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広告リポートfrom Europe

(Mon Dec 05 10:00:00 JST 2016/2016年12月・2017年1月号 from Europe)

クリスマス広告に求める“心のハレ(晴れ)”
国友 俊   パリ駐在

  欧州でハレの日と言えば、何と言ってもクリスマス。フランスの場合、クリスマスは家族でゆっくり過ごし、お正月は友人や恋人と賑(にぎ)やかに過ごすのが定番らしい。つまり日本とは反対と言える。プレゼントを子どもや恋人だけに渡す日本と違って、欧州では大人も含め家族みんなで交換するため、一年を締めくくる最も大きな商戦と言える。

  特に百貨店同士のプロモーション合戦が見どころだ。パリでは毎年、隣同士の二大百貨店がショーウィンドーやイルミネーションで競い合う。ギャラリーラファイエットとプランタンは、それぞれのショーウィンドーをステージのようにあしらい、カラフルな人形たちを踊らせ、愉快なクリスマスを演出するため、通りすがりの人々が思わず立ち止まり “動く屋外広告”に見入ってしまう。この他、屋内に巨大クリスマスツリーを展示したり、外観に煌(きら)びやかなイルミネーションを施すなどしているため、観光客を含め誰もが一度は訪れたいスポットの一つとなっている。昨年は11月に起きたパリ同時テロの影響で、百貨店業界は例年より厳しいクリスマス商戦を迎えたが、今年は大きな売り上げ回復も期待される。

  また、英国の百貨店によるクリスマスの広告プロモーションも盛んだ。百貨店ジョン・ルイスの感動的なCMクリエイティブは、毎年のクリスマスの訪れを知らせる役目を果たすほどの影響力があり、英国で関心のない人がいないと言われるほどだ。同社のキャンペーン「Monty the Penguin(ペンギンのモンティ)」は、2015年・16年の2年連続でカンヌライオンズの部門賞を受賞し、革新的な広告展開によって過去最高の成功を収めたと言われている。

  本作品は、テレビ公開の前にソーシャルメディア上から始まり、以前からのファンやフォロワーによってシェアされ、24時間の間に690万ビューを数えた。加えてオウンドとペイドメディアを使った戦略によって最終的に3200万ビューまで達した。それに留まらず、グーグルと共同でバーチャルリアリティーを用いて店舗内に「モンティの小屋」を体験できるスペースを用意したり、子ども用のeブックをグーグルカードボードで販売した。ジョン・レノンの楽曲をカバーしたトム・オデールの挿入歌シングルは全国3位を記録。モンティのペンギン人形など関連グッズは、3日間で売り切れになるほど好評で、同社のクリスマス商戦の売り上げ全体においても前年に対して5%以上の大幅な増加に繋がったそうだ。

  幾つものメディアチャネルを用いたマーケティング戦略が、相乗効果を生み出したと言える好事例だが、その背景には毎年クリエイティビティーあふれるコンテンツ作りを継続して心掛けてきた姿勢があってこその成功と言える。同社は、クリスマス時期のクリエイティブ投資と“記憶に残るブランド形成”が最も投資収益率(ROI)が良く、長期的なプラスに繋がると考えている。多くの英消費者は、この企業姿勢にも賛同しているからこその結果と言えよう。

  欧州では英国のEU離脱や難民問題、テロリズムだけではなく、米大統領選の想定外な結果による影響など、目に見えない不安感が漂う。このような状況の中、消費者はクリスマス時期には心温まる広告で安心感に近い“心のハレ(晴れ)”を求める気持ちになっていることも付け加えたい。

国友 俊・パリ駐在

パリから車で約2時間弱、白ワインの街・シャブリを訪れました。家屋の壁は白で統一され、静かな街並みにはお土産屋もたった一軒しかありません。派手な看板や広告もなく、こんなひっそりとしたフランスの街を訪れると、非日常の中で気持ちがリセットされます。

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