 |
 |
 |
野村プリンシパル・ファイナンスの支援で再スタートしたハウステンボス(長崎県佐世保市)は、2004年4月から読売新聞朝刊テレビ面に、「HUIS
TEN BOSCH 変身中。」という小さな広告をスタートさせた。1年を通して毎日コピーを変えて掲載された広告のねらいや苦労について、制作に携わった電通の3人のクリエイターに聞いた。
――毎日コピーを変えようという発想はどこから出てきたのですか。
岡村 日々ニュースを伝えることで、「ハウステンボスは元気にやっている」ことを伝えたかったことが、まずあります。一昨年に事実上倒産して、東京や大阪ではハウステンボスが営業しているかさえ定かではなかった。しかし、実際に現地へ行ってみると、街並みやアミューズメント施設は本物志向で作られていますし、4つあるホテルもホスピタリティーがしっかりしている。これはイメージを変えないと、もったいないと思いました。去年の2月に初めてハウステンボスを訪ねて打ち合わせをしたのですが、先方からも「1年かけてイメージを変えていきたい」という要望がありました。
小スペースを活用
――テレビ面の小さなスペースを使おうと思ったのは。
岡村 ターゲットがOLや主婦、旅行好きな高齢者の方たちということがあります。男性は新聞を一面から読む人が多いですが、女性はテレビ面から読み始めることが多いですから。実は、社内で担当の営業と打ち合わせをしている時に、たまたまスポーツ新聞が置いてあったんです。そこに載っている雑報広告を見て、「こういうスペースで、1年間毎日コピーを変えて掲載できないか」と思って新聞担当に問い合わせをしたら、その日すぐに「読売新聞で出来るかもしれない」と返事があったんです。
こういう企画は、クリエイターにとって一番やりがいのある広告ですが、毎日伝えるべき情報があるか、広告スペースが実際に確保できるかという問題があり、めったに実現できない企画なんですね。
――実際に書く側としては1年間毎日コピーを書くというのはどうなのでしょう。
小林 ビジュアルがなく、コピーだけの広告はコピーライター冥利(みょうり)につきますね。岡村から話を聞いた時はワクワクしました。ただ、楽しいだけで行けたのは、最初の一か月ぐらいでしたが(笑)。
――かなりの本数を書いた。
小林 先方からおおまかな題材をもらってコピーを書き、20日分まとめてチェックしてもらっていましたが、捨てたコピーを含めれば、かなりの数になります。ただ、実際に提出した本数はそれほど多くないですね。ぼくの場合は、コピーはデスクで何時間か集中して作業します。打ち合わせを入れれば、20日分を上げるのに期間は1週間くらいかかりました。
河野 入社2年目だったぼくは経験が浅いので、とにかく数は多く書きました。移動中に思いついたら、携帯電話にメモしていました。
――1年間、コピーのトーンをそろえるのも、大変ではなかったですか。
岡村 エンターテインメントの広告なので、読む人に対するサービス精神を発揮し続けることが大事です。その点には気を使いました。
テレビ面ならではの距離感
――1年間書き続けて、新聞広告に対するイメージは変わりましたか。
小林 雑誌広告だと大きなキャンペーンと連動したものが多いのですが、新聞の場合は独自の企画を作れるのが面白い。1年間、毎日コピーを書くという経験はこの先ないかもしれませんね。
河野 テレビや雑誌では、広告の内容を毎日変えるのは不可能ですが、新聞は自由度が高い。しかも、みんなに見てもらえるメディアです。書くときも、だれにもわかるコピーを意識しました。
岡村 毎日、膨大な数の人が新聞を見ています。今回の広告の面白さは、そういう新聞と読者との距離感だと思うのです。「何か面白い番組はないかな」とテレビ面を見た時にハウステンボスの広告が目に留まる。題字横ではダメ。新聞のテレビ面だから出来た企画だと思うんです。斬新なコピーが受け入れられにくくなっている時代ですが、事実を伝えるという面ではコピーの力は生きていると思います。
つい最近のことですが、私の習っているお茶の先生が、私がハウステンボスの広告をつくっていることを知らずに、「今度行って来る」と言っていた。そういうのを聞くと、うれしくなりますね。
|
|
 |
|