、ビジュアルでした。だから、12月31日になったらおしまいで、翌日から「今年の三越伊勢丹はこうです」という宣言を繰り返していました。しかし、昨年からは1月1日の新聞広告を「this is japan.」という企業メッセージを発信する場と位置付けています。
  日立製作所の広告には、「Inspire the Next」という企業メッセージが必ず添えられています。企業メッセージは企業活動の方向性をより明確に示す言葉です。三越伊勢丹にとって「this is japan.」がまさにそれなんですね。

2016年1月1日 朝刊

── 「this is japan.」に込めた意味は、どういうものなのでしょうか。

  三越伊勢丹では2011年4月から、「JAPAN SENSES(ジャパン センスィズ)」というキャンペーンをスタートしています。たまたま東日本大震災の直後になってしまいましたが、企画はその前からスタートしていました。「日本を元気にしていく」をキーワードに、日本の伝統・文化・美意識が作り出す価値を再認識し、新しい価値として三越伊勢丹が世界のお客様に紹介していこうという試みで、年4回、三越伊勢丹のグループの主要28店舗で開催してきました。「this is japan.」は、その取り組みをさらに深化させ、企業メッセージとして経営戦略レベルに位置付けて、商品や販売サービスなど“世界に通じる日本の良さ”をグループを挙げて提案していこうというものです。

「あなたに、期待してください。」の意味

── 2016年の「this is japan.」の正月広告は、ラグビー前日本代表のヘッドコーチ、エディー・ジョーンズ氏を起用して、「あなたに、期待してください。」というコピーも添えられていました。

  三越伊勢丹の基本的な活動方針である「this is japan.」を従業員を含め、いかに世の中に浸透させていくか。「あなたに、期待してください。」は、2016年の「this is japan.」のメッセージです。そして、我々がやろうと思っていることを最も具現化していたのがエディー・ジョーンズ氏だったのです。ありえないと言われたことが、ラグビーワールドカップ2015南アフリカ戦で起きた。番狂わせはないと言われるラグビーで、日本代表が強豪南アフリカに勝つという歴史的な快挙を成し遂げた。
  それを聞いたときに、私たちのやろうとしている「this is japan.」の精神、気持ちを具現化していくのに、これほどピッタリの出来事はないと思ったのです。

── 具体的にはどういうことですか。

  エディーさんは「ハードワークしなさい」とよく言います。まず高い目標を掲げ、自分自身に期待をし、まだやれるという気持ちを持ってチャレンジする。それが「あなたに、期待してください。」というメッセージに込めた意味です。三越伊勢丹のお客様だけでなく、従業員を含めたあらゆるステークホルダーに向けたメッセージでもあるんですね。

すべてのステークホルダーに

── 1月1日の新聞広告でそれを伝えたわけですね。

  そうなんです。90年代半ば、業界全体で約10兆円あった百貨店の売上高は現在では約6兆円です。では、どうするのかといっても奇策があるわけではありません。一対一の接客の現場でお客様の話を聞き、潜在的な要望も含めて、それをコト、モノに具現化して提供していく。お客様の生活に現場の力でできる限り深く入り込んでいくしかないわけです。
  ラグビーの南アフリカ戦の最後、ヘッドコーチの指示は「キックでゴールを狙え」でした。それに対し現場のキャプテンは、トライを選んだ。その判断が歴史的な快挙につながったのです。それが現場力です。現場がジャッジしたことを優先させていく。それは私たち百貨店の現場力でもあるんです。

── 「this is japan.」は社内活動とも連動しているのですか。

  「this is japan.」は365日、私たちの行動指針になるものです。例えば、三越伊勢丹はチームごとに業務改善と共有化を行う「職場の約束運動」に長年取り組んできましたが、そういう活動一つひとつを「this is japan.」の視点から見直すということです。また、この企業メッセージを1月1日の朝刊の広告も使って初めて発信した昨年は、「this is japan.」とは何かを一人ひとりに考えてもらいたいということから、「これがわたしのthis is japan.」を社内活動として実施しました。三越伊勢丹グループで働く総勢約6万人が自分にとっての“this is japan.”を表す言葉を缶バッジにして、着用しました。

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