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インタビューキーパーソン

(Mon Jun 06 12:30:00 JST 2016 /2016年6・7月号 リーディングトレンド)

今回のテーマ 「フィンテック市場」
〜個人・企業の利便性を高めるITによる“金融革命”〜

辻 庸介 氏
マネーフォワード   代表取締役社長(CEO)

辻 庸介 氏

金融とIT(情報技術)を融合して新しいサービスを提供するフィンテック市場が注目されている。今後、金融サービスはどう変わるのか。スマートフォンなどを使った自動家計簿やクラウド型会計ソフトを提供するマネーフォワード代表取締役CEOの辻庸介氏に話を聞いた。

フィンテックとは?

  「ファイナンス」と「テクノロジー」を組み合わせた造語が「フィンテック」です。金融とテクノロジーの融合が進むことで金融サービスが大きく変わります。既存のサービスから、テクノロジーが進化したサービスが次々と生まれ、ユーザーはこれまでにないメリットを享受できるようになります。
  背景には、クラウド型サービスの浸透やビッグデータの活用など、社会基盤のIT化の進展という大きな流れがあります。インターネット証券や銀行の設立が相次いだ2000年前後が「フィンテック1.0」とすると、現在、起きている動きは「フィンテック2.0」と考えています。決済、送金、仮想通貨、融資、投資、保険など金融にかかわる幅広い事業分野でフィンテックによる新たなサービスが生まれているのです。

具体的な事業内容は?

  当社を例にすると、個人向けには、自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」を展開しています。現在ユーザー数は350万人です。すでに2580社以上の金融機関に対応し、複数の口座残高を一括で管理できます。銀行やクレジットカード、電子マネーなどを登録すれば自動で家計簿や資産一覧を作成できます。レシートを撮影すると支出の内容を自動で家計簿にも反映させ、日々のお金の出し入れや資産状況を把握できるのです。ユーザーの平均年齢は30代後半で、家計簿サービスとしては比較的男性が多いのが特徴ですが、これまで自分で家計簿や資産管理をやっていた方々には、感動していただける内容です。
  ビジネス向けには、クラウド会計サービス「MFクラウド会計」を提供しています。3600社以上の金融機関のデータを取得でき、銀行やクレジットカード、タブレット型POSレジなどと連携し、取引履歴や売り上げデータが即時にクラウド会計に反映されるようになっています。今まで手入力していた情報が自動的に入力され、PCやスマートフォンのアプリでいつでもどこでも経営情報を把握できます。

技術開発の方法は?

  現在、技術の進化のスピードが速く、一社ですべての技術を開発、提供するのは非常に難しくなっています。得意分野を持つ会社同士が組んで新しいイノベーションを起こしていくことが、ユーザーの利便性につながります。当社の社員約150人のうちエンジニアが半数を占めています。当社が得意な技術を生かし、他社と一緒に新しいサービスを届けています。
  例えば、2015年8月には静岡銀行(静岡市)と資本業務提携しました。静岡銀行のお客様向けに金融機関やクレジットカードの入出金を自動で記録し、家計を管理できる専用アプリの開発やAPI連携を進めてきました。今夏をメドに、売り上げやキャッシュフローなどの会計データを利用した、新たな企業向けの融資サービスを提供予定です。これにより、今までより短い期間での融資が可能になります。

新たなサービスで注目しているのは?

  資産運用では「ロボアドバイザー」に注目しています。ファンドマネージャーなど人間が担ってきた業務を、ロボアドバイザーが与えられた情報をもとに独自の計算手法で実行することでコストを抑えます。これまでグローバル分散投資による資産運用は、一部の機関投資家や富裕層に限られていましたが、個人でも少額でも利用しやすくなります。
  マクロ的にみても、今後、少子高齢化で高い経済成長率が見込めない日本では、1700兆円の個人金融資産をどのように保全し活用していくかは、国のテーマです。そういう意味で、円安やインフレといった外部環境の変化に応じて個人が資産を保全する手段を持つことが大切です。成長が期待できる国や企業に投資することで世界経済の成長を期待できるでしょう。
  本当にユーザーに使われるサービスを作ることができれば、従来よりもはるかに安いマーケティングコストで広く伝わります。フィンテックに取り組む企業の役割はユーザーに驚きと感動を与え、メリットのあるサービスを生み出し続けることだと思います。

「お金」の概念が変わる?

  通貨は国が信用供与するもので、モノやサービスの交換手段として一番便利でした。現在、インターネット上で流通する仮想通貨ビットコインなどが出現し、広がっているように、金融とITの領域がどんどん重なっていき、今後も従来の通貨以外にいろいろな交換の手段が出てくるでしょう。
  インターネットを通じて、個人の信用が「見える化」され、シェアリングエコノミーが浸透して、所有から共有への流れが大きく進むと、お金に対する価値観が変わってきます。
  さらに言えば、お金以外の価値媒介ツールを作り、普及させることによって、お金に縛られないビジネスや社会貢献活動に取り組むことも可能になります。フィンテックは社会を大きく変える可能性を大いに秘めているのです。

つじ・ようすけ

2001年京都大学農学部卒業、2011年ペンシルバニア大学ウォートン校MBA修了。ソニー、マネックス証券を経て、2012年マネーフォワード(本社・東京都港区)設立。2014年1月ケネディ米大使より「将来を担う起業家」として米国大使館賞受賞。同年2月ジャパンベンチャーアワード2014にて「起業を目指す者の模範」としてJVA審査委員長賞受賞。

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