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ojoトップ  > 特集  > オウンドメディアは問いかける:サイボウズが「サイボウズ式」を始めた理由

特集オウンドメディアは問いかける

(Fri Aug 05 10:01:00 JST 2016/2016年8・9月号 特集)

サイボウズが「サイボウズ式」を始めた理由

サイボウズ   ビジネスマーケティング本部 コーポレートブランディング部 サイボウズ式編集長   藤村能光 氏

藤村能光 氏

グループウェアの開発・販売・運用を行うサイボウズ。ワークスタイルの革新に取り組む会社としても知られるようになったが、その認知拡大に重要な役割を果たしてきたのが同社の運営する「サイボウズ式」だ。BtoB企業が展開するオウンドメディアの狙いを編集長の藤村能光氏に聞いた。

── サイボウズはグループウェアの開発・販売を行う会社ですね。

  サイボウズは1997年に設立された会社で、サーバーにインストールして使うグループウェアのパッケージソフトの開発・販売・運用を主な事業としてスタートしました。2011年11月からはクラウドベースでの提供も始めており、今もグループウェアが売り上げのほとんどを占めています。

── 「サイボウズ式」を立ち上げたのは翌年の2012年5月ですね。

  オウンドメディアを作ったきっかけとも関連しますが、「サイボウズ式」と社名を全面に出したネーミングにしたのはサイボウズをまったく知らない人たちに社名を知ってもらう目的がありました。それも、できればサイボウズの企業理念に共感してもらいながら知ってもらう。それが「サイボウズ式」というオウンドメディアの考えです。
  その頃の会社の状況を少し説明すると、2011年までの5年間というのはサイボウズの年間売上高が40億円ぐらいで止まっていた状態で、それまでとは違う新規顧客を獲得していかないといけないというマーケティング課題が出てきていたのです。

── 2011年頃までは、どういうマーケティング活動を行ってきたのですか。

  グループウェアを使う企業の情報システム部門向けへのBtoB中心の広告展開です。使うメディアはフェーズによって違っていますが、新聞広告やメールマガジン、それからIT関連の専門雑誌を中心に展開してきました。そのやり方が一巡して、売り上げが横ばいになってしまったのです。
  サイボウズはそれまでグループウェア市場ではナンバーワンのシェアでしたが、売り上げが止まるというのはサイボウズを知らない方に対してコミュニケーションができていないからだと考えました。新しいマーケティング・コミュニケーションのやり方を開発しないといけない時期に来ていた。それまでの主なお客様だった企業の情報システム部以外の人たちにコミュニケーションするためにどういうやり方があるか、ということで始めたのが「サイボウズ式」です。

サイボウズをコンテクストの中で知ってもらう

── 「サイボウズ式」のコンセプトはチームワークと聞いていますが。

  コミュニケーション活動の拡大を考えた結果たどり着いたのが、「製品を軸にコミュニケーションをしても、新しいお客様にたどり着くことはできない」ということでした。それまでのお客様というのは、その製品が自分のニーズにあったものなのかを技術知識をもとに判断できる人たちでした。しかしグループウェア市場も成熟市場になると、ITにあまり関心のない一般層が対象になります。一般層のお客様は「機能」より「価値」を基準に製品選択をします。そう気づいた私たちは、あえて製品の宣伝をせず、世の中のビジネスパーソンが関心を持っている話題を中心にすえたオウンドメディアを運営することを考えました。
  そこで、オウンドメディアのコンセプトも「グループウェア活用術」ではなく、「“新しい価値を生み出すチーム”のための、コラボレーションとITの情報サイト」としました。グループウェアを使うことで生み出される価値について、製品に縛られず「チームワーク」にまつわる情報を世の中の関心事と絡めて伝える。記事のテーマは、「チームワーク」と「働き方」に関するものであれば何でもよいということでスタートしたのですね。

── 最初に、社名の認知が目的とおっしゃっていましたが。

  「認知」と言っても単純にサイボウズを知ってもらえれば成功ではなくて、サイボウズという会社がどういう考えや思想をもって存在しているかという文脈(コンテクスト)を伝えることが重要だと考えたんですね。最初にも言ったように、単に社名の認知率を上げるのではなく、記事が共感をされてシェアをされていく過程を通じてサイボウズが認知されていくことを考えました。

── コーポレートサイトとの違いは?

  サイトに来ていただいた人に情報を提供するということでは同じですが、コーポレートサイトは企業概要や製品情報、IR情報、採用情報などあくまでもサイボウズが出すべき情報を出していくサイトです。「サイボウズ式」は人々の知りたい情報を出していく。そこが違いですね。

IR効果にもつながる

── これまで反響の良かった事例をいくつか紹介してもらえますか。

  まず、「サイボウズ式」をローンチしてから1年後、2013年5月の記事ですが、「少子化が止まらない理由は『オッサン』にある?」。これは弊社社長の青野慶久と男性学を研究している武蔵大学の田中俊之助教の対談です。この頃というのは、女性だけでなく男性の働き方も再考していこうという社会の機運が出てきた時期です。男性は長時間労働や残業など自分の仕事のしんどさをあまり語らない。そういうことを語ることはかっこ悪いというそれまでの考え方を改めて男性の仕事のしんどさを本音で語ってもらったのです。フェイスブックの「いいね」が6000以上、ツイッターでも同じくらいシェアされた記事です。それまでの記事は、100から200ぐらい「いいね」がつくぐらいだったのですが、「サイボウズ式」のブレークスルーにつながったコンテンツでした。
  男性のしんどさをさらに深掘りする意図で作られたのが、田中俊之助教とラジオパーソナリティーのジェーン・スーさんとの対談です。実は、先程の男性学の対談記事をジェーン・スーさんが読んでくれていて、ご自身のフェイスブックで感想を書かれていた。それで私たちのほうからジェーン・スーさんに田中先生との対談を持ちかけたんですね。

── ソーシャルメディアの反響から企画が生まれることもある?

  記事のソーシャルでの反響は全部確認をしているのですが、そこから新しい企画の種が生まれることも多いですね。それから、「子連れ出勤しています!」はローンチして2年後の記事です。「小学校に入ったばかりの子供を夏休み、家に1人で置いておくのは心許ない」という話が会社のグループウェアに上がったのです。それがきっかけで、実際に1日子連れ出勤をしてもらって、その体験レポートを載せた記事です。記事を読んだメディアの方から子連れ出勤についてサイボウズに取材依頼もありました。オウンドメディアの情報が、既存メディアのニュースになるという流れを作ることができた例です。

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