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ojoトップ  > 特集  > おお、紙よ!:紙の代替財を狙う電子ペーパーの野望

特集おお、紙よ!

(Wed Oct 05 10:02:00 JST 2016/2016年10・11月号 特集)

紙をテーマにしたクリエイティブをしよう

博報堂   MDビジネスインキュベーション局 梅村チーム アートディレクター   岡室 健 氏

岡室 健 氏

広告会社のアートディレクターの中で、紙メディアの可能性に積極的に取り組んでいるのが、博報堂の岡室健氏だ。岡室氏のユニークなところは、表現にとどまらず、最新のテクノロジーを積極的に取り入れ、紙の新たな使い方を広げていこうとしていることだ。そこから見えてきたメディアとしての紙の進化の方向性を聞いた。

さわれる文字が作りたかった

── 岡室さんというと、2007年にADC賞を受賞した、「なかよし幼稚園」のために作ったアルファベットと数字をモチーフにした紙風船「FEEL TYPE」のイメージが強いのですが。

  僕が博報堂に入社したのは2006年ですから、入社してすぐの頃ですね。もともと文字というか、タイポグラフィーと紙が好きだったんです。文字というと平面に書いたり、印刷されたものが当たり前ですが、文字がさわれたり、世の中に流通するような形にするとどうなるだろうというのが、最初の発想です。それを紙風船にするというのは後から思いついたことです。

── 「さわれる文字」というのが最初の発想だった?

  子どもって、モノをさわることで学んだり、覚えたりする。何かを学ぶ時や想像する時にいちばん大切なのは、それに対して興味を抱くことだと僕は考えていて、そういうものが作れないかと思っていたんです。

── きっかけは何だったのですか。

  実は、大学院の修了制作のときに研究していたものなのです。会社に入ってから、これは“世の中化”させたほうがいいと思って、自分で幼稚園に話しに行ったんです。

── 個人的に売り込みに行った、ということですか。

  そうです。自分の母校というか、母園ですね(笑)、「これで授業やりませんか」と。

── それにしても、なぜ紙風船だったのですか。

  紙風船は破れる。そこがすごくいいと思ったんです。「モノは壊れるものなんだ」と知ることは、子どもにとって大切なんじゃないか。紙風船は破けるものなんだとわかれば、扱いも丁寧になる。一つ一つの風船を大事に使い始めたり、友達に渡したり、しまったりするようになると思ったんですね。

幼稚園の学習遊具/紙風船「FEEL TYPE」(なかよし幼稚園/千葉市美浜区)

第二フェーズに入った紙

── 最近、紙をテーマにした作品展に積極的に取り組んでいるのは、そうした理由からだったんですね。

  いろいろなことが動き出したきっかけは、2014年に神保町にある竹尾見本帖本店で開催した「紙とテクノロジー 折り紙の呼吸展」からですね。「折り紙」の技術が、最近は数学や工学、医学の分野でも盛んに応用されている。紙の専門商社の竹尾さんがその展示会をするというので、そのアートディレクションを竹尾さんから依頼されたのです。
  実は、「折り紙の呼吸展」の話がある前から、東大の舘知宏先生(東京大学大学院総合文化研究科助教)の考えた折り紙を個人的に研究していて、紙を細かく折り込むと伸びるようになるんじゃないかと考えていたのです。そうしたら竹尾さんのほうから、逆に「実は舘さんたちの展示が1か月後にあるので、ディレクションをやってもらえませんか」という申し出があったのです。
  それがきっかけで、舘先生とも知り合うことができたばかりか、その展示に来ていた「AgIC(エージック)」の杉本雅明さんとも知り合えた。AgICは、電気を通す「銀ナノインク」をインクジェット印刷することで電子回路を製作する技術を持っているベンチャー企業です。それが、2015年6月の「光る紙の照明poster展」や今年7月の「光れ!紙 銀ナノinkと紙のミライ展」につながっていったということですね。

「紙とテクノロジー 折り紙の呼吸展」 ポスター

今年7月に開催された「光れ!紙 銀ナノinkと紙のミライ展」

── 「折り紙の呼吸展」後の対談で、岡室さんは「折り紙は第二フェーズに入った」と言っていますが、どういうことですか。

  日本折紙学会という学会があるのですが、完全に工学系の学会です。会長の三浦公亮先生が考えたミウラ折りは人工衛星のパネルの展開方法として有名ですが、舘先生は、そのミウラ折りをはじめとする折り紙研究の第一人者です。舘先生は、3次元の作りたい立体形を入力すると2次元の折り目つきの展開図を自動作成する「オリガマイザー」というソフトも作っています。それから医療分野にも使われていて、折り紙の技術で作った折りたたまれたチューブ状の医療器具を血管に挿入して、血管を広げる治療にも使われるようになっています。
  今の折り紙は、僕らが知っている、折って楽しむ折り紙と違って、折ることによって、実際に使える椅子にもなるし、家にもなる。世の中の役に立つもの、世の中を変えるものになっている。それで「折り紙は第二フェーズに入った」と言ったのです。
  それは紙にも言えることで、テクノロジーと組み合わさることで、紙は新しい可能性を持ち始めています。今まで紙が弱いとされていた熱や水に強い紙、磁石にくっつく紙もできている。物理的な特性が、今までとは違ってきているんですね。

ミウラ折り

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