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広告リポートfrom Asia

(Mon Feb 06 10:00:00 JST 2017/No.849 from Asia)

「食べる」の前にあるマーケティング
藤木康裕   バンコク駐在

  タイで生活して10か月。周囲の心配をよそに、いまだ食べ物で腹を壊していない。生ものや屋台での食事に十分注意しているということもあるのだろうが、日本と変わらず気軽に手に入るヤクルトや明治ブルガリアヨーグルトで、日々、胃腸の調子を整えているからだと密かに信じている。

  タイだけでなくアジア各国において、ナビスコやダノンなどのグローバル企業が展開する日本でもおなじみの商品は、いまや珍しいものではない。世界で普遍的な食品として受け入れられ、展開する商品がある一方、その国の事情に合わせた個性的なマーケティングを行っている事例もみられる。後者の一例を紹介したい。

  東南アジアの子どもというと、健康的で外でよく遊んでいる姿を想像する人も少なくないかもしれないが、実際はそうとも限らず、フィリピンでは子どもの運動不足が深刻だ。たとえば、学校での週平均の運動時間は、世界平均97分に対し、フィリピンでは半分以下の40分に留まる。その一方で、タブレット端末の利用時間は世界の50分に対し、フィリピンは115分。急激なデジタル機器の普及が、子どもの体を動かす時間に影響を及ぼしている可能性がある。

  そこに目を付けたのが、日本でも人気の麦芽飲料・ミロだ。スポーツをする子どもが描かれたパッケージと、子どもが好むココア味というのは日本と同じだが、そういった特徴を前面に押し出しているわけではない。商品とは直接的には関係のない「MILO Champions Band and App」というアプリとバンド(手首に装着するウェアラブル端末)をリリースしたのだ。子どもたちがデジタル機器に夢中であることを逆手に取り、それを活用することで運動の機会を増やそうという発想である。

  使い方はとてもシンプルだ。アプリに子どもの身長、体重、年齢といった情報を入力すると、それに基づき1日ごとに目標歩数や摂取カロリーなどが表示される。バンドを装着して運動すると、そのデータがアプリに蓄積される仕組みだ。目標歩数に達しないと保護者に通知されるほか、日々の献立を登録することで、不足している栄養も把握することができる。子どもにとってはゲーム感覚で体を動かすきっかけになり、親にとっては我が子の健康管理に便利なツールだ。

  このアプリの利用により、子どもの1日の歩数が4週間で41%も増加するなど、運動不足解消に目に見えた成果を上げている。また、「子どもの活発な生活を後押ししている」といったブランドイメージも強化されたほか、製品の購入検討も75%から82%に上昇しており、子どもの運動不足解消に貢献しただけではないことがわかる。もちろん、不足している栄養情報がきっかけとなり、子どもにミロを与えた親もいたことだろう。

  アプリにより現実の世界での活動が活発になる点では、「ポケモンGO」の世界的流行を思い起こさせる。ミロのアプリも、タイやオーストラリアなど他の国々へ「輸出」されており、今後の広がりが期待されている。

  バランスの取れた食事や機能性食品による健康増進はもちろん大切だが、規則正しい生活や運動習慣があってこそ、その本来の効果が発揮されるものだろう。食品を売るだけでなく、その前提となる意識も高めていくことが、今後の広告やマーケティングの役割としてより求められてくるのではないだろうか。

藤木康裕・バンコク駐在

生まれて初めて、日本国外で年末年始を過ごしました。炎天下のクリスマスツリー。紅白歌合戦のない年越し。年賀状の届かない正月。年はカレンダーとともに自然に変わりましたが、気分が変わるには、「儀式」が必要なのだと痛感しました。

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