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インタビュー企画の仕掛け人

(Fri Jun 05 10:00:00 JST 2015/2015年6・7月号 新企画は現場に聞け)

熱を加えると変化する新聞広告で地球温暖化にともなう海面上昇を実感
示温インクを使った新聞広告   電通関西支社新聞・総合メディア局新聞中央部   伊藤 翔 氏   同CRプランニング局第3CDグループ コピーライター/CMプランナー   松下康祐 氏   同CRプランニング局第3CDグループ アートディレクター   井上信也 氏   読売新聞大阪本社広告局広告第一部   末澤啓三 氏

谷山氏、佐々木氏、箭内氏

右から伊藤氏、松下氏、井上氏、末澤氏

紙面をドライヤーや携帯カイロなどで温めると、熱で地図に描かれた地形が変化し、地球温暖化にともなう海面上昇をシミュレーションできる。京都議定書採択から17年を迎えた2014年12月11日、温度で色が変わるインクを使用した新聞広告が首都圏で別刷りとして発行された。企画は「面白い新聞広告を作りたい」という担当者の声からスタートして実現した。携わった4人に話を聞いた。

〔Before〕

〔After〕
2014年12月11日 朝刊別刷り
新聞をドライヤーの温風などで33度以上に温めると陸地の一部が消える

──今回の企画が生まれたきっかけを教えてください。

伊藤   読売新聞創刊140周年に向けて、昨年4月から「今までにないインパクトのある面白い新聞広告を作りましょう」と、末澤さんらと素案を出し合いました。夏前に紙やインクで工夫しようという方向性を固め、温度で変化する「示温インク」の使用を決めました。

──地球温暖化問題」をテーマにしたのは?

松下   僕は新聞広告、CM、交通広告やイベントの企画など作ることをコアにした仕事をしています。新聞で示温インクを使うのはとても珍しいことなのだけれども、示温インク自体は珍しいものではない。新聞で示温インクを使うことのすごさを読者にどう伝えるかに集中しました。  
  温度変化でデザインが変わり、新聞を手に取る読者の方にインパクトを与えることができる企画のテーマと考えた時、環境問題、中でも地球温暖化による影響は読売新聞の読者には納得感があるのではないかという結論に達しました。

──紙面のデザイン面での苦労は?

井上   主に紙媒体、グラフィックをベースに作る仕事をしていますが、今回のデザインは、地球温暖化による海面上昇、地形が変化することを、示温インクを使って最大限にどう見せるかがポイントでした。示温インクは前例のない試みだったので、ドライヤーを当てると本当に消えて見えるのかの検証を重ねました。普通のインクとの継ぎ目を分からないようにするため、印刷会社の協力も得て整合して仕上げました。
  海面が何メートル上昇するとどのくらい陸地が減るという設定で、地図はどの縮尺がわかりやすいかを考え、富士山などシンボリックなものを描きながら、東京湾といった東京23区の人に危機感を持って見てもらえるようにしました。

赤色部分が消える陸地

──企画段階で想定した広告主は?

末澤   環境問題というテーマの特性と12月11日の掲載日から、特に環境へ配慮した商品を扱う企業を中心に、提案先を考えました。

伊藤   環境問題との親和性から、CSRに重点を置いている企業を意識しました。当初のセールスでは、ラフ原稿(見本)がなく、「着眼点は面白い」という共感は得られるものの、なかなか決まりませんでした。

末澤   ラフ原稿ができると、ドライヤーや携帯カイロを持って、提案先の企業で実演しました。担当者の方は、紙面が変化するのを見て、企画の趣旨やインクの仕組みを理解してもらえましたが、なかなか成立には至りませんでした。

松下   環境問題の性格上、今回の企画は読売新聞がメッセージを発信し、趣旨に賛同してスポンサーになっていただきたいと考えたため、その点からもセールスが難しかったと思います。

──反響をどうみますか。

伊藤   広告主のパナソニックの担当者の方からは、「変化のインパクトがあるので面白い、いい企画だった」と言ってもらいました。

松下   アジアパシフィック広告祭のリストの作品にも選ばれ、海外でも画期的な取り組みだと認められてうれしかったです。企画の大きな可能性を感じました。

井上   視覚的に変化する現物の強さを実感し、手ごたえがありました。

──企画に携わった感想は?

松下   モノを作る会社としての新聞社はすごい、新聞の持つ媒体力はすごいと思いました。「それってインターネットでできる」と言われがちですが、実際にモノを手元に届けるというのは、全く違いました。また新聞広告が力を発揮する突破口になるようなお手伝いをしたいです。

井上   読売新聞と一緒に、練り上げて作る作業は、貴重な経験ですごく楽しかったです。新聞は手にとって見える、いろいろなことをじかに体験できるメディアなので、これからも僕らとしても面白い提案ができればと思います。

伊藤   社内外の交渉を乗り越えて作ることができました。とてもいいチームだったと思います。年に一回は、新聞広告で面白い企画を実現させたいですね。

末澤   次は冷やすと変化するインクを活用するなど、新しい企画にチャレンジしていきたいと考えています。新聞以外の媒体を経験されている方からもアイデアをいただいて商品化を目指したいですね。そして、新聞広告の可能性を多くの人に知っていただければと思います。

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