Fashion Insight 2008.3/vol.10-No.12

今年も海外ラグジュアリー・ブランドの出店が続く銀座

 前回のこのコラムで紹介した「アルマーニ/銀座タワー」に続き昨年の11月30日には「ブルガリ銀座タワー」がオープンした。同社のショップの中では世界一の売り場面積を誇るアイコン的な旗艦店である。ミラノの「ブルガリホテル」を思わせる落ち着いたインテリア、その空間でショッピングを楽しんだあとはコンテンポラリーなイタリア料理も味わえるレストランやバーも備えている。
 また中央通りを挟み「ブルガリ銀座タワー」の正面に位置する「カルティエ銀座ブティック」は「ブルガリ銀座タワー」オープンの約10日前にリニューアルオープン。そのゴールドに包まれたブティックの外壁はまるで生きているかのような存在感がある。マロニエ通りを「ブルガリ銀座タワー」と挟む「松屋銀座」はビルごと「ルイ・ヴィトン」のモノグラム模様、そしてシャネルの銀座ビル──まさにこの一角は海外ラグジュアリー・ブランドの競演の場と化している。
 昨年銀座に出店した海外ラグジュアリー・ブランドは「ジョルジオ・アルマーニ」「ブルガリ」のほかにスイスの高級時計メーカーを多く抱える「スウォッチグループ」「ボッテガ・ヴェネタ」そして「アルフレッド・ダンヒル」など。
 夜、銀座を歩いてみれば一目瞭然だが、海外ブランドショップのイルミネーションによる光の洪水で、一昔前の銀座とはまったく異なる様相を見せている。
 勿論海外にもパリのサントノーレやミラノのモンテナポレオーネ、ニューヨークのマディソンアヴェニューなど、ブランドストリートはある。しかし、銀座と海外との違いは、その規模の大きさだ。海外は一本の通りに沿って展開しているが、銀座の場合はそれがいくつもの通りに展開している。



 海外ブランドをはじめて日本に紹介したブランドビジネスの草分けでもある「サンモトヤマ」の茂登山長一郎会長は、著書「江戸っ子長さん舶来屋一代記」(集英社新書)の中で、ブランドショップが建ち並ぶ通りに共通するのは、その道幅、道の両側の一段高い歩道、そしてパレス(宮殿)の近くというロケーションと述べている。そういえばロンドンのボンドストリートもサントノーレもモンテナポレオーネも同じ位の道幅だ。つまり買い物客は車のことを気にすることなく、ウインドーショッピングができるようになっている。また適度な道幅(7.5メートル位か?)だと、反対側に行こうと思えば車の来ない時に、サッと渡れるという。
 茂登山さんは、自分の店を開く時、その条件を満たす場所として「ここしかない」と銀座の並木通りに決めたのだと書いている。
 確かに並木通りは、パリやミラノのブランドが連なる前記の通りとよく似ている。道幅も、雰囲気も。
 茂登山さんの次に並木通りに出店したのは「ルイ・ヴィトン」。それからあれよあれよという間に、多くの海外ブランドが並木通りに出店し、並木通りは、世界にも引けをとらないブランド通りになったのだ。
 しかしここ数年の銀座は、さらに大きな売り場を確保するためか、それともブランドの威容を誇示するためか、銀座中央通りや晴海通りというバスまで通る道幅を持った通りに面しての出店が多い。中央通りに出店している店に海外ブランドの占める割合はすでに50%を超しているという。コレはどういうことだろう。
 銀座はもう単に東京の銀座ではなく、アジアの銀座、世界の銀座として、大きな市場になりつつある中国や東南アジアの顧客のための旗艦店としての役目を担っているということではないだろうか。
 そう言えば、最近銀座にはアジア系の観光客が多い。それもラグジュアリー系の店で特に目につく。イタリアの「ジャンフランコ・フェレ」がオープンしたマロニエ通りの「デビアス銀座ビル」は、3月にはジュエラーの「デビアス」がオープンする。それと時をおかずカットクリスタルの世界的トップブランド「スワロフスキー」の旗艦店が銀座八丁目にオープン。秋にはカジュアル・ラグジュアリーと銘打ち、若者に圧倒的人気を誇る「アバクロンビー&フィッチ」や「H&M」も銀座に進出してくるという。
 海外ブランドによる銀座の陣取り合戦はまだまだ終わりそうにない。

*サンモトヤマ会長である茂登山長一郎氏は第49回FEC特別賞を受賞している。

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