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忙しい現代。人々はさまざまなメディアに囲まれて、情報を取捨選択しながら日々の生活を送っている。その中で本が読まれなくなったといわれる。その理由を「時間がない」「本以外でも知識や情報が得られる」という人がいる。では、本を読む人と読まない人ではメディアへの接触状況は違うのだろうか。今回は読売新聞の世論調査と一般個人調査から、本を読む人、読まない人のメディアへの接触状況を見ていく。
*表はエクセルデータでご覧になれます。
2003年「読書に関する世論調査」
調査期間
10月18日(土)・19日(日)
調査地域
全国
調査対象
有権者
サンプル数
3,000
サンプリング
層化二段無作為抽出法
調査方法
個別訪問面接聴取法
有効回収数(率)
1,869(62.3 %)
調査企画・設計
読売新聞社
本を読まない理由の第一位は「時間がない」
昨年10月に読売新聞社が実施した読書に関する世論調査では、この1か月間に本を読まなかった人にその理由を聞いている
(図1)
。最も大きな理由は「時間がなかったから」の50.3%、次いで「読みたい本がなかったから」18.3%、「本以外で知識や情報が得られるから」16.0%となっている。特に、「時間がなかったから」は第二位の「読みたい本がなかったから」を大きく引き離している。性年代別にみると、男性30代・女性30〜50代の「時間がなかったから」が60%を超えている。職種別に見ると、給与所得者が63.6%とその他の職種に比べ目立って高い。また、男女とも60代以上では、「健康上の理由で読めないから」と答えている人が多く、他の年代とは別の読まない理由が見られた。
*表はエクセルデータでご覧になれます。
読書家の平均閲読冊数に変化なし
次に、広告局が実施した一般個人調査で「過去3か月間に読んだ書籍の冊数」を聞いているが、2001年からの経年変化で見ると、本を読まない人の割合は年々増えている
(図2)
。男女別に見ると、男性の方が読んでいない人の割合が高く、2001年から2003年にかけて女性(+3.9ポイント)の約2倍(+7.6ポイント)と急激に増えている。特に男性20代と30代の「本を読んでいない人」の割合が高く、2003年には40%を超え、その増加率は10ポイント前後に達する。
また、平均閲読冊数の推移を、調査対象者全体で見ると、わずかながら平均閲読冊数は減っている
(図3)
。ただこの平均閲読冊数は、過去3か月間に全く本を読まない人も含まれる。過去3か月間に本を読んだことがある人に限定して平均閲読冊数を見ると、あまり変化はない。
読書家は新聞・インターネットとの接触時間も長い
それでは、本を読む人を見てみよう。本を読まない理由は図1でみた。では、本を読む人のメディア接触状況はどうだろう。図4は、1日あたりの新聞・テレビ・インターネットへの接触状況とそれぞれのメディアに接触する人の過去3か月間の平均閲読冊数を「調査対象者全体(N=3025)」と「読んだ人(n=1914)」とに分けて表したものである。
新聞閲読・インターネット利用ともに時間単位が増えるごとに「読んだ人」の平均閲読冊数は増えている。一方、テレビの場合はその逆で、7時間以上という別格の人を除けば、視聴時間単位が増えるごとに平均閲読冊数は一貫して減っている。この両者による傾向の差は「調査対象者全体」で見た場合も変わらない。ただし、テレビ視聴時間の「7時間以上」で平均閲読冊数が高くなっているが、これは図4の
(注)
のように、本を読む人の36.4%を50代以上の余暇時間がたっぷりある人が占め、けん引役となっているからと言える。
*表はエクセルデータでご覧になれます。
他メディア接触者に比べて新聞閲読者の読書量は多い
次に、3つのメディアとの接触程度から本を読む人の特徴を見てみよう。
図5の3つの円は、過去3か月間に本を読んだ人の中で、それぞれ関与程度が高いと思われる「1日に新聞を40分以上読んでいる人」「1日にTVを4時間以上視聴している人」「1日にインターネットを2時間以上利用している人」を表したものである。そのそれぞれの重なっている部分は、その属する部分をともに満たしているということになる。円の大きさはn数の大小を表している。
この図からは、図3で表した「過去3か月に1冊以上本を読んだ人」の平均閲読冊数が4.2冊であるのに対して、「新聞閲読者」と「インターネット利用者(メールのみ利用は除く)」はそれより高く、「テレビ視聴者」は低いことが分かる。また、各メディアが重なっている部分は「新聞」と「インターネット」単独部分より低く、「テレビ」単独より高い。つまり、平均閲読冊数は、「新聞」>「インターネット」>「二者のメディアの重なり部分」>「全体」>「テレビ」という構図を示している。
*表はエクセルデータでご覧になれます。
読書家は情報感度が高い
以上から、「新聞」「インターネット」を閲読・利用している人は、図1の読書をしない理由のトップである「時間がない」はずにもかかわらず、読書冊数は多い。つまり、情報感度の高い人ほどよく本を読んでいる、と言えるのではないだろうか。
また、3つの円の重なり部分がもっとも少ない3.3冊であるのは、1日に3つのメディアを一定の時間、閲読・視聴・利用している人は、絶対的な読書量が限られると推測できる。
表1 児童書の購入経験
表2 ふだんマンガを読むか
*表はエクセルデータでご覧になれます。
表1・2は、一般個人調査からわかる無読層の読書に関する諸行動である。これらのデータによると、読書をしない人でも子供のために児童書を購入したり、マンガやコミックスは読んでいる。
また、「2003出版指標年報」(全国出版協会・出版科学研究所)によると、2002年の出版業界では、空前の分冊百科創刊ラッシュ、コミックス売り上げ三年連続増、児童書市場前年比120%など、さまざまな動きが見られた。
また、「朝の読書運動」や「こども読書週間」などへの参加と具体的な行動も挙げられる。
読書や活字文化に対する危機感から様々な対策が講じられているが、これらが地道に続けられることによって、読書人口全体の底上げが期待できるのではなかろうか。
(橋本)
2003年一般個人調査 調査概要
調査期間
6月28日(土)〜7月15日(火)
調査地域
東京40km圏
調査対象
15〜69歳の男女個人
サンプル数
4,200
サンプリング
住民基本台帳を基にした二段階無作為抽出
調査方法
訪問留め置き法
有効回収数(率)
3,025(72.0%)
調査企画・設計
読売新聞東京本社広告局
実査・レターヘッド
(株)ビデオリサーチ
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