こちら宣伝倶楽部 2002.5/vol.5-No.2

クリエイティブの確認視点18項
イラスト  前号で「クリエイティブ」にもマーケティングがある。広告にとどまらず表現は企業の「文化」であり、「美学」であり「知」を結集させたものであると述べてきた。「売るモノ」を持ち「広告」などコミュニケーション活動に力をいれているなら、そのことをもう一度考えてみてほしい。今回はその続きで、広告のクリエイティブ(以下CR)について再考する議論のきっかけを列記してみた。18項目ある。

[1] 「まずテレビ」という発想の慢性化
 広告の計画を立てるとき、何より最初にテレビとどうつきあうか、どのようにそれで対応するかの議論と安定を急ぐ風土。思いきってここから改めるための社内議論を急いでほしい。多くの勘違いと基本軸の狂いはここにないのか。

[2] 自社のデザイン・CRに誇りと自信があるか
 その社のCRの完成度は、これまでにいかに波にもまれ、風雪に耐えてきたかの歴史であり磨きをかけ修正を加えてきた試行錯誤の積み重ねである。たくさんのOK、たくさんの納得の継承でもある。まずそれに誇りをもつこと。その基本のモトを大切にしているだろうか。

[3] 表面処理の議論に終始していないか
 本来は奥深いものであるはずのCRや企業の文化、美学のことをさておいて、個人的な印象や思いつきを公の場で発言しすぎ、結局は表面処理、その場しのぎの議論が安易な結着を導いていないだろうか。プロはプロらしい毅然とした判断と発言をして、責任ある遂行をすること。

[4] CRで業界と業種をリードしているか
 その業界を代表し、影響を与えて常識にしていくようなCRのパターンや理念を持つ社が、しっかりした業界には業種ごとに必ずある。そしてその中でも抜きん出た社は、日本の広告やCRを刺激し影響を与えるケースがある。積極的なCRで全体をゆさぶる野望をもとう。

[5] 肝心の商品に「国際競争力」があるか
 広告はテクニックでごまかそうとすれば罪悪になる。主役はあくまでも商品(サービス)、その商品が洗練されているか、磨きがかかっているか。ピカピカに輝いているか。わざわざ広告する値うちがあるか。世界中どこへ出て、どこの広告に出ても胸をはれるか。

[6] CRが特定部門だけの仕事化していないか
 技術としてのCRは技術のプロがより集まって完成させればよい。しかし一段上の企業文化にかかわるCRは技術だけで終始し、広告会社やプロダクションのおもちゃにされては困る。あつい思いが伝わるように、トップの息がかかるように、窓口部門は上手にシステム化しよう。

[7] CRの外部依存度が高くなりすぎていないか
 少人数体制は効率のイロハだ。かといってめしのコメもデザートのクリームも、レシピから盛りつけまで外部まかせは、仕事でなく作業の処し方だ。夫婦の寝室まで土足であがらせるようなCRがあたり前になっていないか。

[8] CRがいつもどたん場仕事になっていないか
 本来CRには金でなく、たっぷりの時間をかけるべきもの。市場や顧客はCRからその企業やブランドに近づいてくる。商品(サービス)の決定、販売計画の確認、市場調査の読みこみのおくれなど、恒常的にCRがどたん場のやっつけになり、戻れない車に乗っていないか。

[9] CRのためのメディアの使いわけ使いこなし
 メディアの特性が時代や環境にあわせて激変してきている。古い常識や現場へ自ら出むいての検証なしで、安易なメディア配分の設計をしていないか。ワンパターンの単純転用で日程の消化だけが仕事になっていないか。メディアの強み、弱み、特性、効用の再研究を急ごう。

[10] タレントだのみ神話に溺れていないか
 タレント不可欠はテレビ型の金食い発想、商品(サービス)が脇役になり、CRは二流になり、説得するものが分散してしまう。思いきってタレントを切る、コミュニケーションの手法に知恵をしぼると、CRが本格化していく。

[11] 広告で「会社のこと」が伝わっているか
 広告は商品(サービス)やキャンペーン別になる場合が多い。それが変わればCRも変わり得る。使い捨ての広告やCRでは会社(企業)のこと、ブランドの持つ世界や美意識はなかなか伝わらない。しかし市場や顧客はその商品を提供する企業のことを知りたがっている。

[12] 仲間うち、同じ顔ぶれ仕事が続いていないか
 息のあった者での仕事はテキパキとはかどって無駄がない。仕事はわかりあってる者だけでやるのが一番と誰もが思う。しかしそのことが固有の掟や常識と障壁(バリアー)をつくることは確かだ。個が変わらねば組を変えること。

[13] 各部がブランドの恩恵うけて貢献しているか
 いくつかの事業部がある。それらの各部はそのもとになるブランドの恩恵をしっかり受けているか。その事業部のコミュニケーションやCRが、別の事業部にプラスになっているか。独立した各々の事業部は「自分本位」でなく「仲間(同志)のため」を忘れてしまっていないか。

[14] CRのコストをけちっていないか
 大衆食堂には大衆食堂のメニューしかなく、そば屋にフランス料理をオーダーしても待つだけ無駄だ。CRに期待をかけるならそれなりのコストを計上し、感受性の判断軸の洗練にも努力をすること。引き算した残りでなく、はじめにドンと計上してあとを足し算にしていくこと。

[15] 「サービス」にもデザイン・CRがある
 サービスは奥深いし幅もひろい。サービスが本来の主役たる商品より、顧客にとって大事な場合も多い。何がサービスか、どこが新しいか、どれがオリジナルか。サービスの設計、サービスのCRが、もう一段上のCRを築いていく。

[16] 定期的な振り返りのチェックをしているか
 次から次へ新しいことにトライしていくのはよい。しかしタレ流しのキャンペーンやプロモーションは非効率だし、お行儀も悪い。ヒットしてもしなくても、それは何故か、どこがポイントかのチェックは科学的にやっておきたい。

[17] CRの責任と統括の部門はあるか
 企業の組織が分散して複雑になり、エリアやシーズン、チャンネルにわけて細やかなプロモーションが増えている。CRの管理やコントロールが難しくなっているはずだ。人でなく組織やシステムでのチェック機能が必須になる。

[18] デザイン・CRのスケジューリング
 自社のデザインやCRのめざすところ、とりあえず第一次の完成をどれくらいにして、いつまでにどのような形で完成させるか、少なくとも社内で認知させるためのスケジュールを立てておこう。だらだらと「そのうち いずれ」というのはこの場合あっては困る。
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