特集 2006.6/vol.9-No.3

クロスメディアの効果を測る
新聞広告のクチコミ効果を視覚化する

B'zの新聞広告

――実は、今回の取材のきっかけは、「ブログクチコミサーチ」で、読売新聞に出稿されたビーズ(B'z)のニューアルバムの反響をみたことです。発売約1か月前の昨年10月28日に30段のスペースで掲載されていますが、「BZ」という言葉で検索してみると、グラフが掲載日の10月28日に大きく跳ね上がっていて、ブログでも話題になっています。

2005年10月28日 朝刊


 イナバ物置、松本引越センターというのは?

――メンバーの稲葉浩志、松本孝弘両氏の名前に引っかけたパロディーです。イナバ物置の社長はご本人ですが、後ろの99人は全員稲葉浩志ですし、松本引越センターは運転手が松本孝弘になっている。ただ、関連語を見ると、掲載日当日に「イナバ物置」「松本引越センター」は上位に出てこないで、翌日に出てきます。

読売新聞に出稿されたB'zの反響を検索
読売新聞に出稿されたB'zの反響を検索
キーワード2「読売新聞」の関連語
キーワード2「読売新聞」の関連語
各キーワードをクリックするとブログの引用が表示される
各キーワードをクリックするとブログの引用が表示される


田中 多分、B'zファンはニューアルバムのリリースは当然前から知っていたはずですから、新聞広告が出た日は、それに刺激されて「発売」の方が話題になったということは考えられますね。もちろん、新聞広告そのものを話題にした人もいたと思いますが。

――発売の話題が一段落して、翌日、新聞広告の話題が1番になったということでしょうか。

田中 そういう時は、キーワード1に「BZ」、キーワード2に「読売新聞」を入れて検索してみるとわかると思います。

――確かに両者とも、28日がピークになっていますね。このキーワード1、2のデータに関連性はあるのですか?

田中 データベースからキーワードの件数を持ってきているだけですから、直接の関連性はありませんが、関連語を見ることによって2つのデータが同じ要因で動いているかは、ある程度判断できます。やはり、同じように推移しているグラフは、何らかの関連がある場合が多いですね。キーワード2の「読売新聞」の関連語ランクを見ると、28日に「広告」「イナバ物置」という言葉が上位に出てきています。関連語をクリックすれば、実際のブログの引用「ブログPick―up」が見られますが、これを見ても、28日の読売新聞の増加は「B'z」の新聞広告が要因だと言えますね。

――ブログを読むと、若い人の書き込みが多いし、友達からのメールや朝のワイドショーで広告が出ているのを知って読売新聞を買いに行った人も結構いますね。この広告がどのように話題になったのかもわかる。実は、われわれが関心を持ったのも、その点です。これまで新聞広告の効果はリーチや認知率で語られてきて、クチコミ効果については推測の域を出ませんでした。主だったコミュニティーサイトの過去ログを分析する調査サービスも始まっているようですが、汎用性のあるクチコミ調査はありませんでした。「ブログクチコミサーチ」は、広告やキャンペーンのクチコミ効果を目に見える形で示せる手段になるのではないか、と思ったのですが。

 確かに、いろいろな会社が同じようなサービスをやり始めていると思いますね。企業や新商品がネット上でどう評価されているかというレポーティングサービスは、すでに行われています。
 ただ、我々のところのように、ブログで話題になっていることを品詞にまで分析して、量と質の推移を解析し、しかも利用者が手軽に、そしてリアルタイムに、任意の言葉についてのクチコミを確認できるようなツールを提供しているところはないと思います。

チロルチョコ「サンバでチャチャチャ」の場合
 和田ラヂヲさんの力の抜けるイラスト。左からサタデーナイトミント、ロイヤルミルク帝、緑王。3人そろって、「三葉で茶・茶・茶!」。「チロルチョコ」で検索した結果は、同時期に発売された「チロルチョコパン」に押され気味だが、話題のピークは新聞掲載日と一致。


環境省「クールビズ」の場合
 ノーネクタイの「クールビズ」を訴えた広告は、2005年6月1日に全国の新聞を使って掲載された。日単位でこの時のブログの「クールビズ」の登場回数を見ると、掲載日当日がピークになっていることがわかる。下は月単位で「クールビズ」の登場回数を見たもの。8月から「ウォームビズ」が関連語のトップに登場している。
2005年6月1日 朝刊
日単位
月単位


クロスメディアの効果測定に

――「ブログクチコミサーチ」の活用の仕方ですが、開発側としてはどう考えていますか。

 基本的には、我々は各専門分野の人が必要とするデータを提供しましょう、というスタンスです。ですから、6月からの有料化(1アカウント月額49,800円)でも、データのダウンロードができるようにしました。どうぞレポーティングなどの付加価値をつけて、御社のサービスのデータソースとして加工してご活用ください、ということです。
 また、「ブログクチコミサーチ」の活用ということでいえば、先ほどの「B'z」のように広告キャンペーンの検証にもぜひ使っていただきたいですし、プランニングの参考データとしても有効だと考えています。
 例えば、バレンタインのチョコレートですが、ブログを見ていると、意外と早い時期、1月からデパ地下のチョコが話題になっています。逆に、コンビニのチョコは直前に跳ねる。

――義理チョコですか(笑)。

 確かに、コンビニのチョコは義理チョコと一緒に語られることが多いですね。こういう動きは、キャンペーンのタイミングを考える上でも参考になると思います。
 旅行もそうですね。ゴールデンウイークや夏休み、正月の家族旅行の話をいつごろしているかも見えてくる。
 それから、あまりありがたくない事例ですが、他社の不祥事に対するネットの反応もリアルにわかります。さまざまな他社の事例への反応をその都度チェックしておくことで、どういう不祥事や事後対応にどんな反応があるのか、感覚がつかめてくる、そういう使い方もできると思います。

――キャンペーンのやり方にも影響が出てきそうですね。

 昨年の夏、大塚製薬がポカリスエット・スカイメッセージキャンペーンをやりましたね。飛行機雲で1文字400メートルの「POCARI SWEAT」の文字を空に描くキャンペーンで、ブログでもかなり話題になった企画です。各地で行われましたが、実際にやれる回数は限られています。実は、それを見た人たちが携帯で写真を撮って、自分のブログに書くことによって話題が広がった。ブログ時代ならではのキャンペーンだったと思いますね。企画側も、それを意図的に狙ったのでしょうが、「ブログクチコミサーチ」を活用することで、そうしたキャンペーンの効果を客観的に示すことが可能になってくると思います。


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消費行動とメディアの多様化に対応した広告効果調査とは何か
早稲田大学商学部教授 嶋村和恵氏→


生活者から見たクロスメディア効果を調査する
読売新聞東京本社広告局マーケティング部→
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